『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』(監督:田崎竜太)と『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック』(監督:上堀内佳寿也)が2019(令和元)年7月26日より全国劇場にて公開される。5月22日には両作品の製作発表会見が都内にて開催され、『仮面ライダージオウ』と『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の主要キャストと、映画に登場するスペシャルゲストが登壇した。

  • 上段左から、田崎竜太監督、TOMO、KENZO、KIMI、DAICHI、U-YEAH、YORI、下段左から、大幡しえり、押田岳、ISSA、奥野壮、渡邊圭祐

『仮面ライダークウガ』(2000/平成12年)を第1作とする「平成仮面ライダーシリーズ」の20作目を記念して2018(平成30)年9月2日に放送を開始したテレビシリーズ『仮面ライダージオウ』も、いよいよクライマックスに差しかかる時期となった。今回の『ジオウ』劇場版はどのような内容になるのか、プロデューサーの白倉伸一郎氏は会見に向けて次のようなコメントを発信している。「『仮面ライダージオウ』という、1年間回ってきたテレビシリーズの本当の最終回という位置づけになります。"平成仮面ライダーシリーズ"と標榜してきましたが、世の中が令和になり、平成仮面ライダーは過去のものに。前回の冬映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』のテーマは"平成仮面ライダーは虚構であったとしても、自分たちの記憶の中にある限り、生き続ける"というものですが、今回は"過去形になってしまった平成仮面ライダーが、いかにもう一度現在進行形である自分たちを取り戻すか"がテーマになっています」この言葉からは、平成から令和に時代が移り変わり、平成仮面ライダーと呼ばれる一連のシリーズ作品にひとつの"区切り"をつけつつ、新しい時代を切り拓いていく強い意思が感じられる。

  • 左から、仮面ライダーウォズ、仮面ライダーゲイツ、仮面ライダージオウ、仮面ライダーバールクス、仮面ライダーゾンジス、仮面ライダーザモナス

また白倉氏のコメントには「平成仮面ライダーは過去だと言いましたが、子どもたちは現在形であって、また未来形でもあるので、これから令和の時代を創っていくのは我々(大人)ではなく、子どもたちだと思います。そういうバトンタッチ――今まで生きてきた自分たちから、これから生きていく子どもたちへのバトンタッチ――がもうひとつの大きい映画のテーマです」とあり、現在から未来へ続く時代を担う子どもたちへの大いなる期待を込めたメッセージが込められていることをうかがわせている。

気になる映画の見どころについて白倉氏は、「見どころがありすぎて、一口ではとても言えない。『ジオウ』という番組自体が2つのファクターを持っています。1つは平成仮面ライダー20作記念であるからの"レジェンドライダー盛りだくさん"という要素、もう1つは平成仮面ライダーシリーズという全体を括った枠組みからの"時間もの"という要素です。時を超える仮面ライダーとして、時空をまたにかけて大冒険を繰り広げる、その大冒険の部分がなかなかテレビでは描き切れなかったので、今回の劇場版ではその部分も炸裂します」と、まさに見どころ満載の平成仮面ライダー映画の集大成となる最高の作品だと、自信のほどを語った。

物語の詳細は現段階ではまだ明かされていないが、歴代平成仮面ライダーの力を宿した「ライドウォッチ」をすべて集めた仮面ライダージオウ/常磐ソウゴの前に、歴史の管理者"クォーツァー"が現れ、「時の王」誕生に隠された大いなる"陰謀"が明らかになるという。プレス資料の最後には「ついに『仮面ライダージオウ』最大の謎が明かされる!!」と太字で書かれており、平成仮面ライダーのファイナルと、新しい令和という時代を迎えるにふさわしい大スケールの映画が作り上げられるという凄みが十分に感じられる。

ステージには、仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ役の奥野壮、仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ役の押田岳、ツクヨミ役の大幡しえり、仮面ライダーウォズ/ウォズ役の渡邊圭祐、そして田崎竜太監督が登壇。さらには、映画でクォーツァーを演じる7人組ダンス&ヴォーカルグループ「DA PUMP」の面々がかけつけた。

1年間にわたる撮影をこなしてきた自信からか、若者らしいフレッシュさと明るさを保ったまま、少々のことでは動じない落ち着きをも兼ね備えたようにも見える奥野は「最初に台本を読んだときは"こんなことがあっていいのか"というような展開がたくさんあり、ほんとうに面白そうな映画になるな、と思いました」と、映画の内容について非常に興味深い感想を述べた。

激しい対立と激闘を経て、今やソウゴにとって最高の相棒というポジションを確立したゲイツを演じる押田は「前回の冬映画では、先輩である『仮面ライダービルド』のみなさんや『仮面ライダー電王』の佐藤健さんに助けられていい映画になったと思いますが、今回は『ジオウ』単独の映画ですので、僕たちが作品を作っていかなくてはいけないんだなとプレッシャーを感じましたし、ワクワクする気分もわいてきました。楽しんで撮影をしてきましたので、みなさんに"いい映画"だと言ってもらえるようにしたい」と、多くの観客に面白いと思ってもらえるような映画を目指したと語った。

大幡も押田と同じく「『ジオウ』単独の作品ということを強く意識して、全力で頑張りたいと思いました」と、『ジオウ』の集大成であり、平成仮面ライダーの締めくくりにふさわしい映画を盛り上げるべく取り組んだと話して、笑顔を見せた。

