テレワークをする上で、「仕事」と「暮らし」の空間の分離や、気持ちのONとOFFの切り替え方、生活音の問題など、悩みとなる点はいくつかあります。今回は、在宅勤務が当たり前になりつつ現代において、テレワークをする際に気になる「音」の問題を中心に、どのような解決策があるかを考えてみましょう。

  • テレワークを邪魔されない音の遮断方法は?

テレワークにとって「音」はリスク

「音」の問題はテレワーカーにとって悩ましい問題です。リモート会議や電話商談など、特に小さな子どもがいる家庭では何かしらの対策が必要だという話を耳にします。

ファイナンシャルプランニングは、「パーソナルファイナンス」「タックスプランニング」「金融資産運用設計」「不動産運用設計」「タックスプランニング」「リスクマネジメント」「相続と事業継承設計」の6分野に分かれています。それぞれの分野には、様々なニーズ(=自分がやりたいことや方向性など)とそれを阻む可能性のあるリスクが存在します。そして、これらのリスクをうまくコントロールしてニーズを実現するのがファイナンシャルプランニングです。

ファイナンシャルプランニングでは、「リスク」の対処方法は次のように分類されています。こちらを参考に、テレワーク中の音リスクへの対処法を考えてみましょう。

  • リスクマネジメント手法

リスクファイナンシングの「保有」(=音を受け入れる)と「移転」

子どもがまだ小さく保育園などに預けられないケースは、子どもに関する様々な音は受け入れるしかありません。子どもの安全を考えれば、子どもが目に届くところで仕事をせざるを得ませんし、安全や健康に配慮して、子どもが発する音には常に耳を澄ませていなければなりません。それを前提に仕事をすることになるでしょう。

暮らしの中には、道路や近所からの騒音、TVの音やピアノなどの習い事の音、宅配などの訪問者の音、家電の音など、様々な音にあふれています。この絶え間なく発生するいろいろな音は、実は子どもの健全な成長に不可欠な要素なのです。それらの音が脳の刺激になって子どもの成長を促し、学力にも影響するという説があるくらいです。

在宅ワークで大切なことは、最初に音を遮断することを考えるのではなく、いったん受け入れることなのです。最初に切り捨ててしまおうと考えると、生活との摩擦が生じますし、子どもの健全な成長にも決して良いこととは言えません。受け入れた上で、どうコントロールするかを考えることが大切になります。

したがって音に関しては経済的に移転する方法はありません。保険を掛けて音による経済的損失を低減する方法は考えにくいので、受け入れて、これから述べるリスクコントロール法の中から、現状に最適なものを選択していきましょう。

リスクコントロールから考える

■回避=音から離れる
音から物理的に離れる方法です。専用の部屋を用意したり、昼間使わない寝室にワークスペースを設置したりする方法です。納戸や廊下の隅、玄関わきなど比較的音が少ないところにスペースがないか考えてみましょう。1畳ほどのスペースがあれば、ワークスペースが作れないことはありません。音を遮断したい時だけに使用するスペースでもよいのです。

■制御=音をコントロールする
音対策として最もポピュラーな方法で、対処の仕方はさまざまです。音をできるだけ遮断する、吸収するなど、環境に見合った方法を選択しましょう。

押し入れやクローゼットを利用して、少しでもワークスペースを囲えば、音をかなりコントロールできます。トランク型の仕切りやパーティションだけでも違うでしょう。穴あきボードの間に吸音材を取り付けて、床と天井に固定した支柱に取り付けるだけで変わってきますし、心理的効果も期待できます。

  • (例)音を遮断・吸収するための方法

床にタイルカーペットを設置すれば、足音やモノを落とした音はかなり小さくなります。また、壁にマグネットやテープで固定する吸音ボードも市販されているので簡単に手に入ります。音をすべて遮断・吸収することは困難ですが、環境に見合った方法でコントロールしてみましょう。

仕事の性質上、完全に音を遮断する必要がある場合は、ピアノレッスン室などで使われる防音室のような仕様の壁で囲う方法があります。これは本来音を外に漏らさないためのものですが、音から隔離することもできます。「ピアの防音室」は既製品もいろいろあり、最近は楽器用だけでなく、テレワークにも使えることをアピールしているので活用してみてはいかがでしょうか。

■結合=音で音に対処する
一人暮らしでテレワークをする際、同様の手法で音の問題を改善するには、BGMを流したり、ホワイトノイズマシン(※)を利用したりして、音で音に対処する方法があります。私も自宅で仕事をしていますが、幹線道路や線路に近く結構な騒音ですので、以前はBGMとしてせせらぎの音のCDをよく聞いていました。耳鳴りの治療にも大音量の音を利用すると聞いたことがあります。

※ホワイトノイズとは
あらゆる周波数を同程度含んだ音で、通常、可聴域の様々な周波数の音を含む音を総称してホワイトノイズと呼びます。集中力を高め、リラックスでき睡眠にも効果的です。ホワイトノイズを発生させる機器は市販されていますし、さほど高価なものではありません。YouTubeなどでいろいろ視聴できるようですので、どんなものかを試してみて購入するのも良いでしょう。

■分離=時間帯や場所を分離する
リモートワークであれば通勤時間が不要ですので、その分早く仕事を始められます。例えば小学生の子どもがいる場合、子どもは8時過ぎに登校しますので、およそ8時から16時くらいまでをベースの業務時間とします。昼休みを除いて、およそ通常の勤務時間と同じ7時間を確保できます。また、会議や打ち合わせをその時間に合わせれば子どもが発する音を避けることが可能です。

さらにメインのワークスペースとは別に、音を遮断したいときに使うサテライトスペースなどを住まいの中に作っておく方法もあります。例えば普段はリラックスの場だけに使っている寝室を、音を遮断したいときにだけ使えるよう工夫するなど、メインのワークスペースのほかに、必要に応じて仕事に使えるスペースを用意しておくと良いでしょう。

■移転=周囲の協力を活用する
子どもに関する音であれば、保育園を活用したり、配偶者と協力したりして、ワークスペースや必要な時間を調整しましょう。また両親やベビーシッターなどにお願いすることも考えられます。可能な範囲で周囲の協力を活用しましょう。


子どもの笑い声や夫婦の会話など、家庭の中で「音」はとても大切なものです。もちろん仕事は大切ですが、神経質に音を遮断することばかりを考えるのではなく、音と共存する方法を上手に見つけてみましょう。