女性の社会進出が進んだ影響もあって、今日では夫婦共働きの世帯も珍しくありません。とはいえ、専業主婦(夫)という選択肢はなくなったわけでもなく、今後の人生設計で悩んでいる方もいることでしょう。

本記事では現在の共働き世帯について詳しくご紹介します。きっと、今後の人生設計に役立てることができるでしょう。

  • メリットとデメリットの両方を理解していきましょう

    メリットとデメリットの両方を理解していきましょう

共働き世帯の割合

共働き世帯が増えているという話は多くの方が耳にしたことがあるでしょう。しかし、実際にどのくらいの割合が共働きなのか気になっている方も多いかと思います。

そこで、平成27年(2015年)の国勢調査の結果や男女共同参画局による「男女共同参画白書」をもとに共働き世帯の割合について確認していきます。

共働き世帯の割合は全体の64.4% (2015年時点)

国勢調査によると平成27年時点で共働き世帯の数は1200万世帯を超えて、割合としては全体の64.4% となっています。つまり、全世帯中の過半数が共働きです(※1)。

また、男女共同参画白書によると「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」は減少し続けており、昭和55年(1980年)の時点では1,114万世帯であったのに対して平成29年(2017年)の時点で641万世帯にまで減少しています(※2)。

これらの調査データは、そもそもの調査の方法が異なりますので単純に比較することはできないものの、"男性が外で働き、妻が専業主婦として家庭を守る世帯”は共働き世帯の半数前後になっていることがわかります。データから見ると、確かに現在の日本では共働き世帯の方が多数派であり、スタンダードな家庭のスタイルになっていると言えるでしょう。

共働き世帯数・割合の推移は?

現在の共働き世帯の数や割合については前述の通りです。しかし、これだけでは本当に共働き世帯が「増えている」のかはわかりませんので、続いて共働き世帯数や割合の推移を確認していきましょう。

先述の国勢調査によると、共働き世帯数は昭和60年(1985年)以降は横ばい傾向にあります。昭和55年の時点での共働き世帯は1,191万世帯で、昭和60年には1,276万世帯に増加しています。それ以降は1,200万~1,300万世帯前後を推移しており、平成27年の時点では1,300万世帯となっています。

上記の数字だけ見ると、共働き世帯は増えていないのでは? と思われるかもしれません。しかし、割合で考えると昭和55年以降は増加傾向にあります。昭和55年の時点では49.3% と半数以下だった数字は、昭和60年に52.1% まで上昇。先ほどもご紹介しました通り、平成27年の時点では64.4% となっています。

割合で考えると確実に共働き世帯が増えていると言えます。

男女共同参画白書で公表されているデータによると「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」の数は昭和55年時点では1,114万世帯でしたが、年々減少し続けており平成29年の時点では641万世帯となっています。つまり、この約35年で半数近くまで減少したことになります。

データから総合的に考えて、昔ながらの「男性が外で働いて女性が専業主婦として家庭を守る」という形から「夫婦共働き」へと生活スタイルがシフトしていると言えます。

共働き世帯の割合変化の背景は?

ではなぜ共働き世帯の割合は変化しているのでしょうか?

いくつもの背景がありますが、やはりもっとも大きいのは女性の社会進出が進んだことでしょう。かつては多くの企業が男性中心で構成されていましたが、現在では仕事における性差は基本的にはなくなっています。

性別を指定しての募集自体ができなくなり、社会的に平等になったため、女性が働きやすくなりました。結果として、結婚後も働き続ける女性も増えてそのまま共働き世帯の増加へとつながったのでしょう。

また、近年では経済的な不安も影響している可能性があります。長く続いた景気低迷によって、かつての日本では当たり前だった終身雇用制度は崩壊しました。

そのため、当たり前に働いていれば自然と収入が増えていくどころか、突然収入が減ったり、途絶えたりしてしまうといったリスクを抱えながらの生活を余儀なくされている人が増えました。結果として、経済的なリスクを分散するために共働き世帯が増えたと考えることもできます。

  •  共働き世帯の割合は?

