全国に支社や支店を持ち、定期的な転勤が常態となっている会社は多い。物理的にも精神的にも何かと負担の多い転勤だが、一方で異動による転勤を、さまざまな経験を積み、キャリアアップのための好機と捉える人もいるかもしれない。今回は、20~30代のマイナビニュース男女会員301名にアンケートを実施し、「転勤制度」について聞いた。

  • 転勤制度はあったほうがいいと思いますか(画像はイメージ)

Q.転勤制度はあったほうがいいと思いますか

「はい」(57.1%)
「いいえ」(42.9%)

Q.転勤制度があったほうがいいと思う理由を教えてください

・「従業員・社員が各地域の実情を肌で感じることができ、それに基づいて新たなサービスを考案することができる。また交友関係を広げることができる。受け入れ先も別の地域・別の部署での感覚・常識などを同様に活用できる」(34歳男性/窯業・セラミック/事務・企画・経営関連)

・「一つの場所に同じ職場環境でいると、どうしても決まりきった慣習に慣れてしまう。人間関係含め新しさや対応力が生まれないのは、あまり良いことだとは思わない」(30歳男性/リース・レンタル/営業関連)

・「顧客と癒着する可能性がある。人間関係が変わると、能力を発揮できる人がいる。事務所内の雰囲気を変えると、仕事効率が上がるかもしれない」(29歳男性/教育/専門サービス関連)

・「一つの場所で働き続けていると視野が狭くなるから。違った場所で新しく仕事を開始することで、自分の可能性が広がると思う」(34歳男性/窯業・セラミック/事務・企画・経営関連)

・「地域によって特色はそれぞれ異なるし、それぞれの地域での特殊な経験もできる」(39歳男性/その他/事務・企画・経営関連)

・「本人の意思は重視されないといけないが、組織の腐敗を防ぐためや、良いことを広げられるためにも必要」(33歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)

Q.転勤制度がないほうがいいと思う理由を教えてください

・「転勤があると生活が安定しない。転勤のたびに住まい、家具、買い物する店など全部変わるのが大変だし、行きたい所へ行けるわけではないので、そういう変化が楽しくない」(33歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)

・「引越しが面倒。結婚後だと、子どもの年齢によっては単身赴任に」(36歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)

・「家族のことを考えると、費用面・人間関係面からの悪い意味で変化を起こしてしまう」(33歳男性/通信関連/クリエイティブ関連)

・「いま住んでいる場所を離れて、全然知らない土地に住むのは不便」(38歳女性/サービス/事務・企画・経営関連)

・「単身赴任なら良いが、家族もついていくなら子どもも転校しなくてはいけなくてかわいそう。定住ができないのも嫌」(33歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)

・「転勤して、また一から人付き合いを作るのはキツイ」(39歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)

・「転勤をするにあたっての手続きや引っ越しなど、時間がかかるものが多い。ましてや妻子がいる場合、一緒に連れていくならば学校なども変わるし、共働きだとすると、どちらかが仕事を辞める必要がある。せっかく今の状態や仕事、学校に慣れてきたところで転勤となると、かなりのリスクがかかるだろう」(23歳女性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)

「現在の住まいに思い入れが強い方々が多いと思う。家庭の事情を含めばなおさら」(39歳男性/食品/営業関連)

Q.あなたが現在お勤めの会社に転勤制度はありますか

「はい」(50.2%)
「いいえ」(49.8%)

Q.あなたは転勤をしたことがありますか

「はい」(44.5%)
「いいえ」(55.5%)

Q.転勤をして大変だったことを教えてください

・「すべて。住むところや仕事における環境の変化など、たくさんのことが大変だった」(31歳男性/食品/営業関連)

・「まず引っ越し。次に方言。受け入れ先の制度や暗黙の了解を知らないことは、私の場合は気にされなかった」(31歳男性/サービス/専門職関連)

・「転勤すると土地感に慣れるまでは不便に感じるし、友だちや知り合いがいないため寂しさを感じてしまう」(26歳女性/医療・福祉・介護サービス/公共サービス関連)

・「最初の一カ月はどこに何があるのかわからずに、探し回らないといけない。また地元じゃないので危険な場所などもわからずに、危ない目にもあった」(37歳男性/サービス/専門職関連)

