新型コロナウイルス感染症が、再び拡大している。その広がり方は全国規模で、感染者は緊急事態宣言の期間を大きく上回るペースで増加傾向にある。残念ながら、終息のめどもまったく立っていない。

しかし、仕事や家庭の事情もある。どんな状況でも、家に籠りっきりというのも難しい。そんななかで、Yahoo! JAPANが提供する「混雑レーダー」がアップグレードして復活。頼れるサービスとして多くのユーザーが利用し始めている。

お盆を迎え、社会人の多くが夏休みに入ろうとしている今、これを使わない手はない。今回は「混雑レーダー」の"中の人"に、直接その使い方を教わったのでご紹介しよう。

アップグレードした「混雑レーダー」の実力

「混雑レーダー」はもともと、「Yahoo! MAP」内のサービスとして2015年にスタート。位置情報の利用に同意したYahoo! JAPANアプリユーザーの現在地データを統計することで、どこがどれだけ混雑しているのかがマップ上で確認できる仕組みだ。「Yahoo! MAP」だけでも累計2,200万ダウンロードを達成している(2020年7月時点)という事実からも、サービスの確度の高さがうかがえる。

  • コロナ禍に頼れる「混雑レーダー」 - その真価と秘話を"中の人"に聞いた

    「Yahoo! MAP」の右上にある「混雑」ボタンを押すことで「混雑レーダー」が起動

ヤフー株式会社の検索統括本部、移動交通MAPサービスサービスマネージャーの水谷真樹さんは言う。

「2015年は、主に『混雑している場所で何が起きているのかを知りたい』という人に向けたサービスでした。例えば、『混雑レーダー』を見たら東京ドームが混んでいた。では一体、東京ドームで今日は何が行われているのか。そんな好奇心を満たすものだったのですが、今年の1月末でサービスをクローズしたばかりでした」

ニーズとコストなどの間にギャップがあったためだが、奇しくも新型コロナウイルスが世界に広がり始めたのはサービスの終了直後だった。その影響はまもなく日本にも波及。コロナ禍の悪化を受けて政府は4月7日、全国7都府県に緊急事態宣言を発出した。「混雑レーダー」が復活を果たしたのは、そのわずか3日後の4月10日。驚くことに、復活に向けた準備期間はわずか一週間程度だったという。

「その一週間はかなり大変でした。安定的で安全な運用ができるよう、よりセキュリティを高めたり、より多くのアクセスに耐えられるようシステムを増強したり。その成果もあり、以前は過去3時間までしか遡れなかった混雑データも24時間まで遡れるようになりました。かつては混雑状況をマップに反映するにも30分程度のタイムラグがありましたが、今は最短で20分前の状況が反映できています」(水谷さん)

アップデートし続ける機能、その使い方は?

「混雑レーダー」の復活後も、水谷さんたちはサービスのアップデートに余念がない。

マップ上の混雑状況は、天気予報の雨量のように「色」で表現される。混雑が微小なら青、そこから混雑度が増すにつれて水色、緑、黄色、オレンジなどと変化。最終的には赤といった具合に色分けされる。

実にわかりやすいのだが、課題がないわけではない。

例えば、夜の新宿の混雑状況が「赤」だとしよう。これは日本一の繁華街だから当然だが、一方で、地方の小さな町の居酒屋が軒並み満席だったらどうか。人口比で見れば新宿の比ではないため、いくら混雑していても、「赤」にならない可能性が高い。

「そんな課題を解決するためにも、施設ごとの混雑状況を示す必要がありました。そこへのアプローチとして、『グラフ表現』を追加しています。マップの施設名の横に出ている丸いアイコンをタップしてもらえば、施設ごとの混雑具合が棒グラフ上の時間軸で確認できます」(水谷さん)

  • 施設ごとの混み具合もワンタッチで確認できる

同じく検索統括本部で企画を担当している堀野洋平さんも、私生活でこの機能を活かしているという。

「普段、スーパーへ行く際などに見ています。私は千葉在住ですが、マップを見るだけでは近場のスーパーやカフェが混雑しているかどうかを正確に把握するのは難しい。でも、グラフ機能なら施設ごとに個別で確認できるので、スーパーの混み具合を確かめながら『今は混んでいるから避けよう』と考えたり、『買うものをあらかじめ決めて、滞在時間を短くしよう』 と事前に覚悟を決めたりしています」(堀野さん)

目的地の混雑状況を事前に把握することで、混雑を避けることはもちろん、それ相応の対策や準備ができるというのも「混雑レーダー」の魅力なのだ。

  • この夏に予定されているイベントの開催状況なども「Yahoo! MAP」上で確認可能。これもアップデートの成果だ

この夏はコロナ禍でさまざまなイベントに影響が出ているが、「Yahoo! MAP」は花火大会や夏祭り、海水浴場やプールなど、約1,500もの夏イベントの開催スケジュールを事前確認できる機能も実装。今や「お出かけ」に関するあらゆる情報にアクセスできるハブのような機能をも備えつつあるのだ。

開発者のパッションの源はユーザーの声

日々状況が変化するコロナ禍にアジャストし続けるのは、決して容易ではない。サービス復活までの1週間は尋常ではないほど稼動し続けた水谷さんたちだが、今も決して落ち着いたとは言えず、むしろ、次なるアップデートに向けて変わらず多忙な日々を送っている。

歩みを止めない背景には、ユーザーたちの「声」がある。

「『混雑レーダー』の再提供の一押しとなったのは、コロナ禍が深刻になるにつれて『復活してほしい』というユーザーの声が増えてきたから。今では、多い日だとユーザーもクローズ前の約20〜30倍に増えました。ユーザーからアプリ経由でリアクションもいただき、私はツイッターなどでエゴサーチもしています(笑)。そこでの意見もすくい上げて、アップデートに活かしたい。浮き上がった課題に正しくアプローチしていれば、ユーザーから『ありがとう』という声も届きます。これはやっぱり開発のパッションにも繋がりますね」(水谷さん)

現在、日本中の人々が混雑を気にしているが、正確に混雑を回避する術はほとんどない。水谷さんたちが目指すのは、「混雑レーダー」がそのニーズに対する「ベストアンサー」になることだという。雨雲の様子を知りたいとき、多くの人がYahoo!天気の「雨雲レーダー」をチェックする。同じように、混雑を避けたい人はみんなが「混雑レーダー」をチェックする、そんな第一想起になるのが目標だ。

今、お盆に帰省するかどうかで悩んでいる人も多いだろう。どこへ行くにしても、ウイルスに感染しないための注意と、他者へ感染させないための配慮は不可欠。そのためにも、可能な限り密や混雑の回避に努めたい。「混雑レーダー」の活用は、きっと、我々の身を守る一助となるはずだ。