    データ上でも共働き世帯は増えており、日本の家庭の一般的な形になりつつあります

共働きとお金の問題

前述の通り、共働き世帯の割合は昭和60年以降増え続けていることがわかりました。続いては共働き世帯の生活、特に経済的な面について考えてきましょう。

共働き世帯の平均収入は、月収/約60万、年収/約732万(2017年時点)

共働きの場合、夫婦の両方が収入を得ることができますので世帯収入が増えます。実際に共働き世帯にはどのくらいの収入があるのでしょうか?

総務省の「家計調査報告(家計収支編)平成29年」によると共働き世帯の毎月の実収入は平均60万8,491円で、年間にすると約732万円です。それに対して、夫のみが働いている世帯の毎月の実収入は平均50万2,839円で、年間にすると約600万円ということになります(※3)。

こうして考えると、夫だけが働く世帯と共働き世帯では年間で130万円以上の収入差が出ていることになります。

もちろん、これはあくまで全国平均ですので地域やそれぞれの家庭によって差はありますが、共働き世帯の方が年間収入が多いと考えることができそうです。

共働きによって増える支出は?

共働き世帯では収入が多くなる傾向にあります。しかし、その一方で共働きによって支出が増える可能性があります。

例えば、夫婦ともに社会で働いているとなれば当然それだけ交際費なども増えていきます。また、家事に時間を割くことができないことによって外食が増えたり、家事代行を利用したりすることによって支出が増えるケースもあります。

経済的なメリットとデメリット

経済的な面を考えると、共働きの場合単純に世帯収入が増えるというメリットのみでなく、収入が激減したり途絶えてしまったりするといったリスクの分散もできます。一方で、共働きだからこそ増えてしまう支出も少なくありませんので、収入と支出のバランスをしっかりと考える必要があるでしょう。

  • 共働きとお金の問題

    共働きにはメリットとデメリットの両方がありますので、理解しておくことが重要です

共働き世帯の人生設計

最後に共働き世帯の人生設計について考えてみましょう。

現在ではスタンダードになりつつある共働きという生活スタイルですが、しっかりとした人生設計を立てることが求められます。

あらゆるリスクを分散できる共働き世帯

終身雇用制度の崩壊により、経済的なリスクの高い時代となりました。共働き世帯の場合、経済的なリスクを分散できるという大きなメリットがあります。

また、世帯収入が増えることによって貯蓄もしやすくなり、それぞれが正社員として働いており、厚生年金に加入できるのであれば将来的に貰える年金の額も増えます。このようなリスク分散をしっかり意識すれば共働き世帯ならではの恩恵を最大限に受けることができるでしょう。

妊娠・出産・育児の壁

共働き世帯にとって大きな壁となるのが家族計画です。妊娠や出産は女性にとって大きな負担になります。また、女性だけではなく育児は双方にとっても大きな出来事です。そこで、共働き世帯の場合、よりしっかりとした家族計画を立てることが求められることになるのです。

共働きのデメリットを理解しておこう

前述の育児の問題以外にも支出の増加や家事分担の難しさなど、共働きのデメリットも決して少なくありません。こういったデメリットもしっかりと理解しておくようにしましょう。

  • 共働き世帯の人生設計

    共働き世帯は一般的なものになったとはいえ、デメリットも少なくありません

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データでも共働き世帯の割合は増加傾向にあります。2017年時点では全体の6割以上が共働き世帯であり、日本の家庭のスタンダードな形になりつつあると言っても過言ではありません。

そこで、共働き世帯のメリット・デメリットを理解した上でより豊かな生活を求めていくことが重要となりつつあります。

出典
(※1)総務省「平成27年(2015年)国勢調査」より「2-7結婚 - 結婚、共働きの状況は? -
(※2)内閣府「男女共同参画白書(概要版)平成30年版
(※3)総務省「家計調査報告(家計収支編)平成29年