映画『浅田家!』(10月2日公開)の日本外国特派員協会会見が30日に都内で行われ、浅田政志(原案)、中野量太(監督)が登場した。

  • 左から浅田政志、中野量太監督

    左から浅田政志、中野量太監督

同作は写真家・浅田政志とその家族を映画化した映画。4人家族の次男として生まれた政志(二宮和也)が、家族それぞれが“なりたかった自分”をテーマにコスプレで家族写真を収めた写真集「浅田家」が、第34回木村伊兵衛写真賞を受賞しプロとして活動を始めた最中、東日本大震災が起こる。政志は津波で泥だらけになってしまったアルバムや写真を洗浄、元の持ち主に返すボランティア活動をする人々を約2年間にわたって撮影していく。

原案の浅田は「自分の写真集が映画になるなんてこともですし、二宮さんが僕を演じてくださるということも、本当にただただ信じられないと言いますか、光栄という以外にほかないです」と照れた様子。中野監督は、今回東日本大震災を描いたことについて質問を受けると「クリエイターとしていつかは描かなきゃなという思いはあったんですけど、僕にはどうしても描くことができなかった。でも今回、浅田政志さんというカメラマンに出会って、この家族、浅田さんを通してならば、初めて僕らしく東日本大震災のことも描けるんじゃないかと思って、決めました」と同作への思いを明かした。

二宮が自分を演じたことについてさらに質問された浅田は、作中の写真も撮影していたために、現場に行っており「二宮さんが演じられてるところを間近で拝見すると、スッと本番に臨まれるんですよね。僕のイメージでは、台本を事前に読んだり、イメージを作ったりして本番に臨む形かと思ったら、何気ないまま本番に入るので、その姿にまずはびっくりしました」と振り返る。続けて、二宮について「写真集を再現するための写真を撮っているときに、ちょっと違ったら同じにならない。そもそもカメラも違えばレンズも違うし身長も違うし、同じには絶対ならない条件なんですけど、撮影したデータと写真集を比べて、僕が完璧だと思ってもご本人が『もうちょっとこっちかな』とか、『足がこっちむいてたな』とか、僕自身でも気づかないくらいの微調整をされていて、本当に細かくいろんなところが見れるんだなと驚きました」と語った。

また、キャスティングについて聞かれた中野監督は「1番大切だったのは、浅田政志を誰がやるか。浅田さんに取材していろいろおしゃべりをして、生き方を聞いてると、ちょっといいかげんだったりだらしないところもあったりして。でも人が寄ってきて、なんかしてくれうんじゃないかなと期待をしちゃったり、愛される感じがあったんですね。そういう部分を持っている役者さんじゃないと、この浅田さんの味は出ないんじゃないかなと思って」と浅田の印象を明かす。「二宮さんはひょうひょうとしているんですが、人に愛される、人たらし的なところがあるので、これは浅田政志をやらせたらすごいんじゃないかと思って二宮さんに決めました」と2人の共通点を説明した。

ワルシャワ国際映画祭や釜山国際映画祭など、海外での上映も控えているが、中野監督は「最初から、日本だけじゃなくて海外にも通じる映画を作れればいいなと思っていて。今回も家族の話であり、東日本大震災の話であり、海外の方にも感じてもらえるように作ったつもりです」と真摯に語る。「今日は各国の方が来てらっしゃると思うので、言ってしまったら小さな映画祭みたいな感じで、どきどきしております」と笑顔を見せると、その場に集まり試写を見たばかりの記者たちからは、大きな拍手が起こっていた。