今年度も残すところあとわずか。昨年度、藤井聡太七段が史上6例目の独占を達成した記録4部門(対局数、勝数、勝率、連勝)の1位争いもそろそろ結果が見えてきました。

現在、1位が確定的となっているのは「対局数」「勝率」「連勝」の3部門。

対局数部門は広瀬章人竜王が62局で1位。2位の佐々木大地五段に6局の差をつけています。今期は竜王戦で挑戦者となり、七番勝負を4勝3敗としてビックタイトルを獲得。また棋王戦本戦でも挑戦権を得たこと、王将戦で挑戦者決定リーグ入りを果たしたことなどで対局数を伸ばしました。

勝数以外の3部門は確定ランプ点灯

  • 左から広瀬竜王(対局数)、渡辺二冠(連勝)、藤井七段(勝率)

勝率部門は藤井聡太七段が42勝8敗[0.8400]としていて、2年連続の1位に輝く見込みです。現在2位の渡辺明二冠が38勝10敗[0.7917]で、星的には藤井七段が2敗し、渡辺二冠が4勝してようやく同率となる勘定です。藤井七段には歴代1位の記録、中原誠十六世名人が1967年度に打ち立てた47勝8敗[0.8545]をほぼ半世紀ぶりに更新する期待も懸かっていましたが、そちらは来年度以降のお楽しみということになりそうです。

連勝部門は渡辺二冠の15連勝で間違いなしの当確。現在継続中の連勝で最高のものが6連勝、10日あまりで追い付く差ではありません。渡辺二冠の連勝は順位戦B級2組以下の相手が1人もいなかったということでも話題となりました。B級1組7人、A級8人から挙げた15連勝の中には王将のタイトル奪取にからむ星が6つ含まれていて、15という数字以上に価値の高いものとなりました。2位は佐藤天彦名人の14連勝。

唯一確定していない勝数部門は、対局数で1位と2位の広瀬竜王、佐々木五段が43勝で並び、藤井七段が42勝で追走しています。何と広瀬竜王と佐々木五段の両者は3月22日に王座戦二次予選で対局が組まれていますので、その勝者がレースを有利に運ぶことになりそうです。

昨年度の藤井七段の記録は対局数、勝数、勝率、連勝の順に73局、61勝、[0.8356]、29連勝でした。連勝は考えられないような大記録なので例外的なものと捉えるとしても、今年度の記録と比べると対局数、勝数とも大幅に多かったことがわかります。ただしこれは、規格外の新人が各棋戦に予選の下のほうから参加し、また現在は七段になり参加資格を失った若手棋戦でも指していたからで、62局、43勝は例年と比較して同等かやや低いくらいの数字となっています。

※記事内の記録は3月19日現在のもの。