みなさんは、「アイスブレイク」というものを体験したことがあるでしょうか。研修や会議の前に行われることが多いのですが、なぜ、アイスブレイクを行うのでしょう。

  • アイスブレイクの効果を理解していますか?

本稿では、アイスブレイクの効果とともに、さまざまな手法をご紹介します。

アイスブレイクとは

アイスブレイクとは、面識のない人同士が集まる場面などで、コミュニケーションが取りやすくなるよう緊張感を和らげ、会議等の場の堅苦しい雰囲気を和ませるために行うものです。

自己紹介やゲームなどをするのが一般的で、通常、会議や研修の冒頭に5~10分程度で行われます。

アイスブレイクのやり方

アイスブレイクの手法は実にさまざまです。基本的には、自己紹介系、ゲーム系、体操系などがあります。では、どんなアイスブレイクがあるのか、いくつかご紹介しましょう。

●積み木自己紹介
まず、初めの人が「佐藤です」と名前を述べたら、次の人は「佐藤さんの隣の鈴木です」と言い、その次の人は「佐藤さんの隣の鈴木さんの隣の田中です」と言います。

全員の名前を積み上げながら、最後の一人まで繫いでいくゲームです。お互いの名前を早く覚えて欲しい時に有効でしょう。

●実は自己紹介
「実は、私~~なんです」というフレーズを用いた自己紹介です。

たったこれだけのことですが、「実は」と加えるだけで、普通の自己紹介では話さないような意外な内容が飛び出したりします。

●ヒーローインタビュー
一人がヒーロー役に、もう一人がインタビュアーとなって「一番活躍したとき」のことを聞き出します。少々大げさに質問していくと、より盛り上がるでしょう。

●後出しじゃんけん
ペアを作り、最初は普通のじゃんけんをしてもらいます。

次に、先攻後攻を決め、「ジャンケン ポン ポン」の声に合わせて、最初のポンで先攻が好きな手を出し、次のポンで、後攻が負ける手を出します。

研修会などでは、講師vs受講者で行われることも。

じゃんけんは勝たなくてはならないという「先入観にどれだけ自分がとらわれているか」「先入観にとらわれないことの難しさ」を知るきっかけになるでしょう。

●流れ星
参加者全員に、紙に「流れ星」「月」「木」を順番に描いてもらい、最後にみんなで見せ合います。

それぞれが描いた絵の違いに自然と笑いが起きるだけでなく、「同じものでも、人によって見え方や捉え方に違いがある」ということに気付かせる効果があります。

●1円玉の大きさは?
参加者全員に、実物を見ずに「1円玉の大きさ」を紙に描いてもらい、実際の1円玉と答え合わせをします。

実物よりも小さかった、大きすぎたと会話も弾むほか、「完璧に理解していると思っていても、実は分かっていなかったこと、見逃していることがある」ことに気づくでしょう。

アイスブレイクの効果

「アイスブレイク」という表現は、緊張感や堅苦しい空気を氷(アイス)に例え、それを溶かす(ブレイク)という意味からきています。文字通り、アイスブレイクの最大の効果は、「緊張を和らげる」ことにあります。

会議や研修などで、初めから何やら偉い人が出てきて難しい話をされても、面白くない話には耳を傾けようとしない人も多いものです。アイスブレイクは、そんな参加者の興味をひきよせ、発言しやすい環境を整えることにも効果的です。

また、先入観や固定概念は、時に、ビジネスに必要とされる自由な発想の妨げとなってしまいます。

「後出しじゃんけん」「流れ星」「1円玉の大きさは?」など、この手のタイプのアイスブレイクには、緊張した気持ちを和らげると同時に、頭を柔らかくする効果も期待できます。


コミュニケーション能力は、社会人に欠かせない重要なスキルです。しかしながら、メールやSNSによる会話が当たり前になった現代、私たちは、人と直接対話することから少しずつ遠ざかってしまっているように思います。

その傾向は若い世代ほど顕著で、事実、多くの若者がコミュニケーションに苦手意識を抱いています。

会議や研修で、「活発な意見がなかなか出ない」「どうも雰囲気がぎこちない」と感じた時は、アイスブレイクを上手く活用してみてはいかがでしょうか。