・「生活環境がまったく変わってしまうこと、一から人間関係含め構築することは容易いことではないから」(30歳男性/リース・レンタル/営業関連)

・「まず、率先して環境になじみ、自分流にもっていくまでのプロセス」(28歳女性/サービス/その他・専業主婦等)

・「転勤先の上司や、お局派遣さんの常識を逸脱したマイルールに合わせるのがいちばん大変だった」(39歳女性/食品/技能工・運輸・設備関連)

・「田舎から東京へ来たので、電車通勤や人ゴミ」(31歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/営業関連)

Q.転勤したことについて、それはあなたの希望での転勤ですか

「はい」(41.0%)
「いいえ」(59.0%)

Q.転勤を希望した理由を教えてください

・「新たな環境で仕事がしたかった」(29歳男性/エステティック・美容・理容/販売・サービス関連)

・「違う得意先との出会いが広がる」(37歳男性/その他メーカー/事務・企画・経営関連)

・「ひとつには、転勤が出世(昇給)の条件であったこと。もうひとつは、自分自身の経験として積んでおきたかったから」(39歳男性/その他/事務・企画・経営関連)

・「都会に憧れがあったから」(35歳男性/農林・水産/建築・土木関連技術職)

・「ある程度の年数が経てば転勤のある会社だったのだけれど、私の場合は入社した時から長く同じ店舗にいたので」(37歳女性/医療・福祉・介護サービス/事務・企画・経営関連)

・「同僚のストーキングが嫌で」(39歳女性/食品/技能工・運輸・設備関連)

Q.転勤を希望していなかった理由を教えてください

・「その時は結婚して子どもが生まれるなど、私生活でいろいろあったから」(35歳男性/建設・土木/建築・土木関連技術職)

・「わざわざ安定した環境から離れる理由がないと思った」(39歳男性/食品/営業関連)

・「家族と離れるのが嫌だった。また、そこでの仕事も十分にこなしていたため」(36歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/事務・企画・経営関連)

・「慣れ親しんだ場所で働くのが、環境にも精神的にもいちばんいいと思うから」(37歳男性/サービス/専門職関連)

・「元々の職場の人間関係も良好で、チームワークも良く、仕事が楽しかった。当時は特に転勤する必要はないと思っていた」(35歳女性/繊維・アパレル/販売・サービス関連)

・「自分はいいけれど、家族にとっては環境が変わると大変だと思った」(39歳男性/その他/その他・専業主婦等)

Q.転勤をして良かったと思いますか

「はい」(77.6%)
「いいえ」(22.4%)

Q.転勤をしてよかったと思う理由を教えてください

・「初めての機会で、いろいろと勉強になった」(31歳男性/専門商社/専門サービス関連)

・「前職場よりはストレスを溜めにくくなった」(34歳男性/文具・事務機器関連/事務・企画・経営関連)

・「転勤先の地域がたまたまいいところで、皆から良くしてもらったし、『転勤』そのものがいい経験になった」(39歳男性/その他/事務・企画・経営関連)

・「結果的に、この経験を通してさまざまな人と出会い、また多くのことを経験できた」(23歳女性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)

・「慣れてくれば、休日にいろいろな観光名所を巡ることができるので」(38歳男性/流通・チェーンストア/営業関連)

・「初めは不安もあったが、また新たに築いた人間関係も良好だった。以前と変わらず楽しく仕事ができたが、転勤のタイミングで自分も昇格したので、スキルアップにもつながった」(35歳女性/繊維・アパレル/販売・サービス関連)

・「結果論ではあるが、さまざまな人の生活を知ることができた」(39歳男性/教育/クリエイティブ関連)

・「なんだか小旅行みたいで楽しかった。実情をよくわかってない中央の若造が来たと思われて、可愛がられたような感じもする」(31歳男性/サービス/専門職関連)

・「本社で働くことで、収入が大きく増えたため」(39歳男性/通信関連/営業関連)

Q.転勤がなければ良かったと思う理由を教えてください

・「引越がめんどくさい」(39歳男性/広告・出版・印刷/営業関連)

・「余計な不安やストレスを感じることがなかったと思うので」(37歳男性/サービス/専門職関連)

・「家族と一緒に生活できた。家族に苦労をかけずにすんだ」(36歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/事務・企画・経営関連)

・「仕事に慣れるまで時間がかかるし、効率的ではない」(39歳女性/その他電気・電子関連/メカトロ関連技術職)

