平成仮面ライダー19作の"歴史"を受け継ぎ、未来世界の"魔王"となる運命に立ち向かう常磐ソウゴの物語『仮面ライダージオウ』のテレビシリーズも、いよいよ最後のクライマックスを迎えようとしているが、7月26日からはテレビ最終回にさきがけ、平成仮面ライダーシリーズ全20作の総決算を狙った映画『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』(監督:田崎竜太)が公開されている。

  • 渡邊圭祐(わたなべ・けいすけ)。1993年生まれ。宮城県出身。大学在学中にスカウトされ、仙台でファッションモデルを務めた後、2018年に上京。オーディションで『仮面ライダージオウ』のウォズ役をつかみ、これが俳優としてのデビュー作となった。6月に初の写真集「その節は。」をリリース。今後のさらなる活躍にも注目が集まっている。撮影:宮川朋久

仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ(演:奥野壮)が歴代平成仮面ライダーの"力"が込められたライドウォッチを手にしていく中、仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ(演:押田岳)と仮面ライダーウォズ/ウォズ(演:渡邊圭祐)はソウゴと固い絆で結ばれ、歴史を改変すると共に"新たな王"を擁立せんと企むタイムジャッカーが作り出す"アナザーライダー"との戦いを繰り広げる。

ここでは、映画でも非常に重要なポジションでストーリーに関わってくる仮面ライダーウォズ/ウォズを演じる渡邊圭祐にインタビューを試み、『ジオウ』テレビシリーズ全体をふりかえった感想や、通常のウォズ(黒ウォズ)とは立ち位置やコスチュームの異なる「白ウォズ」を演じていた時期の苦労話、そして気になる映画での活躍ポイントを尋ねた。

――テレビシリーズもいよいよ終盤に差しかかってきたタイミングでお話をうかがうことになります。ソウゴ、ゲイツ、ツクヨミと一緒に順一郎の「クジゴジ堂」で生活するようになってからのウォズは、以前のようなミステリアスな雰囲気を保ちつつ"仲間"になったイメージが強かったと思いますが、今回の映画ではまたもやウォズがソウゴたちに対して、不穏な空気をかもし出している感じですね。

そうですね……。あまりはっきりと映画の内容について語ることはできませんが、ウォズとしてはソウゴたちと完全に仲間となった感じを僕も持っていましたので、"あの線"の展開はないな、と自分で消していたところもあったんです。ですから、映画の内容を知ったときは驚きました。

――映画では、ウォズの動きによってストーリーがかき回される、という感じでしょうか。

映画で印象に残ったシーンって、どこだろう……といろいろ思い返していたら、ここでお話できる部分がすべて"ネタバレ"になってしまうことに気づいたんです。どんなことを話しても、察しがついてしまうので、現状では「エキストラのみなさんと一緒に撮ったシーンが印象に残っています」としか言えないんですよ。

――『ジオウ』の撮影に明け暮れた1年間だと思いますが、この1年で渡邊さんの身の周りにどんな変化が起きましたか?

外で、子どもたちから声をかけられる機会が多くなりました。それも、年が明けて"白ウォズ"、および仮面ライダーウォズが登場(EP17)してから、圧倒的に増えました。それまでは大人から見てもつかみどころのない、不思議で不気味なキャラクターという雰囲気だったのが、仮面ライダーに変身してから、子どもたちのウォズへの認識が一気に「ヒーロー」に変わって、声をかけやすくなったんじゃないかなと思うんです。

――ウォズの人気ぶりを、子どもたちから直接知ることができたわけですね。

そうなんです。テレビシリーズでも映画でも、いろいろな場所で撮影しているので、ロケ先の関係者の方がお子さんを連れてくることもあるんですね。そんなときも、以前は子どもが僕(ウォズ)のほうに寄ってこなかったのが、仮面ライダーウォズになってからは「うちの子がウォズの大ファンで」と言って来られる親御さんも増えて、ありがたい限りですね。周りの反応がグッと良くなって、ようやく「仮面ライダーに出た」ことを噛みしめられたというか(笑)。

――従来のウォズを「黒ウォズ」と呼び、少々ハイなテンションで出てくるもうひとりのウォズを「白ウォズ」と呼んで、その白ウォズが見た目からして明るいキャラクターなのもよかったのかもしれません。

白ウォズ、人気高かったですよね。言動も子どもたちからマネしやすかったというのもあったでしょうし、最後(EP30)はすごく綺麗に退場するし、「なんかあいつイイ奴だったんじゃないか」って終わり方でしたよね。ゴールデンウイークに新高輪プリンスホテルで催されたイベント(2日目『救世主の宴』)で白ウォズとして出演し、「これが白ウォズの見納めです」ってやったとき、歓声がすごくて、本当にうれしかったです。

――ゴールデンウイークのイベント(魔王の宴、救世主の宴)では、渡邊さんがウォズのキャラソン「Black&White」を歌われましたが、あの時点ではまだテレビでも流れていなかった上に、CDの発売予定もないとのことで、あの会場で聴いたファンにとってはサプライズ中のサプライズだったんですね。

そうでしたね~。あのあと、EP38(6月2日放送)で初めてテレビで流れましたから。ありがたいくらい歓声をいただいて、とても楽しく歌わせていただきました。ちなみに自分としては、歌はそんなに得意じゃないんですけれども(笑)。

――舞台ではまったくそんな様子は感じられず、堂々とした歌いっぷりでしたよ。

人前で堂々とすることだけが取り柄なんですね、たぶん(笑)。大舞台に向いているのかもしれません。

――渡邊さんにとって、白ウォズと黒ウォズとでは、どちらが演じやすかったですか?

白ウォズの芝居は、僕がふだん仲のいい友だちとお酒を飲んでいるときにしゃべっているテンションに近いですね。今はだいぶ減りましたけど、僕はもともとしゃべるときに身振り手振りがすごく多かったんです。そんなところを「オネエっぽい」っと言われていたのですが、この動きを白ウォズに落とし込んでみたら、やっぱり白ウォズがオネエっぽいですっていう感想が来ましたね(笑)。白ウォズは、黒ウォズにない性格の部分を、少しコミカルな感じでやれたのがよかったですね。なので、僕としては白ウォズのほうが、楽しんで芝居をすることができたという面で、演じやすかったと思います。

――白ウォズと黒ウォズが同時に存在している間のエピソードは、出番が単純に2倍になって、撮影スケジュールがたいへんだったのではないかと思います。

確かに大変でしたね。セリフの量も2倍になりましたし。あの時期は「休みがあったら観に来ないか」と言われていた舞台があったんですけれど、今はちょっと……とお断りしたんです。ちょうどEP30を撮っていたころで、白ウォズが黒ウォズに近づいていっているというのを僕が演技で表現しなければ……と思っていた真っ最中でした。撮影って、台本の順番で進んでいきませんから、このシーンでの白ウォズはこう、黒ウォズはこうと、感情の変化の過程を組み立てながら芝居をしていかなくてはなりません。ウォズが1人になってからも同じなのですが、あのときは特に余裕がなくて、演技に集中していました。