一般社団法人日本自動車タイヤ協会(通称:JATMA)はこのほど、「タイヤの空気圧点検に関する実態調査」を実施し、結果を公表した。

JATMAでは4月8日を「タイヤの日」とし、「月に1度はタイヤの空気圧点検を」と呼び掛けし、さまざまな啓発活動に取り組んでいる。今回の調査は2月20日~22日の期間、自分で車を運転する20代~60代のドライバー男女2,000人(週3回以上運転する人と週1回~月1回程度運転する人を、半数ずつ割り付け回収)を対象にインターネット調査にて実施したものとなる。

  • 全体の63.3%が、タイヤの空気圧点検の頻度は「足りている」と回答

まず、タイヤの空気圧点検の頻度について聞くと、「十分に足りていると思う」が15.8%、「足りていると思う」は47.5%となり、全体の63.3%がタイヤの空気圧点検の頻度は「足りている」と回答している。

しかし、タイヤの安全のために「月に1回以上の空気圧点検が推奨されていること」については、全体の4人に3人が「知らない」(72.5%)と答えており、女性ドライバーでは84.6%とさらに高くなっている。

  • 「月に1回以上の空気圧点検」推奨、72.5%が「知らない」

そこでタイヤの空気圧点検を行うと答えた1,935人に、タイヤの空気圧点検の頻度を具体的に聞くと、「月に1回以上」と答えた人は24.3%しかおらず、「直近1年以内には行っていない」と答えた人が15.2%もいた。タイヤの空気圧点検を月に1回以上点検する割合は、男性32.7%に比べ女性15.9%は半数近く少なく、年間走行距離別に見ると、走行距離が短いほど月1回以上の空気圧点検をする人が少なくなっている。この結果から、日常的に車に乗る人より週末などの限られたときだけ車に乗る人の方が、タイヤの空気圧点検をまめに行っていないことが推測される。

  • タイヤの空気圧点検、「直近1年以内には行っていない」が15.2%も

タイヤの空気圧点検の頻度が不足していると答えた735人にその理由を聞くと、「自分でチェックする方法がわからない」(47.2%)が最も多く、次いで「面倒だから」(36.9%)と答えた人も少なくない。また、4人に1人は「あまり距離を走ることがないため」(25.6%)と間違った認識を持っている。

  • 空気圧点検の頻度が不足している理由、自分でチェックする方法がわからない」(47.2%)が最多に

これまで運転中に体験したトラブルを聞くと、「バッテリあがり」(39.6%)に次いで多いのが「タイヤのパンク・バースト」で、ドライバーの27.2%が経験している。走行距離別に見ると、「バッテリあがり」は走行距離が短い方が経験しやすく、「タイヤのパンク・バースト」は走行距離が長い方が多くなっている。直近1年での経験で見ても、「タイヤのパンク・バースト」は「バッテリあがり」に次いで多く、100人に4人(4.1%)は1年以内にタイヤのパンクを経験している。

  • ドライバーの4人に1人が「タイヤのパンク・バースト」を経験

また、JAF(日本自動車連盟)「2018年度ロードサービス救援データ」でも、高速道路での出動理由のトップは「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」(36.97%)で、全体出動の4割近くを占めている。普段から乗る人も週末にしか乗らない人も、走行距離にかかわらず車に乗る前の点検が重要だ。

次に、運転しているとき燃費の良さをどのくらい気にするか聞くと、ドライバーの82.5%が燃費を「気にする」と回答。さらに、今の自家用車を選んだ理由を聞くと、「燃費の良さ」(37.4%)を挙げた人が最も多くなっている。

  • ドライバーの8割は「燃費」を気にしている

  • 「燃費の良さ」は車を選ぶときのポイントNo.1に

実はタイヤの空気圧は燃費と密接な関係がある。車には適切な空気圧がそれぞれ設定されているが、空気圧の適正値は車の運転席ドアを開いたところなどに表示されている。

空気圧が適正よりも低いと、タイヤの接地面が増え抵抗が大きくなることで、適正で走った場合と比べ多くのエネルギーが必要になり、燃費性能は低下する。タイヤの空気は運転していても、していなくても自然に抜けていくもの。タイヤの空気圧をチェックせずに乗り続けていると、走行安全性が低下し、燃費の悪い状態で車に乗っていることになってしまう。

2019年10月1日より消費税率が8%から10%に引き上げられたが、このことにより生活意識や態度がどのように変化したかを聞いた。「ハイブリッドカーやエコカーへの関心が強くなった」(38.8%)、「自動車の燃費を意識しエコドライブを心掛けるようになった」(38.5%)、「軽自動車やコンパクトカーなど維持費の安い自動車への関心が強くなった」(36.2%)が上位となり、エコや節約 、燃費への関心が一層高くなっていることがわかる。車を選ぶ際や運転しているとき、そしてこれからも気になるのが車の燃費です。 今乗っている愛車の燃費を悪化させないためにも、月1回のタイヤの空気圧点検を忘れないようにしたい。

  • 消費税増税でエコや節約意識がいっそう上昇している

昨年の年末年始の長距離運転について聞くと、長距離運転をした方は42.1%だった。このうち、「出発前点検を行ってから運転をした」人は38.1%で、61.9%は「出発前点検をまったく行わずに運転をした」と答えている。燃費のためだけでなく、何よりも安全のために、出発前のタイヤ点検は必須だ。

  • 去年の年末年始、62%は点検せずに長距離運転している

最後に、ガソリンスタンドやカー用品店でタイヤの空気圧点検をしてもらえること知っているかと聞くと、ガソリンスタンドやカー用品店で空気圧点検をしていない人の87.3%が「知っている」と答えた。知っているにもかかわらず点検をしていないということは、タイヤの空気圧点検がそれほど重要ではないと捉えているからだと推測される。

  • ガソリンスタンドやカー用品店でタイヤの空気圧点検の認知は高い

しかし、適正ではないタイヤの空気圧状態では燃費が悪化し、パンクやバーストといった非常に危険な事故の原因にもつながる。タイヤの空気圧点検は手軽にできる安全確認となる。JATMAでは、「月に1回の空気圧点検を習慣化しましょう」と呼びかけている。