冬のボーナス支給日が近づいてきました。これを機に今度こそ投資を始めようと意気込んでいる人へ。「初心者には投資信託がオススメだよ」と同僚に聞いたり、ウェブで調べたりしていると思います。そんな投資初心者の皆さんに、ボーナス支給日までにきちんと理解しておいてほしい基本を3つまとめました。投資信託について見聞きした情報を整理するときに活用してください。

  • 冬のボーナス支給日までに知っておきたい「投資信託の基本3項目」

    冬のボーナス支給日までに知っておきたい「投資信託3つの基本」

基本(1):投資信託はプロがお金を集めて運用するので「少額×分散投資」が実現できる

投資信託とは、世界中の金融商品のデータを分析し、投資対象を探している投資運用のプロが、商品ごとに投資運用ルールを定めて、我々の様な一般投資家からお金を集め、代わりに運用することです。

投資信託に投資するときに「1万円で日本の名だたる企業に投資できます」という触れ込みを聞くことがありますがなぜでしょうか。

それは、プロに運用をお任せする投資信託では少額の投資ができ、我々が普段投資できないような商品への投資が可能になっているからです。

例えば日本を代表するような企業への投資を考えたとき、自動車産業で日本一のトヨタに投資するには、73万円ほどの資金が必要です。電気製品の製造で日本一のソニーに投資するにも63万円ほどの資金が必要です。

  • 2019年10月11日の取引終了時点のソニーの株価は6,230円。100株単位で取引するので、必要となる資金は62万3,000円です(引用元:投資家情報/ソニー)

ところが投資信託の場合は、たくさんの人からお金を集めますから総額で1億円、10億円以上のお金が平気で集まってしまいます。投資信託の中には5,000億円を超える額を集めている投資信託もあります。

これだけの資金があれば、トヨタやソニーのみならずたくさんの企業に投資することができます。投資した投資家たちは、出資したお金の割合に応じて運用成果を受け取ることができます。そのため1万円を投資信託に投資することは、投資信託の投資先に少しずつ投資しているといえるのです。

ちなみに、投資信託に投資できる最小単位(1口)の価格のことを「基準価額」と言います。逆にいうと基準価額が上がると利益が出て、下がると損失が発生します。たいていの投資信託は、運用開始時点で1口1万円となるように設計されています。

「卵を一つのかごに盛るな」という投資の格言があります。一つの企業に投資していては、その企業の業績が悪くなってしまうと投資したお金がすぐに無くなってしまうかもしれません。「少しずつ投資できる」というのは、少額から投資できるメリットに加えて、投資先を分散できるというメリットがあります。

複数の企業に分けて投資することで、ある企業は黒字、またある企業は赤字、という風に成績が分散します。その結果、運用成績も極端に悪くなったり良くなったりすることが無くなります。これが分散のメリットです。

  • 実際の投資信託の分散投資の例:投資信託がどのような分散を行っているかは「目論見書」や「運用報告書」という書類を見ると確認できます。証券会社の投資信託購入ページや運用を行う会社のウェブページで確認できます(引用元:MHAM株式インデックスファンド225運用レポート/アセットマネジメントOne株式会社)

分散は国や投資対象商品ごとに考えると、より分散の効果が期待できます。そのため、投資しようとしている投資信託が、どのような投資対象に、どうやって分散しているかを調べるようにしましょう。

基本(2):運用手法は「パッシブ」と「アクティブ」の2種類があるが投資に慣れるまでは「パッシブ」を選ぼう

パッシブは「受け身」。アクティブは「能動的」という意味があります。そこから転じて投資信託の運用手法が説明されています。

・パッシブ投資:日経225やNYダウといった指標に連動するように運用する

・アクティブ投資:高い運用成績を目指すために投資運用のプロ自らが投資比率を決定し運用する

一般的な投資信託のイメージは「アクティブ投資」ではないでしょうか。投資運用のプロがデータを分析してどの企業や商品に投資すればいいのかを研究しているイメージです。

一方で、「パッシブ投資」は指標値連動するように投資を行うので、投資比率は機械的に決まります。それでも投資信託によって集めたお金の規模の違いなどにより、比率の違いが多少でます。

パッシブは別名「インデックス投資」とも言われています。例えば、日経225という指標値があります。指標値を英語とでいうとインデックスです。日経225は日本国内で取引されている上場株式の価格の平均を表したインデックスなので、値が高いと日本の景気が良く、値が低いと景気が悪いということがわかります。

景気は未来永劫良かったり悪かったりするのではなく、一定の期間で上下するものですし、10年単位で見ると右肩上がりになっている国もあります。そのためパッシブ投資は、指標値の元になる国の景気に投資していることになります。

景気が悪くなっても勝ちにいこうとしているパッシブ投資と異なり大きな成績は狙えませんが、投資信託の価格の上下により、景気の流れを追っていけるので、投資の初心者にオススメできる手法です。

  • インデックス投資かどうかの見分け方:投資信託の目論見書にはどのような商品分類か書かれていますのでそこを参照します。例えばこの投資信託の場合には、日本国内の株式が投資対象で日経225を連動対象にしています(引用元:MHAM株式インデックスファンド225交付目論見書/アセットマネジメントOne株式会社)

基本(3):まとまったお金が出来たからといって1回に丸ごと投資せず時間の分散を意識する

まとまったお金が入るとやってしまいがちなのが、1回で丸ごと投資してしまうこと。例えばボーナスで50万円のお金が手元に入ったとき、「初心者にオススメのインデックス投資ができる投資信託を50万円分買おう」と思う人は少なくないはずです。

基本(1)で「分散」が大切と説明しましたが、投資には時間の分散も必要です。なぜかというと、投資信託を購入した翌日に価格が大きく下がる可能性がゼロとは言えないからです。そのため投資初心者は、半年間または一年間毎月積み立てていける額を投資するとよいでしょう。

ボーナスが12月に50万円入金されたとしたら、12月に4万円、1月にも4万円……と積み立てていくようにすれば、1年分の投資資金が確保できています。なぜこのような方法が必要なのでしょうか。それは「値動きによって自分がどう行動するか。どんな気持ちになるか」を知っておく必要があるからです。

一気に50万円を投資信託に投資したとして、価格が下がり続けていると、このまま価値がゼロになってしまうのではないか、と不安になるはずです。せっかく未来の自分や家族のために資産を作ろうと思って投資をしているのに、精神衛生上よくありません。また投資を続けようという意志も薄れてしまいます。

それに毎月入ってくる給料から一部を投資に回そうと考えていれば、ボーナスを現金で手元に残せ、気持ちの余裕が生まれます。

価格が下がったときに、全ての人が不安になったり投資の意志が無くなったりするわけではありませんが、投資を始めて色々な情報を目にするようになり、肌感覚が身につくまでは、投資資金を「えいっ」と投資に回すのは避けたほうが賢明です。

長く投資をし続け資産を作っていけるかが一番大切

投資信託への投資に限らず投資するときに一番大切なことは、長く投資をし続け最終的に資産の額がプラスになっていることです。また投資をどんな目的でするのかを考えることが大事です。目的が決まると投資をする期間が決まり、取れるリスクの大きさがわかるからです。投資デビューした皆さんが出鼻をくじかれないように。