ユニクロは不要になったユニクロの服を回収し、新商品に生まれ変わらせる取り組み「RE.UNIQLO」をスタート。9月17日に実施された記者説明会では、同プロジェクトの第1弾商品となる「リサイクル ダウンジャケット」が発表された。

昨年9月から今年3月までの間に日本で回収した62万着のダウン商品を再生・再利用した「リサイクル ダウンジャケット」は、国内外の店舗とユニクロオンラインストアにて11月2日より販売される。

  • ユニクロ、新プロジェクト「RE.UNIQLO」を開始。第1弾は「リサイクル ダウンジャケット」

役目を終えた服を新商品に

ユニクロは2006年から進めてきた「全商品リサイクル活動」の取り組みを進化させ、「RE.UNIQLO」と名付けたプロジェクトによって、自社商品の循環型リサイクルを推進。商品のライフサイクルを通じて廃棄物、CO2排出量、資源使用量の削減に貢献する。

ユニクロの齋藤源太郎氏は「RE.UNIQLO」の取り組みの一環である「ダウンリサイクルプロジェクト」の概要について説明。回収した服に使われているダウン素材の分別・洗浄を行い、ヴァージンダウンと同じテストで基準をクリアしたリサイクルダウンを100%使用するなど、「リサイクル ダウンジャケット」のポイントを紹介した。

「ダウンリサイクルのための分別はこれまで人の手でしていたため、あまり効率的ではない部分がありました。しかし、今回は戦略的パートナーである東レ様が開発した新技術によって、オートメーションで一度に大量のダウンを分別することが可能になっています。よりサステナブルなかたちで、リサイクル事業を行えるようになりました」

  • ユニクログローバル商品本部MD部長・齋藤源太郎氏

商品はクリストフ・ルメール率いるパリR&D(リサーチ&ディベロップメント)センターで制作。ユニセックスなデザインや、ノーカラーのVネックのためアウターの中にも着やすい点も特徴となっている。

実際に触ってみても特に他のダウン素材との違いは感じられず、価格も7,790円(税別)と同価格帯となっている。質疑応答で収益性について訊かれた齋藤氏は、「ビジネスとしても成り立つ持続可能な価格設定にさせていただきました。回収数量が増え、さらなる効率の改善をしていくことができればコストメリットも出てくる。技術革新と同時に回収での無駄をなくし、安定的なリサイクルダウンの供給を目指していきます」と、コメントしていた。

持続可能なビジネスの構築を目指す

素材にこだわり生産工程での水などの資源使用量削減を通じて、サステナブルな商品作りに取り組むユニクロ。ファーストリテイリングの遠藤真廣氏は、グローバル規模でユニクロ独自の循環型リサイクルモデルの構築を掲げる「RE.UNIQLO」の展開について次のように語っていた。

「同様のコンセプトの商品をダウン以外でも展開していきたいと考えており、現在、社内で研究・開発中です。また、お客様のご協力で店頭にて商品を回収して再利用する『RE.UNIQLO』とは別に、リサイクル素材を使った商品の研究・開発も継続していきます」

  • ファーストリテイリング ソーシャルコミュニケーションチーム統括部長・遠藤真廣氏

ユニクロのリサイクル素材を使った商品としては、廃棄されたペットボトルを原料にした再生ポリエステルを使ったドライEXポロシャツが発売中。今秋にはユニクロの代表的商品のファーリーフリースも登場する。

「ダウンリサイクルプロジェクト」ではより多くのサステナブルなダウン商品の展開を目指し、9月25日からダウンの商品回収活動を世界21か国・地域に拡大。国内ではユニクロダウン商品を店頭に持っていくと、国内のユニクロ全店舗/オンラインストアで利用できる500円分のクーポンを発行するキャンペーンも実施する。

このクーポンは、5,000円(税別)以上の購入で1会計あたり1枚使えるデジタルクーポンで、ダウン商品の回収は12月3日のデジタルクーポン発行期間終了後も継続していくという。