帝国データバンクは9月3日、全国2万3,689社を対象とした2020年8月の国内景気動向を発表した。それによると、8月の景気動向指数(景気DI)は前月比0.6ポイント増の29.7と3カ月連続でプラスとなった。同調査では、「国内景気は、緩やかに持ち直しの動きがみられたが、わずかな回復にとどまった」とし、8月の動向については「下げ止まり」とした。

景気は横ばい傾向が続く見込み

  • 2020年8月の動向

8月は、再開した経済活動の持ち直しがプラス要因となったが、地域独自の緊急事態宣言などが景況感を下押し。プラス材料としては、自宅内消費の拡大や新たな住宅ニーズの高まり、国内自動車部品の生産持ち直し、猛暑対策商品の製造・販売、米国・中国向け輸出増加などを挙げている。一方、新型コロナウイルスの影響に加え、野菜の価格高騰は農林水産や飲食料品関連に対してマイナス材料となったほか、宿泊業を含め設備稼働率は依然として低水準が続いている。

業界別にみると、全10業界中、「製造」「運輸・倉庫」など7業界で改善した。しかし、全業界で40を下回る低水準で推移しており、「小売」や「農・林・水産」など3業界で悪化した。

地域別では、全10地域中9地域で改善し、「九州」のみ悪化。公共工事の発注や自宅内消費はプラス材料となったのに対し、独自の緊急事態宣言による生産活動の抑制や猛暑による農作物の価格高騰はマイナス材料となった。また、景況感が同一規模内で二極化する傾向もみられたという。

今後の景気については、「個人消費の持ち直しが期待されるが、横ばい傾向で推移する」と見込んでいる。