漫画家・やじまけんじさんがTwitterで公開した短編漫画「人の言葉を話すクマが動物の言葉を通訳してくれる話。」が話題を呼んだ。描かれているのは、タイトルの通り、人と動物の言葉を解し、通訳サービスを始めたクマのお仕事のエピソード。いかつい風貌の依頼者がやってくるが……。意外にもホッコリする展開が好評を得ている。

クマが通訳の仕事を始めたことを周知させるべく、アナウンスをしていく場面から物語は始まる。自分の家の前に、拙いながらも日本語で「動物の通訳します。」という看板をざむっと挿し、キジバトたちにはチラシでの宣伝を依頼。ビラ10通につき豆1袋と交換する条件で、キジバトらも「いいだろう」「悪くない」と承諾する。早速、ポストにチラシを入れていくキジバトたち。人間たちもビラに気付きだす。

  • やじまけんじさんによる漫画「人の言葉を話すクマが動物の言葉を通訳してくれる話。」1ページ目

役目を果たしたキジバトたちにクマは豆袋をあげ、「あとはお客さんを待つばかりです」と窓から外を見やる。その夜は、本を読んだ後、ガプスウ~と寝息をたて眠りにつく。一晩が明け、爽やかな朝。伸びをしながらポストに目を向けると、たくさんの依頼の手紙が。「みんなどうぶつの言葉を知りたいんですね」と感じながらクマは、「ほどほどに働きたいです」と予約表にスケジュールを書き込んでいく。

  • 漫画「人の言葉を話すクマが動物の言葉を通訳してくれる話。」2ページ目(左)と3ページ目

そこで呼び鈴が鳴り、出てみると、依頼主の1人が。しかし、そのルックスは、坊主頭に顔に大きな向こう傷、首には金物のネックレスと、とてもいかつい。「あんたか……動物の通訳してるってえのは……嘘じゃねえだろうな……」とすごみを見せそうになるもクマが、「ほんとです」と応えると、雰囲気は一変。可愛らしい飼い犬を抱きながら「俺のコットンちゃんが最近食欲なくってよ……」と通訳を依頼する。

クマは即座にコットンちゃんの言葉を翻訳。「飼い主さんが最近スプラッター映画ばかりみてるので食欲がわかないそうです」と理由を話し、コットンちゃんに煮たキャベツをあげる。そこで、飼い主は「コットンちゃん……よかったぁー」と涙を浮かべ、「俺もう、生涯スプラッターみないからね」と約束する。

  • 漫画「人の言葉を話すクマが動物の言葉を通訳してくれる話。」4ページ目

リプライには「いい人(ヒト?)しかいない」「懐かしいけど懐かしさを感じない!」と世界観に好評が。また、「『ほどほどに働きたいです』このフレーズ好きすぎます」「ほんとこのオヤジ感とおデブ感とシンプルな顔で丁寧語話してる感じが大好き」「わたくし殊に『ガプスゥ~ガプスゥ~』が大好物」「クマだから人間の強いのも別に怖く無いんですね、余裕じゃん」とクマの描写にも称賛が寄せられている。さらに「私も飼い猫の言葉知りたいのでお手紙出したい……」「うちのよく鳴く猫が何言ってるか知りたいけど、『お腹空いた』と『ウザイ! 触るな!』位しか言ってなさそう」との声もあがった。

この短編の作者・やじまけんじさんは、2019年8月に自身初となる単行本『コッペくんとしんぱいいぬ』(コルク)を刊行。今回の漫画は同作にも収録されており、クマの名前もコッペくんという。「人の言葉を話すクマが動物の言葉を通訳してくれる話。」はシリーズ作品でもあり、Twitterでは第5話まで、発表されている。