渡邊は「テレビとは違う平成仮面ライダーの最終回ということで、僕らも"どう終わるのかな"という思いを抱きました。まだ聞いていない"未来"の物語として展開していくわけなんですけれど、あっ、この終わり方があるのか……という内容でした。"サプライズ"もまだまだ隠されていますし、僕たちにとっても衝撃の展開といいますが、心の中から感情が沸きたてられるストーリーなんです」と、いつになく興奮気味な渡邊の言葉には、今回の映画の面白さ、興味深さを感じさせるほどの熱さと重みがあった。

田崎監督は「"平成仮面ライダー"という言葉がありますが、なぜ仮面ライダーが"平成"という言葉とカップリングされているのか、もしかして時代と仮面ライダーとを合わせて考えていただいているとしたら、仮面ライダーはどうやって平成を総括すればいいのか……そんなことを考えながら撮った作品です」と、『仮面ライダーアギト』から平成仮面ライダーシリーズに参加し、歴代の作品を見つめてきた者だからこそ抱くことのできる思いを口にした。本映画の監督を務めるにあたっては「平成仮面ライダーのアンカーを務める『ジオウ』の最終回ということは、すなわち平成仮面ライダーそのものの最終回になります。そういう気持ちをもって本作に臨みました。この映画をご覧になるお客様は"令和の民"となります。そんな方々に向けて平成仮面ライダーは、いったい何を訴えることができるのか……ということを作品の中に含ませておりますので、楽しみにしていてください」と、平成を締めくくる意味でも人々の記憶に残る映画となるような、絶対の自信をうかがわせた。

謎の集団「クォーツァー」を演じるDA PUMPは、本作の主題歌も担当することが明らかとなっている。芸能界で大の仮面ライダーファンを公言し、かつて『仮面ライダーTHE FIRST』(2005年)にも出演した経験を持つISSAは「主題歌を歌わせていただくのは光栄ですし、大好きな仮面ライダーに出演できるのはほんとうに感無量でした。ぜひ楽しみにしてほしいと思います……が、果たして僕らの演技がどうだったのかはわかりません(笑)」と、本業の歌についての自信と、本業でない演技についての不安が同居した複雑なコメントを残したが、田崎監督からの「大丈夫です!」の声を聞いて少々安堵した様子を見せた。

YORIは「7人のチームワークがしっかり見えていたらいいなと思います」、TOMOは「謎の集団役で、ボスがISSAくん、その取り巻きが僕らというピッタリの役をもらえてありがたかった」、KIMIは「監督が僕らに優しく接してくれたのが嬉しかった」、U-YEAHは「いつダンスのシーンがあるのかなと思っていたら、ダンスはなくてセリフがしっかりありました。ダンスをしていなかったら"この人たち何者なんだろう"と、どこまでも不思議な存在じゃないかと思いますが(笑)、本編を観るのが楽しみです」、KENZOは「クォーツァーの7人がみんなで手を挙げるシーンをやっている瞬間、いま僕たち映画に出てるんだ!と実感しました」、DAICHIは「DA PUMPで培った演技力を活かし、全力で演じさせていただきました!」と、それぞれ個性的なコメントを残した。途中、DAICHIに対してISSAが「いつの間に(演技力を)培ったんだ!?」と絶妙なツッコミが入り、会場が笑いに包まれた。

田崎監督は、DA PUMPの面々のダンスがなかったことに言及し「ものすごいダンスができるメンバーがそろっていながら、あえてみなさんにダンスを封印してもらいました。ダンスをお楽しみになりたい方は、『騎士竜戦隊リュウソウジャー』のケボーンダンスをぜひ(笑)。ですが、身体を動かすことを熱心に取り組んで来られた方々ですから、そこで培われたリズム感とか、お客さんの視線がどこでどのように向いているかを察知する能力がご自身の中でついていて、知らず知らずのうちにお芝居をする上での武器になっていると思います」と、DA PUMPそれぞれの演技力に太鼓判を押し、メンバー全員の表情を明るくさせていた。

今回の映画でISSAが「仮面ライダーバールクス」という名の敵ライダーに変身するという情報が発表されているが、これについてISSAは「昔から仮面ライダーに憧れていて、いつか改造人間になりたいと思っていました。今回、仮面ライダーになれたのはすごく感慨深いですし、ほんとうに……、涙が出ました。それくらい嬉しかったです」と、子どものころから大好きだった仮面ライダーに"変身"するという夢が今回叶って、心底から嬉しそうな表情を見せた。

マスコミ向けフォトセッションでは、仮面ライダージオウ、仮面ライダーゲイツ、仮面ライダーウォズというテレビシリーズでメインを張る3人の仮面ライダーと共に、劇場版に登場する仮面ライダーバールクス、仮面ライダーゾンジス、仮面ライダーザモナスも姿を現した。今まで誰も見たことのない奇抜な外見でありながら、どこか"懐かしさ"のような印象もただよわせる、この謎めいた名前を持つ3人の仮面ライダーが映画の中でどんな活躍をするのか、今から期待が高まるというものである。

『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』は『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック』との同時上映で、2019年7月26日より全国劇場にて公開される。