吉本興業は19日、大阪・なんばグランド花月(NGK)など全国5劇場で、観客を入れた公演を再開した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月2日から観客の入場を取りやめて以来、約3カ月半ぶり。NGKでは、桂文枝、西川きよし、中田カウス、桂文珍が公演に先立ち記者会見を行った。

  • なんばグランド花月で記者会見を開催

吉本興業では、全国で緊急事態宣言が解除されたことを受け、6月6日から、よしもと漫才劇場、ヨシモト∞ホールで無観客による公演を再開。そして19日、なんばグランド花月、ルミネ the よしもと、よしもと幕張イオンモール劇場を加えた全国5劇場で、入場者を大幅に減らして観客同士の距離を1.8メートル以上確保したり、消毒、換気を徹底したりするなど、綿密な感染予防対策をとった上で観客を入れた公演を再開した。

NGKで公演に先立ち行われた記者会見では、それぞれの間にアクリル板が設置される中、桂文枝、西川きよし、中田カウス、桂文珍は、久しぶりの舞台に笑顔を見せた。

桂文枝は「せっかくの日なのに雨。でも、われわれの業界では“ふりこむ”と言って、お客さんに入っていただけるということで縁起がいい。この舞台にやっと立つことができました」とあいさつし、「やっとここまで来たなという感じ」と感慨深げ。「吉本のベテラン4人の再会が本当にうれしい。僕ら全員、70歳を超えているので、感染したらどうしようと思っていました」と話した。

西川きよしは「待ちに待ったこの日がやっと、帰ってきました!」と喜びを爆発。アクリル板を指して、「まるでゲートインしているような、キタサンブラックの気持ちです」と冗談を交えつつ、「通常公演は心をひとつにしてお客様の爆笑の声を聴かせていただきたい。一朝一夕といきませんが、今こそ小さなことからこつこつと。大きな笑いを皆さんにお約束して頑張りたいです」とおなじみのセリフで締めた。

中田カウスは、アクリル板越しに隣の文枝の方を見て「こう見たら、文枝さんがはっきり見えるはずやのに、僕しか映ってない」と、アクリル板が意外と反射することを紹介。「若手が漫才をやっていたけど、自分の姿が映るから非常にやりにくかったと思います」と気遣い、「今はこういう状況ですが、きっと(アクリル板が)取り外されると思います」と期待を込め、さらに「大阪が元気になっているのかどうかは、なんばグランド花月が営業しているかどうかが指針。今日からさらに、大阪が元気になり、景気がよくなると思います」と笑顔で語った。

桂文珍も「久しぶりに舞台に立ち、感無量です」と感慨深げ。「これからもお客様あっての落語、お客様とともに笑いを作っていくということだと思います。無観客もやらせてもらおうと思いましたが、無観客にもそれなりの面白さがあるようです。スベってもわからないというよさもあるし、いろいろ考えまして。私は長い間、桂文珍でやらせてもらってますが、こういう時期ですから襲名しまして“桂ワクチン”でどうやろうなあ? 『いや、まだ早いで』と」と笑わせた。

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