• 巨大なLEDモニターを配したスタジオセットで漫才を披露する爆笑問題 (C)TBS

「ネタ番組で演出的にこだわれるところは、大枠の企画の部分以外は、セットと音楽くらいなんです」という藪木氏だが、今回のセットは、漫才とコントで、舞台を分けているのが特徴だ。これにより、他のネタ番組に比べて長くスタンバイ時間が取れることから、コントの場合、小道具などセットがしっかりと組め、画的にも作り込まれたものになった。

さらに、巨大なLEDモニターを贅沢に配しており、「すごくわがままを聞いていただけました。ここまで豪華なセットは『ENGEIグランドスラム』で最後だと思っていたので、今どき、よく作らせてもらったなとビックリしました。TBSさんが頑張っていただいて本当に感謝なんですけど、プレッシャーもすごいです(笑)」というほど。美術・技術スタッフも、TBSでは名の知られた腕のあるメンバーが集結したそうだ。

ビジュアル面では、オレンジ色を前面に打ち出した。セットはもちろん、観覧客・スタッフは全員、オレンジの番組オリジナルTシャツを着用し、MCの笑福亭鶴瓶、今田耕司、水原希子も、衣装のワンポイントにオレンジをあしらっている。

また、後方の客席は階段状に設置し、演者側から正面に隙間がないという劇場に近い構図にこだわっており、「芸人さんが登場して客席を見たときに、ものすごいオレンジの塊が目に入って、いいプレッシャーになればいいなと考えました」と狙いを明かす。

芸人の出囃子(登場曲)は、m-flo loves Akiko Wada「HEY!」、挿入曲は和田アキ子「Uptown Funk」を起用し、ソウルフルな歌声で勢いをつけた。後者は『A-Studio』のテーマ曲にも使用されていたこともあり、鶴瓶とのリンクも忍ばせている。

ナレーションは声優の木村昴が、アニメ『ドラえもん』のジャイアン役とは違う「スマートでノリがいい感じ」で担当。そして、日本テレビで『笑点』が終わった直後に、襲名したばかりの神田伯山が“オープニング口上”として、番組の見どころを一気にまくしたて、視聴者のテンションを一気に高める。

  • 神田伯山 (C)TBS

■ネタ番組は「各局共存共栄で」

番組では常に「演者さんに『出てよかった』と思ってもらえる場所」を意識しているという藪木氏。収録後に楽屋に残っていた東京03とスピードワゴンに感想を尋ねると、「皆さん『また出たいです』と言ってくれました。03の飯塚(悟志)さんは、良かったときはいつもすごく褒めてくれるんです(笑)」といい、「最高のステージは『ENGEIグランドスラム』で作ってしまい、それとは違う形でのやりやすい環境を探っていたので、芸人さんに喜んでもらえて安心しました」とホッとした様子だ。

  • 東京03 (C)TBS

今回の企画は、藪木氏と20年来仕事をして来たメンバーと、TBSの『キングオブコント』のスタッフを中心としたメンバーで制作チームが結成された。「最初は、自分のやり方を角が立たない程度にやってたんですけど(笑)、だんだんTBSさんの流儀みたいなものと、僕の持っていないものとが混ざり合う感じが、楽しくなってきたんです。それがうまく化学反応になっていると思っています」と語る。

今後の構想を聞くと、「テレビでネタができる場は、各局それぞれに意味があれば共存共栄でいろいろあっていいと思うので、TBSさんとまた違う文化を作っていければと思います」と意欲を示した。

  • 『ザ・ベストワン』総合演出の藪木健太郎氏

●『ザ・ベストワン』出演芸人
アンガールズ、EXIT、かまいたち、スピードワゴン、東京03、どぶろっく、とろサーモン、中川家、ニューヨーク、NON STYLE、博多華丸・大吉、爆笑問題、ハナコ、ぺこぱ、ミキ、ミルクボーイ、ロバート

○「ベストワンミニッツ」
さや香、くらげ、信野岳夫・金原早苗、ソロデビュー's、アマレス兄弟、てんしとあくま、グータン、ロングロング、キャツミ、松浦景子、3時のヒロイン、ネイチャーバーガー、白桃ピーチよぴぴ

●藪木健太郎
1971年生まれ、三重県出身。早稲田大学卒業後、95年にフジテレビジョン入社。照明部から02年にバラエティ制作に異動して『アヤパン』『力の限りゴーゴゴー!!』『笑う犬』『新堂本兄弟』『爆笑ヒットパレード』『エニシバナシ』『おじさんスケッチ』などを担当。『爆笑レッドカーペット』『爆笑レッドシアター』『THE MANZAI(第2期)』『うつけもん』『オサレもん』『ツギクルもん』『ENGEIグランドスラム』『笑わせたもん勝ちトーナメント KYO-ICHI』などのネタ・演芸番組を立ち上げ、18年から共同テレビジョンに出向。『~両親ラブストーリー~ オヤコイ』(読売テレビ)、『NHK杯 輝け!!全日本大失敗選手権大会 ~みんながでるテレビ~』(NHK総合)、『カバる!~あのコントを俳優がカバーしたら~』(NHK BSプレミアム)、『ネタX(エクス)チェンジ』(読売テレビ)などを手がける。