就職して一人暮らしを始めたけれど、新しい町で知り合いもいないし、どうしていいかわからず寂しさと不安がいっぱい。

そんな一人暮らしで不安になっているあなたに、精神科医の高木さんより「寂しさ」を解消するポイントを解説いただきます。これを読めば、もう何も怖くない!

  • 一人暮らしで寂しいと思うことはありますか?

孤独とは

そもそも「孤独」とは、どのような状態をさすのでしょうか。高木さんによると、孤独には物理的な孤独と精神的な孤独の2つがあるとのこと。

物理的な孤独は、家族や親族と死別したり疎遠だったり、パートナーがいない、独身、一人暮らし、友人がいない……など、物理的に一人、という場合。

一方、精神的な孤独は、既婚だったりパートナーがいたり、仲間や友人も多いけれども、信用できて頼れる人がいない、気を遣わず、甘えられる人がいない、といった周囲に人がたくさんいても、精神的に孤独を感じる場合です。

一人でもできる孤独や不安を和らげる方法

では、こういった孤独や不安を和らげるにはどうしたらよいのでしょうか。解消法を、高木さんに幾つか教えてもらいました。

好きなことや趣味を持つ

仕事やプライベートなど生活が充実していれば、あまり孤独で寂しいと感じることはないと思います。仕事以外に、自分が没頭できる趣味を持つことは大事です。

旅行などの大掛かりな趣味でなくても、音楽を聴く、TVや映画を見る、料理、ウォーキングやジョギング、トレーニングジム、読書や漫画を読むなど、一人で簡単にできて、お金もかからず、気分転換になることもたくさんあります。

  • 読書は気分転換の一つとして有効

家族や友人に連絡をする

突拍子もない時間に連絡をしたり、連日、もしくは一日に何度も頻繁に連絡をしたりするのはよくありませんが、たまに近況報告的に連絡をするのであれば、お互いの安心にもつながります。

電話以外でも、最近はLINEなど便利な機能も増えています。以前より手軽に、そしてそこまで時間を気にせず、手も煩わせることがなく、連絡が取れるようになりましたので、うまく活用してみてください。

出会いの場に行く

合コン、パーティー、趣味のサークルなど、人が集まるところに出かけてみる。

交友関係の見直し

友達がただ多ければよい、というわけではありません。広く浅くではなく、何でも言い合える、心から信用できて、頼れる友人を見つけましょう。

心地よい空間を整える

自分の家が居心地がよいと感じるのであれば、さほど寂しいという気持ちにはならないのではないかと思います。部屋の模様替えをする、自分の気に入ったインテリアをそろえる、寝心地のよい寝具を整える、癒やされるアロマをたいてみる……など、居心地のよい空間を整えること。難しいのであれば、部屋の掃除だけでも気分はスッキリすると思います。

  • リラックスできる部屋にすることも有効

孤独感や不安感を紛らわすために意識しておきたいこと

日頃からできる心がけの一つとして、「他人と自分を比較しない」という方法があるでしょう。"みんなと一緒がいい、みんなと同じがいい"という集団心理を持つがゆえに、集団から外れると孤独や不安を感じるのであれば、集団を構成する他人の存在を気にしないのが一番。

他人がどうであれ、自分は自分だ、と思うことは、自立の第一歩と言えるでしょう。そのためには、テレビやネット等、他人の情報が入ってくるものを見すぎるのをやめるのも、一つの手かもしれません。

また、「考える時間を作らないようにする」というのも、コツの一つ。「失恋を忘れるために、仕事に没頭する」というケースがあるように、忙しいと考える時間がなくなり、そもそも孤独や不安を感じる暇がないという状況を作ることができます。時間が解決することも多いので、一度忘れて寝かせておく、というのも大事かもしれません。

まとめ

新生活は新しいことの連続で、外にいる間は不安や孤独を感じにくい状況にあるでしょう。しかし、いざ一人きりの部屋に帰ってくると、寂しさが押し寄せてくる、という人もいるかもしれません。高木さんのアドバイスにあったように、仕事の後に没頭できるような趣味を持ったり、信頼できる友人と会話を楽しんだりする時間を作ることで、孤独感は薄まるでしょう。

しかし、一人は寂しいけれど、一人の時間も好きという「一人好きの寂しがりや」の方もいるかもしれません。その場合は、これもアドバイスにあったように、一人暮らしの部屋を居心地よいものにすることは大事です。趣味を楽しんだり、友人と会ったりしたとしても、眠りに帰ってくるのは家のベッド。

夜中に孤独に悩まされて、眠りにくくなっても、家自体が快適であれば、その気持ちも和らぐかもしれませんよね。

そしてどこにいて、なにをしていようとも、「自分は自分」「一人の時間も楽しいもの」と思うことは、結婚して一人暮らしが終わったとしても、大切な考え方といえるかもしれません。まずはできることから、始めてみてはいかがでしょうか。

監修協力

髙木希奈(たかぎ・きな)
長野県出身。聖マリアンナ医科大学卒。
精神科病院及び産業医として企業に勤務。美容医療の施術クーポンとコスメを扱う通販サイト「キレナビ」を運営するメディアド代表、一般社団法人 予防医療研究協会の理事等を務める。著書に「あなたの周りの身近な狂気」(セブン&アイ出版)、電子書籍「女医が教える飽きないエッチ」(App Store、Kindle)など。趣味は、海外旅行とスキューバダイビング。オフィシャルブログ