日本人にとっては年賀状は、通常の時候の挨拶を超えた特別な存在だ。自身にとって、新しい年を迎えるにあたっての決意表明でもあるし、また年賀状で親しい友人や知人の近況を知るのは、とてもうれしいことでもある。

その一方で、仕事関係や職場の人たちからの年賀状については、単なる儀礼にすぎないと受け止めている人もいるかもしれない。今回はマイナビニュース会員300名にアンケートを実施し、「仕事の取引先や職場の人から年賀状をもらうのはうれしいか否か」について聞いた。

  • 仕事の取引先や職場の人から年賀状をもらうのはうれしい?

Q.仕事の取引相手やお世話になった人(他社)へ年賀状を出す予定はありますか

「はい」(44.7%)
「いいえ」(55.3%)

Q.職場の人に年賀状を出す予定はありますか

「はい」(33.7%)
「いいえ」(66.3%)

Q.仕事の取引先や職場の人から年賀状をもらうのはうれしいですか

「はい」(32.7%)
「いいえ」(67.3%)

Q.その理由を教えてください

■「うれしい」

・「自分も年賀状を出すので、相手も年賀状を出してほしいと思う。また、職場の団結力が高まる気がする」(48歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)
・「形式上とはいえ、貰うとなんとなく嬉しいと感じる」(46歳男性/サービス/営業関連)
・「仕事を離れても、友好的な付き合いができていると感じるから」(44歳男性/シンクタンク・マーケティング・調査/専門職関連)
・「仕事上、ライバルではありますが、お互い意識しているのが嬉しい」(45歳男性/広告・出版・印刷/技能工・運輸・設備関連)
・「年賀状に仕事は関係ないし、季節の節目に人から便りをもらうのはいいものだから」(26歳女性/専門店/販売・サービス関連)
・「写真などから普段見られないプライベートの一面が見られ、親近感が湧く」(42歳女性/人材派遣・人材紹介/営業関連)
・「デザインに凝っているものもあり、そういう意味でも楽しめる また職場では言われないが、年賀状に嬉しいコメントがあったりする」(39歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)
・「個人的にお近づきになれている印象があるので」(42歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「今年一年、お互いに無事乗り切れたということだから」(39歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/販売・サービス関連)
・「メールやLINEだと伝わってこないモノが伝わってくる」(42歳女性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)

■「うれしくない」

・「両面ともカラー印刷で味気ない」(41歳男性/専門店/事務・企画・経営関連)
・「来年もこのやり取りをしなければならない煩わしさを感じる」(39歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「もらったことはないが、もらっても返信しないといけなくなるので、金も時間も精神的にも憂鬱になる」(38歳男性/サービス/その他・専業主婦等)
・「気を遣うしお互い面倒だしお金かかるし、悪習でしかない」(32歳女性/医療・福祉・介護サービス/販売・サービス関連)
・「出すのが面倒だし、正月休みにまでかかわりたくない」(45歳女性/半導体・電子・電気機器/技能工・運輸・設備関連)
・「昭和遺産のような慣習は止めるべきたど思う。郵便局の方も、年賀状の販売にやっきになるなら、問題になった『かんぽ』のことを真剣に考えるべきだと思います。人としてどうかと思います」(47歳男性/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「定型文だけなので、読まなくても支障がない」(47歳男性/セキュリティ/その他・専業主婦等)
・「返事を書かなければならないのが大変。宗教の勧誘など違う目的がありそうで怖い、というか宗教の勧誘が目的っぽい」(44歳男性/流通・チェーンストア/販売・サービス関連)
・「仕事とプライベートは分けたい」(41歳男性/輸送用機器/メカトロ関連技術)
・「メールやLINEで十分」(44歳女性/官公庁/公共サービス関連)

■総評

調査の結果、仕事の取引相手やお世話になった人(他社)へ年賀状を出す予定がある人は44.7%、予定のない人は55.3%。職場の人に年賀状を出す予定がある人は33.7%、予定のない人は66.3%と、いずれも年賀状を出す予定がない人が過半を占めた。とくに職場では、年賀状離れはかなり進行している印象だ。

「仕事の取引先や職場の人から年賀状をもらうのはうれしいですか」という問いには「はい」が32.7%、「いいえ」は67.3%となり、こちらも3分の2程度の人たちは、職場や仕事関係の年賀状はもらっても「うれしくない」と考えていることがわかった。

その理由として、「うれしい」という回答には、「儀礼的であれ、もらえることはうれしい」「仲間意識や団結を感じることができる」「仕事を離れたプライヴェートな付き合いを感じる」などを挙げる人が多かった。反対に「うれしくない」理由としては、「形式的な意味しかない」「悪しき慣習」「気を遣う」「仕事以外で付き合いたくない」「もらうと返信しなければならないなど、面倒臭い」などのコメントが寄せられている。

近年は一部の企業では、虚礼廃止の一環で年賀状を廃する流れもあるようだ。年賀状に対する賛否の評価には、こうした企業風土の違いやビジネススタイル、職場環境の特性なども影響しているのかもしれない。

また、ネット環境の充実やSNSの発達で年賀状は不要、「メールやLINEで十分」とする人がいる一方で、「メールやLINEだと伝わってこないモノが伝わってくる」と感じている人もいる。この辺りは、人と人とのコミュニケーションのあり方や、人間関係に関する感性の違いが表れているようで興味深い。

年賀状の発行枚数は、2003年の44億6,000万枚をピークに減り続け、2019年には23億5,000万枚までに落ち込んでいるという。数字から見ても年賀状離れのトレンドは明らかだが、来年は令和になって初めての年賀状ということで、例年に増して注目度が高まるかもしれない。

調査時期: 2019年12月6日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません