「平成30年国民健康・栄養調査結果」によると、現在習慣的に喫煙している日本人の割合は17.8%であり、男女別にみると男性は29.0%、女性は8.1%となっている。近年はたばこの値上げなどもあり、喫煙者は減少傾向にあるが、今なおたばこが大人の嗜好品として多くの人に愛されているものであることに異論を差し挟む人はいないだろう。

そんなたばこは、国内だけで非常に多岐にわたる銘柄を展開しており、そのうえ今は紙巻きや加熱式なども選べ、喫煙者の選択の幅は確実に広がっている。また、一日あたりの喫煙本数や吸いたくなるシチュエーションなども個人差があり、喫煙者ごとにたばことの付き合い方や向き合い方は大きく異なる。

そこで今回、喫煙者2人にインタビューを実施。たばこにまつわるさまざまな歴史を紐解いてみたので、普段あまり見聞きすることがないであろう「他人のたばこヒストリー」を思う存分、のぞいてみてほしい。

Sさん(26歳: 男性クリエイティブ職)の場合

――たばこデビューのきっかけを教えてください

学生時代に先輩が吸っているのを見て「かっこいいなぁ」と思ったのが直接のきっかけですね。ワルにあこがれていた時期だったというのもあって(笑) 僕は出身が北海道なんですが、上京したらあまりの人の多さにストレスを感じてしまい、余計に喫煙量が増えた気がします。あと、働いて「自分のお金」を稼げるようになり、その開放感もあってたばこをよく買うようになったと思います。

――どんなシーンでたばこを吸い、毎月どれぐらいの金額をたばこに投資していますか

日中のあらゆるシーンで吸っていますが(笑)、イライラしたときや仕事がひと段落したとき、食後なんかは特においしく感じますね。月のたばこ代は……2万円弱でしょうかね。

――これまでどのような銘柄を吸ってきたのでしょうか

屋内でIQOSを吸うときもありますが、基本は「ピース・ライト」ですね。吸い始めたときにいろいろと試してみたのですが、味や吸いごたえが一番良かったです。それから他の銘柄に「浮気」したことはありません。僕、一途なんで(笑)

  • 基本は「ピース・ライト」と語るSさん

――「ピース・ライト」にぞっこんだったと

実は母親が「ピース・ライト」を実家で吸っていたんですね。正直、子どもの頃は「たばこを吸うのをやめろよ」と内心では思っていました。でも、自分がいざ喫煙者となって「ピース・ライト」を吸ったとき、「これいいやん!」とドはまりしました。子どもの頃からにおいに慣れ親しんでいたのも、気に入った理由の一つかもしれませんね。

――これまでに禁煙に挑戦したことはありますか

片手で数えられるぐらいですかね……。最長の禁煙期間は2週間で、最短で2時間ぐらい(笑) 方法は「家にあるたばこをすべて吸いきったうえで買わない」といういたってシンプルなものです。友人から教えてもらった方法も試してみましたが……やめられずに今に至っています。

――これまでの人生で「最もたばこがおいしいと思った瞬間」を教えてください

大学3年とか4年のときだったんですけれど……自分、地元の北海道に帰るといつも決まった山へ登山に行くんですけれど、その頂上で吸った一本が「自分史上ベスト」です。澄んだ空気のもとで吸うたばこは絶品ですね。

――もしや、ピース・ライトを吸うお母さんと一緒に一服したのですか

いえ、親父と一緒でした。ただ、親父はたばこを吸わないんですよ(笑) 吸っていたのに今は吸っていない人ですね。親父ができたんだから、自分もがんばれば禁煙できるんじゃないかな……。

――4月から改正健康増進法が全面施行され、紙巻たばこはこれまで以上に喫煙が制限されると思いますが、4月以降はどうするつもりでしょうか

現時点は、今のスタイルを継続するつもりです。加熱式もいいのですが、吸ったときの味やキック感とか、やっぱり自分は紙巻たばこの方が好きなんですよね。紙巻きたばこを吸い続けられる限界までチャレンジしたいです。

――最後になりますが、Sさんにとってたばことは何でしょうか

人生そのもの、「no cigarette no life」ですね。よく「無人島に一つだけ持っていけるとしたら何を持っていきますか」みたいな質問があると思いますが、僕の場合はたばこです。たばこを持っていき、現地でたばこと同じ吸い応えのものを見つけてやりますよ(笑)