映画(MOVIE)と舞台(STAGE)を連動させた、東映と東映ビデオによる新企画「東映ムビ×ステ」の第1弾、映画『GOZEN -純恋の剣-』が2019年7月5日より公開される。

『GOZEN』とは御前試合(将軍や大名の面前で行う、武術の試合)を示しており、野心に燃える若き侍たちがそれぞれ異なる目標を達成するべく、技の限りを尽くして戦う姿が描かれている。御前試合に臨む侍たちや、彼らをとりまく人物に、かつて「仮面ライダー」シリーズや「スーパー戦隊」シリーズで活躍した俳優たちを多くキャスティングし、特撮ヒーロー役とは違った彼らの新たな魅力が打ち出されている。

映画『GOZEN -純恋の剣-』は9月より上演される舞台『GOZEN -狂乱の剣-』と世界観が共通しており、"御前試合"という状況の中で映画と舞台が"異なる物語"を繰り広げるというのも、大いに話題を集めている部分である。

映画『GOZEN -純恋の剣-』インタビュー第3回は、御前試合に"ある目的"を持って参加する青山凛ノ介(演:犬飼貴丈)の協力者である町医者・真咲一馬役・久保田悠来が登場。『仮面ライダー鎧武』(2013年)仮面ライダー斬月/呉島貴虎や『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)スコルピオで人気を博し、整った顔立ちや流麗な立ち振る舞いから時折ゾッとするような"大人の男の色気"を漂わせる久保田が本格的に取り組んだ時代劇で、どのような演技を"魅せる"のか……。大いに期待を持たせる熱きコメントの数々をお楽しみいただきたい。

久保田悠来(くぼた・ゆうき)。1981年生まれ、神奈川県出身。2007年の舞台『switch』で俳優デビューし、舞台『戦国BASARA』(2009年)シリーズの伊達政宗役や、テレビドラマ『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダー斬月/呉島貴虎役などを演じて人気を博す。2019年3月には舞台『仮面ライダー斬月―鎧武外伝―』で主演を務めたほか、テレビ神奈川の情報番組『猫のひたいほどワイド』の月曜MCとしても活躍している。撮影:大塚素久(SYASYA)

――まずは、今回の映画『GOZEN -純恋の剣-』の出演依頼が来たときのことを聞かせていただけますでしょうか。

『仮面ライダー鎧武』や『宇宙戦隊キュウレンジャー』でお世話になっていた望月(卓)プロデューサーからお話をいただきました。「こんど石田(秀範)監督が特撮ヒーローではない映画を撮る」ということを聞きまして、役柄うんぬんではなく「石田監督の初の取り組み、ぜひ携わらせていただきたい!」と思い、即お受けしました。

――時代劇の本場というべき京都の撮影所で作品を撮るということについては、どう思われましたか。

やはり長きにわたる伝統というか、格式のようなものを感じますよね。事前には、京都撮影所のスタッフは厳しいぞ、なんて噂が聞こえてきましたけれど、僕は以前にも京都で現代劇の撮影を経験していましたので、まったく未知なる世界だとは思っていなかったんです。でも、本格的な時代劇は初めてのようなものですから、さてどうなるかな?という思いも少しありましたね。

――撮影初日を迎えられたときのことを聞かせてください。

ある程度、心がまえをもって撮影に臨みましたが、僕たち役者よりも、石田監督の緊張感がすごかったんです。何しろ東京から石田監督が1人で乗り込んでいく形になり、撮影スタッフはみんな現地の方たちばかりですから。でも、どこの現場でも最初はみんながそれぞれの手の内を"探って"いる雰囲気があります。こっちはこうやるぞ、そっちはどれくらいできるんだ、とか。お互いどういう仕事をするのかを測りあい、よりよい作品を目指していくわけです。そんなスタッフさんたちの、いい緊張を感じ取ることができました。

――久保田さんの演じられる真咲一馬という人物について、台本を読まれた段階ではどのようなイメージを抱きましたか。

登場人物の中では1人だけ毛色が違うというか、この映画の中では"浮いた"存在だと思いましたね。主役の凛ノ介をはじめ、メインの人物たちはみなそれぞれの目的のために何かと"戦う意思"を持っているのに対して、真咲は少しスタンスが違い、遠くにたたずんで彼らの戦いを見ている存在というか。

――ふだんは穏やかな町医者でありながら、実は犬飼貴丈さん演じる凛ノ介と同じ隠密という裏の顔を持ち、凛ノ介と密かに情報交換をしている……というミステリアスな役どころは久保田さんならではだと思いました。表の顔、裏の顔を使い分けるキャラクターを演じる上で、どんな部分に気をつけられましたか。

二面性のある役柄というのは役者としてやりがいがありますし、僕自身も演じるのが楽しいです。意識したことといえば、しゃべり方や歩き方に変化をつけて、ふだんの町医者の顔と隠密の顔の違いを見せることができれば、と考えました。

――「時代劇」で「表と裏のコントラスト」という要素が加わると、まるで「必殺シリーズ」のようなカッコよさを想起させてくれそうですね。

そうですね。「必殺シリーズ」も大好きな作品なので、僕という役者にそういうイメージを持ってもらえるというのはうれしいことですし、使っていただいてありがたいと感じています。

――真咲はクールな人物だといっても、いわゆるキャラクター作品である『仮面ライダー鎧武』の仮面ライダー斬月/呉島貴虎や『宇宙戦隊キュウレンジャー』のスコルピオとは演じ方の方向性がまったく異なっていると思いますが、意識的に演じ方を変えている部分はありますか?

過去に演じた役のイメージが交わらないようにしよう、とは常に心がけています。真咲に関しては、周囲の雑事に感心のない、浮世離れした雰囲気を出したいと思って演技をしていました。真咲という人物をどのように表現するかは、最初に少し意見が分かれたんですよ。衣装合わせのときに、「妖艶」な方向に行くかそれとも「男っぽい」雰囲気を出すか。監督もかなり悩まれたようですけれど、最終的には僕がやりたい後者のイメージで演じさせていただきました。ヒゲを生やしているのも僕のキャラ作りにおける"狙い"ですね。一回、ヒゲを剃ってシュッとさせた状態で検討したんですけれど、ヒゲがあったほうが雄々しい感じでいいね、ということで決めてもらいました。「この人、医者なのに……」みたいな雰囲気が出せたらな、と思って演じていました。凛ノ介と会っているときだけは隠密の顔で、それ以外の日常では周囲の人たちから愛されている町医者であろうとしました。

――凛ノ介にとって、表で心を許せるのが赤松道場師範代の赤松兵庫(演:小野塚勇人)なら、裏の面で通じ合っているのが真咲という立ち位置だといえますね。

まあ、仕えている藩は違いますけれども同じ隠密で、共に情報交換をしている間柄ですから、完全な仲間というわけではないですけれどね。八重との関係性についても、彼女が幼いころからずっと治療というか世話をしているというようすが、「八重様」とかではなく「八重」と呼び捨てにしている言葉遣いからでもうかがえるように意識しています。