どんな企業でも「決算」というものが行われますが、「決算って何するんだろう? 」「何のためにするんだろう? 」と思ったことはありませんか? そこで本稿では、決算や決算月、本決算の内容などについて解説します。

  • 決算って何をするの?

    決算って何をするの?

■決算・決算月とは

「決算」とは、企業が一会計期間における収支や損益を算出し、当該期間の経営成績を明らかにすることです。この「一会計期間」が、1カ月単位で行われる決算を「月次決算」、3カ月ごとに途中経過を集計する決算を「四半期決算」、事業年度の中間月で行われる決算を「中間決算」と呼びます。

そして、年に一度、昨年度の業績結果と今年度の業績予想を発表する最も重要な決算が、「本決算」です。「本決算」が行われる月のことを「決算月」と言い、企業の会社四季報に必ず記載されています。

■決算の流れと内容

決算月の設定は企業が自由に設定できるのですが、最も多いのが3月です。3月期決算の企業の場合、4月から毎月「月次決算」を行います。

4月・5月と月次決算を重ね、6月に四半期決算の1回目を迎えます。これを「第1四半期決算」、または「1Q(ファーストクウォーター・いちきゅう)」と言います。上場企業は、四半期ごとの業績開示が義務付けられています。

その3カ月後となる9月に「第2四半期決算(2Q)」を迎えるわけですが、9月は年度の中間にあたることから、この第2四半期決算が「中間決算」となります。さらに、そこから3カ月後の12月が「第3四半期決算(3Q)」、その後1月・2月の月次決算を経て、3月に「本決算」(「第4四半期決算(4Q)」)を迎えます。

四半期決算や中間決算の結果、当初の予定よりも著しく進捗率が悪かった場合には、今年度の目標達成は困難と判断せざるを得ず、年度の途中で、業務の見直しや業績予想数値の下方修正を行います。反対に業績が予想を上回るようであれば、上方修正をします。

本決算では、3月末日で帳簿を締め、1年間(通常4月1日~翌3月31日)の業績を集計し、決算書を作成します。決算書は「財務諸表」とも呼ばれ、おもに以下の3つがあります。

貸借対照表(バランスシート)(B/S)
企業の資産・負債・純資産など、プラスの財産だけでなくマイナスの財産も含めた企業の全財産を一覧表にしたもの。企業が資金をどう調達し何に使ったのかを把握することができます。

損益計算書(プロフィット・アンド・ロス)(P/L)
会計期間中の収益・費用・利益の状態を記したもので、本業と副業のどちらで稼いでいるのか、企業の成長度がわかります。

キャッシュフロー計算書
会計期間中の収入と支出のお金の流れ(キャッシュフロー)を表示したもので、現金の増減がわかります。

これらの決算書にて、企業は1年間の儲けや損失、財務状態などを公表します。また、この決算書をもとに法人税などを算出し、申告・納付を行います。その後監査役などのチェックを経て、株主総会にて報告するのです。

決算によって「業績予想を下回るのであれば、下方修正しなければならない」とお話ししましたが、下方修正は、株主や投資家・金融機関からの評価を下げ、株価や借り入れに影響します。反対に、業績予想を上回れば信頼を得ることができるでしょう。

そのため、企業は何としてでも目標をクリアしたいと考えます。決算直前にセールを行う企業がありますが、あれは、少しでも利益を上げようと、最後のラストスパートとして開催されているんですね。


「決算書は、企業の通信簿」と例えられています。どの企業に投資するか、この企業に融資するべきか、あの企業と取り引きをして大丈夫なのか……決算書を見れば、その企業の経営状態が明確にわかるようになっているからです。ゆえに、決算は健全かつ正確に行わなければなりません。安易なミスで決算書の信用性を失うことのないよう、気を付けたいものですね。