得意の相掛かりで出口若武四段を破る

第33期竜王戦6組昇級者決定戦(主催:読売新聞社)の決勝戦、▲本田奎五段-△出口若武四段戦が10月27日に東京・将棋会館で行われました。結果は113手で本田五段が勝利。5組への昇級を決めました。

6組の昇級者は4人。ランキング戦で決勝まで勝ち上がった2人と、ランキング戦で敗れてしまった棋士による昇級者決定戦の2人です。

本田五段はランキング戦で田中悠一五段に勝利した後、佐々木大地五段に敗北。昇級者決定戦に回ると、斎藤明日斗四段、金沢孝史五段、松本佳介六段、黒田尭之四段、長岡裕也五段を破って決勝に進出しました。

決勝戦の相手は同じく若手棋士の出口四段。振り駒で先手番になった本田五段は、得意戦法の相掛かりを採用しました。相掛かりは棋王戦でタイトル挑戦を果たした原動力となった戦法。五番勝負第2局でもこの戦法で渡辺明棋王相手に勝利しています。

本局は小競り合いの末、両者飛車を最下段に引き揚げる現代調の展開になりました。うまく戦機を捉えたのは本田五段。桂交換から敵陣に歩のくさびを打ち込み、守りの金を無力化します。そして放った自陣桂が好手。これで相手の銀が助かりません。

出口四段も相手の攻め駒を責めて反撃に出ます。銀を取らせる間に桂で金を入手。成桂で敵玉に迫っていきました。

終盤は、両者一歩も引かない寄せ合いになりました。はた目にはどちらが勝ってもおかしくなさそうな激戦です。出口四段は飛車をズバッと切って本田玉に詰めろをかけます。飛車を取っても詰めろを逃れてはいません。本田五段が困ったかと思われましたが、絶妙な逃れ手順を用意していました。

まず、相手玉を攻めて丸裸にし、相手の攻め駒の銀を飛車で取った手が詰めろ逃れの詰めろの絶妙手。出口四段が用意した罠をすべてかいくぐりました。

もはや自玉に受けのない出口四段は、本田玉を詰ますために王手ラッシュをかけましたが、わずかに届かず。逃げ切った本田五段が勝利を収めました。

初参加の棋王戦でいきなり挑戦を果たした、若手超有望株の本田五段。竜王戦でも一つステップアップとなりました。順位戦C級2組でも、現在4勝1敗でこちらも昇級を狙える位置につけています。これからの活躍がますます楽しみな本田五段から目が離せません。

タイトル挑戦以降も着実に実績を重ねていく本田五段
タイトル挑戦以降も着実に実績を重ねていく本田五段