ニュースなどでも冬のボーナスが話題になるなど、ボーナスが出るという人にとっては、心躍る季節でしょう。さて、「転職してきたばかりでもボーナスはもらえるの? 」と疑問に思ったことはないですか。今回の記事では、ボーナスの基本的な事項や、もらえる就業期間など支給される要件について確認してみましょう。

  • 転職してすぐでもボーナスはもらえる? ボーナスはこうして支給が決まる

    転職してすぐでもボーナスはもらえる?

ボーナスはこうして支給が決まる

毎年11月頃になると、今年の冬のボーナスの話題を耳にするようになりますよね。2018年の冬のボーナスの平均支給額は、一体いくらぐらいだったのでしょうか。

東証一部上場で従業員500人以上、主要21業種大手251社を調査の対象とし、集計可能だった75社の平均は、95万6,744円で前年比では3.49%増となりました(※1)。一方、中小企業も含めた東京都の民間労働組合の平均ですと、79万4,029円です(※2)。

これだけの金額がもらえるボーナス。あるとないとでは、単に嬉しいだけではなく、家計にも大きな影響を与えます。それでは、ボーナスとはどのように支給が決まるものなのでしょうか。

ボーナスは就業規則通りに支給される

夏と冬の年2回、決まってボーナスが支給されるという企業もあれば、ボーナスはなし、またはボーナスがない代わりに毎月の給与に上乗せして月給が高い企業など、ボーナスの支給については会社ごとにさまざまです。

これは、ボーナスの支払いは法律で義務付けられたものではなく、会社ごとに委ねられているためです。ボーナスについて取り決めがある場合は、会社の「就業規則」に支給の要件や支給時期、金額の計算式などがあります。

就業規則とは、賃金や労働時間、休暇、退職、労働条件などについて会社側が定めたものです。常時10人以上の労働者を雇用している企業には、就業規則の作成と届け出が義務付けられていますが、これに当てはまらない社員数名程度の企業の場合、就業規則がなく、経営者の判断でボーナスの有無が決まることもあります。会社の就業規則にボーナスの定めがあれば、会社はその通りに支給しなければなりません。

ボーナスの査定基準

このように会社ごとのルールに沿って支給されるボーナスですが、そもそもボーナスは、会社の業績や景気などによって金額が左右されます。これは、ボーナスは企業の利益を社員に還元する意味合いがあるためです。就業規則にボーナスについての定めがあり、「業績悪化を理由にボーナスを減らしたり不支給にしたりできる」とあれば、会社はボーナスを減額またはカットしても良いことになっています。

もう一つ、ボーナスの金額を決めるものに社員の「査定基準」があります。これは、後ほど出てくる「査定期間」中に社員を評価する際のポイントであり、おもに「勤務態度」「勤務状況」「(業務に対する)貢献度」の3つが見られています。

ボーナスの査定期間

多くの企業では、夏のボーナスは6~7月、冬のボーナスは12月と、年2回支給されます。この支給にあたり、社員を評価する期間が「査定期間」で、夏の支給分は10~3月、冬の支給分は4~9月が査定期間となるのが一般的です。

この期間の働きぶりが次のボーナスに響くと考えると、身が引き締まりますね。そのため、たとえば新入社員の場合、入社して初めてのボーナス支給日がやってきても、この支給分の査定期間には働いていなかった(入社していなかった)ため、そのボーナスはもらえないケースが多くあります。ただし、ボーナスの代わりに「寸志」がもらえるという会社もあります。

どのくらいの期間働いていればボーナスがもらえる?

転職してすぐでもボーナスはもらえる? ボーナスはこうして支給が決まる

入社してすぐのボーナスはもらえない会社も多い

それでは、入社してどのくらいの期間働いていれば、ボーナス支給の対象になれるのでしょうか。これも会社ごとの決まりによりますが、一般的には「雇用されてから6カ月以上」を条件としているところが多いようです。

査定期間が半年ずつあることや、査定期間に在籍していなければ通常は支給の対象者には該当しないことを踏まえれば、最低6カ月の就業期間は必要と考えられますね。就業規則に、「査定期間および支給日」に在籍していることを支給の要件と定められていれば、4月に入社した社員の夏のボーナスはなしです。この社員が12月に初めてのボーナスをもらえるとすれば、支給まで8~9カ月程度は働くことになります。

ただし、会社によっては新入社員や勤続6カ月未満の中途社員にもボーナスを支給するところもあります。ボーナスには、これまでの貢献のほかに、将来性の評価といった側面もあるため、今後の活躍に期待する意味で支払ってくれるのでしょう。

反対に、入社1年目はボーナスを支給しないと決められている企業もあります。会社によってボーナスについての規定はさまざまですので、就業規則があれば確認してみてください。

就職や転職の際には、「この会社でどのくらい働けばボーナスがもらえるのだろう」と気になるものですよね。ボーナスが出たらあれこれ買おうと思い巡らせるのは楽しいものですが、ボーナスは必ず支給されるとは限りません。ボーナスがない期間や支給されないこともあると念頭に置いた上で、マネープランを立ててみてください。

※1 日本経済団体連合会「2018年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)第1回集計」
※2 東京都産業労働局雇用就業部労働環境課「2018年年末一時金妥結状況(加重平均)(中間集計結果 平成30年11月8日現在)

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。