・「人間関係が悪い職場で大変だった」(37歳女性/銀行/営業関連)

・「新たなことに、いろいろ慣れなきゃいけなかったから」(38歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)

・「通勤がキツい」(33歳男性/その他/事務・企画・経営関連)

■総評

調査の結果、転勤制度はあったほうがいいと思う人の割合は57.1%と、半数を超える結果となった。転勤制度があったほうがいいと思う理由では、「いろいろな土地や環境で仕事をすることで視野が広がり、スキルアップに繋がる」というコメントが多かった。そのほかには、「マンネリや緩み、癒着を防げる」「自身の可能性を発見できる」「選択肢が増える」などの意見も見られた。

一方、転勤制度がないほうがいいと思う理由では、「引越しが面倒」「未知の土地での生活が不安」「新たに人間関係を構築するのが大変」「転校など、子どもへのケアが心配」「家を購入しにくくなる」といった声が多かった。これについては、転勤者の年齢や家庭を持っているか否か、持ち家かどうかなどで受け止めが分かれる部分かもしれない。

現在勤務している会社に転勤制度があるかどうかについては、「はい」が50.2%、「いいえ」は49.8%とほぼ拮抗している。自身が転勤の経験があるかどうかについては、「はい」は44.5%、「いいえ」は55.5%と未経験者がやや多かった。

転勤をして大変だったことを聞くと、先の転勤制度がないほうがいいと思う理由と重なり、「引っ越し」「職場や生活の環境変化」「子どもの転校」「人間関係」などのワードが並んでいる。少数意見では、「方言」や「満員電車」に慣れるのに大変だったという声もあった。

転勤経験者に、それが自分の希望だったかをどうかか聞くと、「はい」は41.0%、「いいえ」は59.0%と、自身の希望ではない転勤が約6割を占めている。転勤を希望した理由では、「新しい環境で仕事がしたかった」「経験を積みたい」「昇給や昇進のために必要」など、転勤制度を肯定的に捉え、積極的に利用している様子がうかがえる。ただ一部では、「前の会社に居場所がなくなった」「同僚のストーキングが嫌で」など止むに止まれぬ判断での転勤というケースもあるようだ。

一方の、転勤を希望していなかった理由については、「家族と別れるのが嫌だった」「慣れ親しんだ環境を変えたくない」「家庭の事情で転勤は難しかった」などが並んでいる。自身の気持ち以外に、子どもを始めとする家庭生活を考えて踏み込めなかった、という人は多いようだ。

転勤をして良かったかどうかについては、「はい」が77.6%と、8割近い人が積極的に評価していることがわかった。転勤をして良かったと思う理由は、「さまざまな経験を積むことができた」「新しい環境が快適なものだった」「ストレスが解消された」「給与が上がった」などの声が寄せられている。

転勤がなければ良かったと思う理由は、「引越が面倒だった」「余計な負担やストレスを感じた」「新しい環境になかなか馴染めなかった」「家族に負担をかけた」などが目立った。これも、先の転勤制度がないほうがいいと思う理由と共通している。

「転勤族」という言葉がある。会社員や公務員が、複数の支社などに頻繁に転勤を繰り返す人やその家族を指していう俗称だが、転勤はかつての高度成長期の日本では普通に見られた就業制度だった。ただ最近では、子育てや介護などが理由で転居を伴う転勤に応じられずに会社を辞めてしまう、「転勤離職」も問題となっている。近年の「働き方改革」の動きを受け、例えば「地元採用で原則転勤なし」といった採用を行う企業も増えているようだ。

今回の調査では、転勤制度があったほうがいいと考える人は6割近く、転勤をして良かったと思う人は8割近くになり、会社員にとってまだまだ「転勤」は肯定的に捉えられていることがわかった。ただ、転勤対象者が独身か、あるいは家庭を持っているのか。持ち家や否か。就学児童がいたり、要介護の家族がいたりと、いろいろな要因で転勤への受け止めも変化するだろう。

今回のアンケートにも、そんなさまざまな実情を反映した意見が寄せられており、興味深い内容となった。

調査時期: 2019年7月4~6日
調査対象: 20~30代のマイナビニュース会員(男性205名、女性96名)
調査数: 301人
調査方法: インターネットログイン式アンケート