ミュージカル『エリザベート』の製作発表が12日に都内で行われ、小池修一郎(演出/訳詞)、花總まり、愛希れいか、井上芳雄、山崎育三郎、古川雄大、池田篤郎(東宝 取締役演劇担当)が登場した。
同作は1992年にウィーンで初演をむかえて以来、世界中で上演されているミュージカル。日本では1996年から宝塚歌劇団、2002年からは東宝版の上演が行われている。オーストリア=ハンガリー帝国の皇后・エリザベート(花總、愛希)の生涯を描き、ハプスブルク家の崩壊の物語に、"死"の概念である黄泉の帝王・トート(井上、山崎、古川)を絡めた。
製作発表にはオーディエンス招待200名に1万人の応募があったというが、小池は「何かの縁ですから、これからも死ぬまでエリザベートを見続けてください」とアピール。また「エリザベートを一文字で表すと?」という難質問には井上が「断ることもできるんですか?」と戸惑いつつも、「僕、愛だ思います。言ったもん勝ちだと思うので!」と手を挙げる。
そんな井上の様子を見た出演者陣はどんどん挙手し、古川は「僕も愛……」、花總は「エリザベート的には、"生"きるです。どんな時も生きる!」、山崎は「熱。お客様の熱」と回答。愛希は「欲! 人間の欲の部分が人間らしくて良いかと思います」と新たな視点で、周囲を驚かせていた。
「それぞれにとってエリザベートとは?」という質問には、花總が「自分の人生を変えるほどの大切な節目となった作品です。初演の時はまだ22歳。その時に初めて演じさせていただいた役を今こうしてまだ演じる機会をいただけていることが奇跡だと思いますし、なくてはならない作品であり、役になっております」としみじみ。愛希は「ずっと憧れだったので、演じている今でも『夢なんじゃないか』という瞬間もありました。なかなか乗り越えられない壁というか、登れたと思ったらまたさらに高い壁が待っているという感じで、ずっと憧れの作品ですし、役です」と心境を吐露した。
井上は「作品としては奇跡のようなバランスで生まれたミュージカルだと思って、何十年に1本だと思います」と見解を披露。「だからこそ、僕たちにチャンスをくれる。熱狂させるのは保証されているので、その分いろんなチャレンジができる。僕もそのチャレンジの一環で生まれたと思うんですけど、ミュージカル観客を増やすことができるし、たくさんの人にチャンスを与え続けてる、全部ひっくるめて奇跡の作品だと思います」と語った。
2015年からルキーニ役として出演し、今回トート役に初挑戦する山崎は「毎回ルキーニとして舞台に立つ時には自分のセリフから始まるんですけど、何公演やっても緊張するという舞台は初めて」と振り返る。これまでルドルフ役として出演し、2019年よりトート役を演じている古川が「ともにミュージカル人生を歩いた作品。オーディションのときとか考えると失礼な態度をとったり、稽古中も先生に対してちょっと反抗的な態度をとったり。でも先生が愛をもって接してくださったおかげで、今では言われたら『はい』と答えるようになった」と成長を表すと、井上がすかさず「飼い慣らされて行ったってことですか?」とつっこんだ。
製作発表後の取材で「反抗的な態度」を深掘りされてしまった古川は「成長ということを表すために、誇張した部分はあります。言われたことを自分ができないということに対しての苛立ちから、少しムスっとしたり……」と説明する。弁解する古川の様子を、山崎は「よくしてた」、花總は「してたよね。私たち見てた」と笑顔で見守り、古川は「誇張してないのかもしれません」と苦笑していた。
東京公演は帝国劇場にて2020年4月9日~5月4日、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて5月11日~6月2日、名古屋公演は御園座にて6月10日~28日、福岡公演は博多座にて7月6日~8月3日。
キャスト
エリザベート(Wキャスト):花總まり、愛希れいか
トート(トリプルキャスト):井上芳雄(大阪、名古屋、福岡公演)、山崎育三郎(東京公演)、古川雄大
フランツ・ヨーゼフ(Wキャスト):田代万里生、佐藤隆起
ルドルフ:三浦涼介
ルドヴィカ/マダム・ヴォルフ:未来優希
ゾフィー(トリプルキャスト):剣幸、涼風真世、香寿たつき(東京、大阪公演)
ルイジ・ルキーニ(トリプルキャスト):尾上松也(東京、大阪公演)、上山竜治、黒羽麻璃央