最近注目されているパラレルキャリアという働き方。本業以外に、“個”として複数のキャリアを築くワークスタイルのひとつです。「副収入」が副業の目的だとしたら、パラレルキャリアの目的は、「個人のキャリア形成」なので、自分の好きなことを仕事にしたり、非営利組織を立ち上げたり、ボランティアをしたりと、スキルアップや夢の実現、社会貢献活動を目標に、第二のキャリアを築くことをパラレルキャリアと呼んでいます。

パラレルキャリアとはそもそも、ドラッカー教授が著書「明日を支配するもの」にて提唱した考え方で、これからの社会に求められる人は「自分に責任を持ち、特定の組織に依存しない人たちだ。そして、自分のキャリアは自分で決める人たちだ」と述べている、新しい生き方・働き方のひとつです。今回は女性のパラレルキャリアについて、考えていきましょう。

  • パラレルキャリアってどんな感じ?

結婚し、子どもを育てながら今の仕事を続けていくか、そもそも続けられるのか、働く女性なら一度は考えたことがあろう産後の働き方。2人目育休復帰後、本業以外に自分が活躍できる新たなポジションを得た経験を活かし、現在パラレルキャリアとして複業中のFさんによる事例をご紹介いたします。

大切なことは「人付き合いを変える」

新卒入社した会社一筋、勤続18年41歳のFさん。育休中から復帰までに取り組んだことで、最も効果的だったのが「人付き合いを変える」ということです。

1人目育休前までは、新卒採用や社内研修の取りまとめをしていたのですが、育休復帰後新しく、内部管理の部署に配属され、「今の仕事、自分に合ってないんじゃないか」といつもモヤモヤしていました。

しかし、普段は保育園と会社と家の往復で、子育てに仕事に家事に、いっぱいいっぱいの日々。たまに保育園のママ友と子育ての悩みを話したり、休みの日に友人と食事をしては「仕事と子育ての両立って、大変だよね」と話したりするくらいで、自分自身の今後の働き方についてじっくりと考える暇も余裕もない状態でした。

「会社」だけでない働き方を知る

2人目を妊娠した時、「あなたの強みを活かせる仕事がわかる」というセミナーの案内をママ友から受け取り、ただ言われた仕事をこなすだけじゃなく「自分の強みを仕事に活かしたい」と興味を持ちました。当時、自分の周りにはロールモデルとなる女性がいなかったので「何か、自分が変わるきっかけになるのではないか」と社外セミナーに参加しました。

その後も2人目の育休期間を活用し、子連れで参加できる朝活や出版社イベント、勉強会に参加。しっかりと自分のやりたいことに向かって、未来の働き方を自分で選択しているフリーランスや、個人起業家、パラレルキャリア実践者の姿を見て、聞いて、感じるうちに今まで自分がどれだけ「会社」という狭い世界の評価を基準に生きてきたのかに気がつきました。

「私は一体何がしたいんだろうか?」と、自分の内側に目を向け、振り返りを行いました。過去採用に関わったスタッフから、その後も頻繁に相談を受け、夢中で話を聞いて、問題解決の糸口を一緒に探してきたこと、新入社員を対象に目標管理のグループを作り自主的に活動していた時は、熱中して取り組んできたことを思い出しました。

そこから、自分が採用に関わったスタッフの育成がしたい、採用後もサポートし続けるメンターをやってみたいと、自分がやりたいことが明確になりました。社外メンターに相談してみたところ「今の会社の環境を活用して、やったらいいよ」と背中を押され、復職後に自ら動き出すことを決意します。

パラレルキャリアの始まり

復職した部署では、60代の部長と40代のチームリーダーの間にコミュニケーション不足が発生し、離職者が相次いでいることが問題点でした。

この世代間ギャップを埋める提案として、互いへの理解を深める部内研修を企画し、講師として登壇。さらに、今後のキャリアパスに悩む部内の30代~40代を中心に「メンター制度やコーチングによる成長機会を求めているか」ヒアリングを実施したところ、多くの賛同を得て30~40代の声を代表し、上司に提言しました。

