最終日連勝も、順位の差で昇段逃す。しかし、来期につながる大きな次点獲得

3月7日に第66回奨励会三段リーグ最終日が行われました。三段リーグは将棋の棋士になるための最終関門。10月から半年に渡り、30人の三段が2つの四段昇段枠をめぐって戦いを繰り広げました。

1日に2対局ずつ行われる、全18回戦の三段リーグ。最終日前までの上位の成績は以下の通りでした(かっこ内数字は順位)。

13勝3敗:谷合廣紀三段(4)
12勝4敗:服部慎一郎三段(2)、西山朋佳三段(21)
11勝5敗:井田明宏三段(7)、小山直希三段(14)

注目されていたのは、女性初の四段に西山三段が昇段できるかどうかでした。条件は自身が2連勝した上で、谷合三段が2連敗するか、服部三段が1敗するかです。

午前中に始まった対局では3人とも勝利。最終戦で女性棋士誕生という、歴史の転換点を迎えるかどうかが決まります。西山三段は勝利を収めましたが、ライバルの服部三段も勝利。すでに昇段を決めていた谷合三段は最終戦に敗れたため、最終的な結果は以下のようになりました。

14勝4敗:服部三段(2)、谷合三段(4)、西山三段(21)
13勝5敗:井田三段(7)、小山三段(14)

全員が同成績ながら、順位の差で昇段を逃した西山三段。しかし、次点を得ることには成功しました。三段リーグには、次点2回でフリークラスながらも四段昇段という制度があります。また、今回は泣かされた順位も来期は最上位となることから、大きな、大きな連勝と言えそうです。もし負けていたら次点どころか5位にまで転落していたところでした。

現在西山三段は24歳。奨励会の年齢制限は26歳で、あと最低3期三段リーグを戦うことができます(規定で勝ち越しを続ければ最長30歳まで延長可能)。過去に14勝で昇段できなかったのは、豊川孝弘七段、田村康介七段、伊藤真吾五段、豊島将之竜王・名人、服部新四段の5人。彼らはいずれもプロ入りを果たしていることから、これからの戦いに期待が持てます。

奨励会員としての戦いは次回の第67期三段リーグまでありませんが、西山三段には女流タイトルホルダーとしての顔もあります。三段リーグ最終日からわずか2日後の本日は、女流タイトル保持者枠で出場している、竜王戦6組で青野照市九段と対戦中です。また、4月7日にはマイナビ女子オープン五番勝負が開幕。女王保持者として加藤桃子女流三段の挑戦を迎え撃ちます。

奨励会、一般棋戦、女流棋戦とすべてのフィールドで戦い続ける西山三段に今後も注目です。

4月に入るとすぐにタイトル防衛戦を戦う西山三段
4月に入るとすぐにタイトル防衛戦を戦う西山三段