中田英寿や大林素子、荻原次晴といった日本を代表するアスリート/元アスリートが、パラリンピアンらとパラスポーツを体験する「HEROs PARA SPORTS DAY 2019」が7月8日、都内で開催された。会場では、元なでしこジャパンの近賀ゆかり選手のHEROsアンバサダー就任も発表。アスリートたちは全力でパラスポーツに取り組んでいた。

  • アスリート/元アスリートが一堂に会した「HEROs PARA SPORTS DAY 2019」

HEROsが目指すスポーツの力を使った取り組み

サッカー元日本代表の中田英寿さんの発案によって2017年に創設された「HEROs Sportsmanship for the future」プロジェクト(以下、「HEROs」)。アスリートによる社会貢献活動の促進によって、社会問題の解決やイノベーションの輪を広げていくことを目的としており、ヒーローの名にふさわしいそうそうたるスポーツ選手らがHEROsアンバサダーとして活動している。

中田英寿さんは「HEROsは、スポーツの垣根を越えて色んなスポーツ選手が出会う場所です。重要なことは、スポーツの力を使って、どのように人を集め、社会に対してどういう取り組みができるかなので、本質としてはまだまだこれからだと思います」とHEROsの意義について説明する。

  • 握手を交わす中田英寿さん(左)と元野球選手のギャオス内藤さん

「HEROs PARA SPORTS DAY 2019」では、そんなトップクラスのアスリート/元アスリートらが競技を超えて一堂に会し、パラスポーツに挑戦。赤、白、青、黒の4つのチームに分かれ、4種目で競い合った。

日本を代表するアスリートらが本気でパラスポーツ

開催された種目は、床に座ってバレーボールをする「シッティングバレーボール」、目隠しを着用した選手が鈴入りボールを投げ合う「ゴールボール」、車いすバスケットボールをアレンジした「車いすポートボール」、バスケ用の車いすをバトンにした「車いすリレー」。

  • 床に座った状態で動かずに行う「シッティングバレーボール」

  • 座ったままサーブを行う元サッカー選手の巻誠一郎さん

  • 試合の様子をかたずをのんで見守る白チームのメンバー

元バレーボール選手の大林素子さんは、シッティングバレーボールを体験した感想を「バレーボーラーだからシッティングバレーが上手かと思ったら大間違いでした。難しいですね~。日常生活の中で健常者があまり取らない動きなんですよ」と伝える。

  • 「ゴールボール」用のアイシェードを取り付ける元パラ競泳選手の河合純一さん

  • 鈴入りボールを構える元スキーノルディック複合選手の荻原次晴さん

  • ボールの鈴の音を頼りに止めようとする近賀ゆかり選手

ゴールボールを体験した元なでしこジャパンの近賀ゆかり選手は「視覚がない世界では、聴覚をはじめとした違う感覚が大事になってくるんだなと感じました。感覚を研ぎ澄まさなければいけないので、そこを鍛えればサッカーにも活きるなと。色んなことを学べるすごくいい機会だったと思います」と感想を述べた。

  • 車いすバスケットボールを簡略化した「車いすポートボール」

  • 卓越した動きを見せる元車いすバスケ選手の根木慎志さん(右)とウィルチェアーラグビーの今井友明選手

  • ゴールマンとして赤チームに貢献した中田英寿さん

  • 車いすバスケ用の車いすをバトンにした「車いすリレー」

  • チェアスキーシートの開発を手掛けたRDSの杉原行里さん(左)から元パラ射撃の田口亜希さんにバトンタッチ

優勝は白チーム、最下位の赤チームには罰ゲーム

すべての競技を終えて、得点は赤:114点、白:213点、青:121点、黒182点。白チームがみごとに優勝を勝ち取った。

1位に輝いた白チームのキャプテン、元パラアイスホッケー選手の上原大祐さんは「最高のメンバーに恵まれて優勝することができました。スポーツは一瞬で1つになれるなと改めて感じて、非常にいいイベントだったなと感じます。引き続きこのようなイベントが開催されていって、もっともっと色々なアスリートを巻き込んで、みなさんと一緒に楽しんでいける、そんなスポーツの文化を作って行ければいいなと思います」とイベントをまとめた。

  • 1位に輝いた白チームのキャプテン、元パラアイスホッケー選手の上原大祐さん

最下位となった赤チームには罰ゲームとして車いすによるシャトルランの洗礼が。笛の音に合わせてつらそうにダッシュを繰り返す姿を見て、会場内は声援と明るい笑いに包まれた。

  • 罰ゲームのシャトルランを行う赤チームのみなさん

「HEROs」は、「HEROs ACADEMY」「HEROs ACTION」「HEROs AWARD」の3つのプロジェクトを通じて、教育・実践・評価の機会を作り、社会とつながるスポーツマンシップを広げていくための活動を積極的に行っている。そのソーシャルイノベーションの輪の広がりに今後も注目したい。