コロナ禍の状況で、映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督による短編映画『カメラを止めるな! リモート大作戦!』や、NHKの『今だから、新作ドラマ作ってみました』など、完全リモートで制作された作品が次々に生み出されているが、『オンラインノミ』の特徴は、なんと言っても演劇ならではの“生配信”だ。
役者のWi-Fi電波状況で途切れてしまうことがあるのも、オンライン飲みならではのリアルな場面だが、観客はそのドキドキ感も共有して楽しんでいる様子。また、終演後には、観客のマイクミュートを解除し、拍手を送ったり、役者に直接声をかけたりすることもできる。
「オンライン飲みは新しい文化ですし、敷居も低いので、最初のテーマとして選んだのは良かったなと思います」(天野)、「東京に出てきて1年目の若者が家に1人でいたら不安になってると思いますが、すごくリアルな舞台だから共感できると思うんですよね」(大和)と手応えを語る。
■ビジネス化にもチャレンジ
現状は在宅支援として無料提供するエンタメ作品やサービスが多い中で、『オンラインノミ』は500円(税込)でチケットを販売し、ビジネス化にもチャレンジ。劇中に登場するお酒を同じメーカーにそろえ、商品名をカメラに向けるなど、スポンサー獲得に向けた配慮にも余念がない。
このリモート取材中には、2人がグッズ販売について会議を始める場面も。すべてが突貫工事でスタートしているため、公演が進行中でも新たなアイデアがあれば、どんどん盛り込んでいく姿勢なのだ。
舞台裏では、Wi-Fiをめぐって同居するリアル家族とケンカしたり、声がうるさいと言われたり、数時間前まで夜勤明けのお父さんが寝ていた部屋から登場したり、仕事の関係で稽古は東京から・本番は大阪から参加するのに背景のぬいぐるみも移動させたりなど、エピソードが盛りだくさん。「実は、役者の様子を俯瞰で撮影しているカメラがあるんです。メイキング映像も、何かしらの形でお見せすることができたらいいですね」(天野)
そして、完全リモートでのやり取りのため、スタッフ、出演者すべてが一切会っていない状況。2人は口をそろえて「コロナが収まったら、みんなでリアルでの打ち上げをするのが本当に楽しみです(笑)」と待ち望んでいた。
『オンラインノミ2』は近日公演。『オンラインノミ』の追加公演とともに、鑑賞費は550円(税込)となる。