フジテレビ系バラエティ番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』が、6日(19:00~21:00)に約3カ月ぶりの放送を迎える。新型コロナウイルスの影響で従来の収録が不可能になったが、“壁”の99人全員をリモートでつないでモニターに表示し、新たに開発した早押しアプリを駆使することで、再開にこぎつけた。

そこで、この最新技術の導入から本番収録までの裏側を、企画・演出の千葉悠矢ディレクターにインタビュー。収録再開に向けて努力を惜しまない制作陣から、“エキストラ問題”の教訓も踏まえ、参加者や視聴者への誠実な姿勢が見えてきた――。

  • 99人のモニターの壁に囲まれるMC・佐藤二朗 (C)フジテレビ

    99人のモニターの壁に囲まれるMC・佐藤二朗 (C)フジテレビ

■理想をかなえた技術チーム

1人のチャレンジャーが、東西南北に“壁”のように並ぶブロッカー99人と対決し、全問正解を目指す同番組の収録は、まさに“3密”状態。前回の「ディズニースペシャル」が放送された3月7日は、すでに東京ディズニーランド&シーが休園になっている時期で、いよいよ収録ができない状況に追い込まれた。

「半分の“49人の壁”でやる」「スタジオの屋上でやる」など、さまざまな打開策を考える中で候補にあがったのが、コロナ禍で需要が高まっているオンライン会議システム。さまざまなサービスを検討する中で「WebEx」というシステムが浮上し、「すぐに技術チームと打ち合わせすると、セキュリティも万全で、1人の画面を拡大できる演出も対応可能であることが分かり、社内の承認も得て導入が決定しました」(千葉D、以下同)

しかし、リモート参加で問題になるのが、同番組の醍醐味である“早押し対決”ができるのか、ということ。一度は早押しの問題を除くことも考えたそうだが、「すでに早押しクイズのアプリもあるし、いっそのこと自前でアプリが作れるのではないかと思って、これも技術チームに相談したら、『作れますよ』と言ってくれたんです」と開発に着手した。

「100人が同じシステムの中に入る」「タイムラグがない」「それぞれが家でボタンを押すとMC・佐藤二朗のいるスタジオで解答音が鳴る」…といった理想を伝えると、2~3週間でプロトタイプが完成。画面上に「タップ」と表示されているところをタップすると、従来と同じ解答音が鳴り、解答権を得た人の画面には「お答えください」、それ以外の99人には「●番の▲さんが解答しています」と表示され、タイムラグも0.1秒かからないレベルにまで圧縮した。

  • リモートで早押しアプリの画面を見せる参加者たち (C)フジテレビ

■テスト成功「これは本当にいけるぞ!」

こうして作られたリモートシステムと早押しアプリを使用して、同じ制作班の『痛快TV スカッとジャパン』『今夜はナゾトレ』『ネタパレ』スタッフや、他部署の社員などにも参加してもらい、100人でテストを実施する。

ここで、技術チームが最も懸念していたのは、音声の問題。ノイズが入ってきたり、発した声が相手のスピーカーに跳ね返って二重に聞こえて会話ができなくなってしまったりというトラブルだ。

そんな不安を抱えながら、いざテストをやってみると、「全くストレスなく音声が通ったんです」と無事成功。「『これは本当にいけるぞ!』となって、そこからは早押しアプリが反応しないとか、参加者の家の回線によって画質に差が出るといった細かい問題点の修正を重ね、3回くらいテストを行って、本番に備えました」