今回は、「キャリアパス」の意味や例文・具体例などを簡単に解説します。社会人になり、会社に勤めていると「どのようなキャリアパスを描いているの?」といった質問をされることも少なくありません。「キャリアパス」の使い方がよくわからない方は要確認です。
キャリアパスの意味とは? 簡単にいうと?
キャリアパス(Career Path)とは文字通り「キャリアの道」であり、「昇進路線」などの意味を持つ言葉です。「出世するための道筋」などと考えてもよいでしょう。
例えば、「この会社のキャリアパスは明確だ」と表現する場合には「この会社では、キャリアアップまでの過程や、そこに至るまでの道筋などが明確に定められている」といった意味になります。
キャリアパスは、企業観点では「人材育成」のために、従業員観点では「モチベーションの維持・向上」のために重要なキーワードです。
本稿では、ビジネスシーンで用いられるこのキャリアパスという言葉についての意味や考え方について紹介します。
キャリアパスの具体例
例えば、企業側から示されるキャリアパスとしては以下のようなものがあります。
「入社後5年間は現場勤務、その後5年間でマネージャーを経験し、以降はディレクターとして働く」
「企画職に就くには、〇〇と△△の資格を取得する必要がある」
上記は、特定の役職や職種に就くために、一定期間の勤務経験や指定の資格が必要になるパターンです。このように、キャリアパスが会社側から示される場合もあれば、特に会社側からは示されない(あるいはそもそも定まっていない)場合もあります。
そういった場合には、自らでロールモデルとなるような人を探したり、反対に、反面教師となるような人を探したりすることで、自らのキャリアパスを設定するなど、自分自身で行動を起こすとよいでしょう。
類義語との違い
次に、類義語との違いを紹介します。
キャリアパスの類義語に「キャリアプラン」「キャリアアップ」などがあります。これらは似た意味を指しますが、意味が異なるため、注意しましょう。
キャリアパスとキャリアプランの違い
キャリアプランとは、「35歳までにマネージャー職を経験し、独立する」などといった、理想の将来を実現するための計画です。キャリアパスと似ていますが、「キャリアプランを実現させるために、キャリアパスがある」という関係性だと捉えましょう。
つまりは、理想の将来を実現するためにキャリアプランを描き、その一つひとつのプランを実現するためにキャリアパスを設定する――といったイメージです。
具体的には、「35歳までにマネージャー職を経験するために、30歳までに○○をやる」「独立してすぐに利益を創出できるよう、30歳からは副業として基盤を作っておく」などです。
キャリアパスとキャリアアップの違い
キャリアアップとは、地位や年収を上げる行為です。例として、昇進や派遣社員から正社員への雇用形態の変更、転職による給与アップなどがあります。
一方のキャリアパスは、先述したように“描いたキャリアプランを実現させるための道筋”であるため、必ずしもそれがキャリアアップにつながるものとは限りません。たとえキャリアがダウンしたとしても、それが理想のキャリアへと歩む道の中にあるのであれば、それはキャリアパスの一環なのです。
キャリアパスを考えるメリットとデメリット
次に、キャリアパスを明確にしておくことによるメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
キャリアパスを明確にすることによる一番のメリットは、「働く意義」が明確となる点にあります。これは、日々の業務へのモチベーション向上につながります。
例えば、資格の勉強をする場合に「資格を取得することで、昇格の可能性が高まる」と考えている人と、「会社に資格を取得しろと言われたので、仕方なく勉強する」と考えている人では、勉強へのモチベーションが変わることは容易に想像できます。
つまり、キャリアパスを明確にして目の前の仕事に意義を見出すだけで、自らの行動が変わり、良い結果・成果につながっていく可能性があるのです。大げさかもしれませんが、キャリアパスを考えることは、人生の目標を達成する第一歩とも言えます。
デメリット
デメリットとして挙げられるのは、一つのポジションを目指して目標を立てるが故に、それ以外の可能性を閉ざしてしまう可能性がある点です。
間違ったキャリアパスに固執してしまうと、本来の目標との差異が広がるばかりで、納得のいかない時期を過ごすことになるかもしれません。こういった状況を避けるために、時には人に相談して自らのキャリアパスを修正することも重要です。
自分のキャリアパスの策定方法
では実際に、自らのキャリアパスを描くにはどうすればよいのでしょう? 具体例を元に簡単に説明します。
キャリアパスを考えるにあたっては、まずキャリアプランを考える必要があります。明確なキャリアプランが定まっている場合にはそれで構いませんが、そうでない方は、明確な目標やゴールを定めることから始めましょう。その際、長期的な目標やゴールがイメージできないのであれば、5年後や10年後などのスパンで考えてみてください。
以下では、例として「30歳までに、今いる会社で最年少のマネージャーになること」を目指す、22歳新卒社員のA君について考えてみます。
「最年少マネージャー」を目指すA君のキャリアパス
ここでA君が考えるべきは、その会社でマネージャーになるための条件を把握することです。
まずは、「どういった資格が必要なのか」「どの程度の結果を残していたらいいのか」「現在のマネージャー陣の成績や技術」などをヒヤリングし、理解しておくことが効果的です。ほかにも、それらの条件を仮に満たしたとして、同期や先輩よりも早期にマネージャーになるためには、どういった動き方をすべきなのかも考えた方がいいでしょう。
こういった観点から「30歳までに最年少のマネージャーになる」というキャリアプランを実現するためのキャリアパスとしては、以下のような項目が考えられます。
・22歳の入社時から29歳までの7年間、目標成績の150% 達成を継続する
・29歳までに簿記資格が必要になるため、余裕をもって25歳までに資格を取得する
上記のようなキャリアパスを立てたら、あとはそれを実行していきます。
なお、必ずしも、一度立てたキャリアパスはやり続けなければならないわけではありません。必要に応じて微調整をしてもよいですし、より現実的な道筋を見つけられればそれに合わせて大胆に変更してもよいでしょう。キャリアパスを立てることにより、仕事に意義を見出し、高いモチベーションで働けるようになるだけでも、価値はあると言えます。
まとめ
以上、キャリアパスについてまとめました。
ひとえにキャリアパスといっても、会社が明確に「キャリアパス制度」として定めている場合もあれば、あくまで“傾向”としてしか定められていないために、自らで策定していく必要がある場合など、さまざまです。
どういった形であれ、キャリアパスとは「キャリアプランの実現のため」のものにすぎず、キャリアパスに沿って頑張りすぎたが故に心や体を壊してしまっては元も子もありません。
自分のキャリアパスについてまだ考えたことがなかった人は、これを機に、考えてみはいかがでしょうか?