TSMCが1月16日に発表した2019年第4四半期(10~12月)の決算概要によると、売上高は前年同期比9%増の3172億NTドル、営業利益も同16%増の1242億NTドル、純利益も同16%増の1160億NTドルとなった。ドル換算でも、売上高は同10.6%増の103億9000万ドルとなっている。

同社の同四半期業績は事前のアナリストたちの予測を上回る好調さで、その背景には米Appleや中Huaweiなどによるスマートフォン(スマホ)用先端半導体の大量生産受託があるとみられるほか、中国スマホベンダーからの5G対応スマホ向けチップの注文も寄与しているとみられる。

プロセス別の売り上げで見ても、7nmが35%を占めるまで拡大。10nmが1%、16nmが20%となっており、同社が先端製品と定義する16nm以下の製品だけで全体の56%を占める状況となっている。2020年からは5nm EUVリソグラフィプロセスを採用した製品が本格的に立ち上がってくる見通しで、売り上げの増加にも貢献することが期待される。

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    TSMC (出所:TSMC Webサイト)

2020年は5G特需で2割増の成長期待

TSMCは、季節的閑散期にあたる2020年第1四半期(1-3月)の売上高見通しをアナリストたちの事前予測を上回る102~103億ドルとしている。TSMCの魏哲家・最高経営責任者(CEO)は「2020年のファウンドリー市場全体の成長率を前年比17%増と予測しているが、TSMC単独では、それよりも数ポイント上回る成長を遂げるだろう」と述べている。つまり20%あるいはそれを超える成長を期待しているということだろう。

2020年は5G対応スマホの普及およびそのためのインフラ整備の進展が期待されており、それにより売上高の増加が期待されている。特に中国勢が設計した先端半導体についてはTSMCに製造委託をする流れが出来上がっており、そうした中国顧客はすでに100社を超す規模となっている。2020年はこうした中国勢のほか、ソニーセミコンダクタソリューションズやIntelなどからの生産委託が実施されるとの噂が業界内でささやかれており、増産に向けた100職種以上の人材を台湾のみならず、日本をはじめとする世界中から募集している。

また同社は、2020年の設備投資を、2019年と比べて微増となる150億~160億ドル(1兆6500億円~1兆7500億円)との見通しを示している。

TSMCのVP兼CFOのWendell Huang氏は、「第4四半期の好業績は、TSMCの7nmプロセスを用いて製造された半導体チップを搭載したハイエンド・スマホ、とりわけ5G対応スマホや、高性能コンピューティングの応用製品の需要の増加によるものである。2020年に目をやると、第1四半期はスマホにとって季節的閑散期にあたるが、今年は、引き続き5Gスマオに対する需要が上向きなので、業績は落ち込まないだろう」と述べており、こうした追い風を背景にTSMCの2020年業績について史上最高の売上高および利益を更新するのではないかとする向きもある。

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    2019年第4四半期のTSMCの業績概要 (出所:TSMC Webサイト)