上司も部内を活性化させスタッフの成長促進やコミュニケーション機会を求めていたということで、部内メンターにも賛同し、協力してくれました。研修受講者からは、「面白い。社内のコミュニケーションが活発になった」とプラスの報告がありました。チームリーダーを対象に試験的にスタートした部内メンター制度に対しても、「他のスタッフにもやってほしい」という声が多数上がり、受講者のモチベーションアップを皮切りに部内の活性化にも貢献できるようになったと思います。

この経験を、社外メンターに伝えたところ「社内だけではもったいない。社外に向けてもサービス提供することで、キャリアの可能性も価値も広がるんじゃないか」と後押しされました。まずは「世の母親がどんなモチベーションで働いているのかを知りたい」という好奇心から、身近な保育園のママ友へモニターとして継続コーチングサービスの提供を始めることになりました。

現在は2人目育休中の、元の職場への復職を悩んでいる人や、産後働き方を変えたいと願う人に対し、自己理解を深め、自分が本当にやりたいことは何かを明確にし、今後の方向性を明確にする継続コーチングサービスを提供しています。

パラレルキャリアを両立させるには

本業もありながら、複業のための時間を作るために取り組んでいることは3つあります。

1つ目が早起きです。今までは朝5時半に起き家事をしていましたが、今は朝5時半から出勤前に1時間、パソコンやスマートフォンからコーチングをしたり、受けたりしています。朝一から30分でもいいので自分のための時間を持つことで、その日1日を充実して過ごせるようになりました。

2つ目が通勤時間、休み時間、隙間時間の活用です。今までは、帰ってからいかに夕飯を何にするかばかりを考えてましたが、今はオンライン上での、お客様のフォローアップやSNSの発信と、複業のための時間として活用しています。

3つ目が家事をちゃんとやらなきゃという呪縛からの脱却です。複業を始める前までは「いかに早く段取りよく家事をこなすか」、そればかりを考えていました。複業を始めてからは以下のことで、時間を節約しています。

・朝一の頭が冴えている時間に家事はしない
・夕食には宅配のお料理キットを週2活用
・料理の品数を減らす
・掃除の回数を減らす

「ちゃんとした家事を」という呪縛から解き放たれたことで家庭内でも笑顔で過ごせる時間が格段に増えました。

上司からは、「複業も忙しいと思うけど、今の部署に必要な人材だから、これからも居続けてほしい」と、1人目復職後モヤモヤしていた時には想像だにしていなかったありがたいフィードバックをもらいました。複業でも、お客様が望む未来へ向かって着々と変化していくをサポートできる今の仕事に、本業とは違うやりがいを感じています。

はじめの一歩を踏み出す

もし今あなたの周りにお手本にしたい先輩や上司がいない、自分が望むような働き方をしている人がいないとしたら、興味のある人に会いに行ったり、興味のあるイベントや勉強会に参加してみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。

このはじめの一歩から、新しい働き方へとつながる人との出会いやきっかけやチャンスへとつながっていくのです。

最後に、有名な経営コンサルタントの大前研一さんの言葉をご紹介します。

人間が変わる方法は3つしかない。
1つ目は時間配分を変える。
2つ目は住む場所を変える。
3つ目は付き合う人を変える。

結局人間は、環境の奴隷。だからこそ環境を変えることで、人は驚くほど変化します。今後のキャリアにモヤモヤしている方は一度自分の人付き合いや環境を見直し、まずは、付き合う人から変えてみてはいかがでしょうか。

篠田恵(しのだめぐみ)

ルイヴィトンマネジメントとして200名の人材育成を経験し、全国5店舗にて売上目標を達成してきたスキルを活かし、 出産退職後は、個人名で稼げる女性を増やす為、個人起業家の集客とマネタイズをバックアップ。 セミナーコンサル顧客は400名以上。パラレルキャリア推進委員メンバー。転妻、小1男子の母、第2子妊娠中。 パラレルキャリア推進委員会・エールプロジェクト
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