テストドライバーが選んだ「スープラ」は?
「元々の狙いは6気筒モデルがメインで、4気筒モデルはぶっちゃけ、台数の拡大とか、『86』(トヨタとスバルが共同開発したスポーツカー)との間を埋める存在として考えていました。でも、完成したクルマに乗ってみると、ボクらが一番驚いたのは、4気筒の出来が想像以上に良かった点です」と語るのは、GAZOOレーシング GRプロジェクト推進部の福本啓介主幹だ。6気筒のエンジンフィーリングやしっとりした乗り心地、圧倒的なパワーなどは魅力なのだが、車重が70~100キロも軽い4気筒は、ハンドル操作に対するレスポンスがより優れているのだという。
SZに限っていうと、高速では少し物足りなさがあるけれども、日本のワインディングや街中では、トルクが320Nmもあるので十分に速い。サスペンションは電子制御の介入しないコンベンショナルなものだが、人によってはそちらの方が肌に合うし、路面の状況や接地感が分かりやすいのだそうだ。
さらに、上級モデルが採用しているミシュラン「パイロットスーパースポーツタイヤ」がドライグリップを追求したウルトラハイグリップタイヤであるのに対し、SZが履く17インチのコンチネンタル「スポーツコンタクト」は、グリップ性能がある程度は落ちるので、限界がつかみやすい。上のグレードはパフォーマンスが高すぎて、少々攻めても何も起こらない。つまり、その完成度の高さは裏を返すと、「面白みがないかも」という話になってくるのだ。
「実は、スープラの開発テストドライバーである矢吹久(CMにも登場する)は、あえて4気筒の『SZ-R』を購入しています。そして、MEGA WEB(東京都江東区)で開催したスープラの発表会では、若い方が『SZ』をその場で購入してくれました」と福本氏。「スープラの3グレードは、『上・中・下』あるいは『松・竹・梅』という捉え方ではなく、それぞれが独立した3タイプであると考えて欲しい」とも話していた。
6月2日時点の販売状況は、RZが70%、SZ-Rが25%、SZが5%。年齢別では30代までが20%、30~40代が25%、40~50代が30%、60代以上が25%と、スープラは各世代にわたって人気が高い。「ディーラーでの試乗会などで乗り比べが始まると、その内訳は変わってくるでしょう。ぜひ、全てに乗って試してほしい」というのが福本氏の思いだ。