▼アドリブを交えるからこそ、逆に顕在化する5人の“凄さ”
そしてそのライブ映像を受けて、安野が「次の曲は、この映像に入っていなかった曲を……」と続けると、「Absolute 5」からライブ後半戦スタート。スピンのタイミングひとつ取ってもとにかく精度が高く、それでいて歌声はのびやかなまま、イントロ中のコーラスからハーモニーも美しいままで、“スキがない”とはこういうことを言うんだなぁ……と圧倒されてしまった。
しかし会場のボルテージは、続く「ワルキューレは裏切らない」でさらにUP。ステージ上では、あくまでナチュラルにフォーメーションチェンジをしつつ、振付も含めたBメロのフレーズが次々とリレーされていき、目も耳も引きつけていく。また西田、東山のこの曲での、特に2-Aメロでの歌声は、“マキナ”として、そして“レイナ”として強く歌う”という非常にピンポイントなコースを見事に突く素晴らしい表現だった、激しい間奏のダンスタイムにおいてはっきりと笑顔の見えた安野の凄さも、見逃してはいけないポイントだったように思う。
本当に圧倒的な、今のワルキューレの最高レベルが発揮された1曲となったが、ここに「ワルキューレがとまらない」を続け、勢いを緩めず突き進むのもまた今の5人の凄さ。ここではステージの中央に安野を残しつつ、上手側には鈴木、東山、下手側にはJUNNA、西田と立ち位置が分散。両サイドのファンの近くでもパフォーマンスを繰り広げる形を取る。
そのなかで、JUNNAと西田のテンションが上がり勢い余ってかハグ。それが上手の鈴木、・東山にも伝染すると、Bメロでは安野もそのふたりに合流し、3人でハグを交わす。ただ、それが見せ物として成立するのは、本筋のパフォーマンスがパーフェクトだからということは、改めてお伝えしておきたい。Dメロのコーラスもやはり大変美しい仕上がりだし、その他もダンス・ボーカルともに確実にレベルUPが見て取れる。微笑ましさの裏側の質の高さも、決して見逃してはならないものなのだ。そしてラスサビでは「ラスト行くぜー!」からの鈴木の煽りに合わせて銀テープが発射され、場内はますます熱を帯びていく。
▼声の上がり続けた「ルンピカ」は、観客からの何よりの素直な評価
曲明け、「JUNNAちゃんが死んじゃうんじゃないかかと思った(鈴木)」「私を殺すセトリ(JUNNA)」とここまでの怒涛ぶりに触れ、笑いを誘ったところで、新情報のお知らせ。なんと2019年6月1日・2日に「MACROSS CROSSOVER LIVE 2019」の開催が決定! もちろんワルキューレの出演も決定しており、「来年のお約束もできまして……(安野)」などと喜びをそれぞれ口にしていた。
そしてラストナンバーとして、メインスクリーンに映し出されたワルキューレのロゴを背負いながら、「Dancing in the Moonlight」がスタート。頭サビ前に、それぞれが決めポーズで個人のワルキューレサインやポーズを決めつつ、ハッピーなダンスナンバーでフロアをノセていく。気持ちが高ぶったのはステージ上の5人も同様だったようで、なかでも2コーラス目に入る頃から最後まで、鈴木のテンションが高くまさにルンがピカピカ光っているような様子だったし、その横に立つJUNNAも終始いい笑顔。その一方で大サビ前の一音ずつのリレーからマイクで円を描きながらののハモリも非常に見事で、テクニカルな部分も見せつつ楽しくライブを締めくくってくれた。
最後に、完全新作『劇場版マクロスΔ』の製作決定を5人揃って発表。今日最高音量の歓声が、会場に響き渡る。そして場内一体となって万歳を数回交わし「ワルキューレは、『マクロスΔ』とともにいつまでも走り続けたいと、私は思っております!」と鈴木の挨拶でライブは終幕。
観客への挨拶中にBGMとして流れていた「ルンがピカッと光ったら」が、ふいに会場中の大合唱へと発展。その様子を目に安野も「名残惜しいねぇ」と素直な気持ちをこぼしていた。そして階段上のステージに上がり、5人からオフマイクで挨拶があり降壇したあとも、「ルンがピカッと光ったら」が流れている間はずっと、フロアからはコールが上がり続けていた。そして、曲が終わったところで流れ始めた客出しナレーションはフレイア(鈴木)が担当。そんなファンへ向けてのメッセージと言わんばかりに、「ワルキューレは、まだまだとまらないかんね!」の言葉を送り、プレミアムイベントは幕を下ろしたのだった。
楽曲としては9曲が披露されたこの日のイベント。いずれの曲も目が離せない、というかどこを観ても高クオリティのパフォーマンスが繰り広げられていてどこに視線を送ればいいか迷うレベルの、非常に濃厚なものだった。その凄さに観客が大満足していたことは、前述の「ルンピカ」のくだりで感じ取っていただけるのではないだろうか。来年の「MACROSS CROSSOVER LIVE 2019」、そして『劇場版マクロスΔ』完全新作で待ち受けるあらたな物語に向かって、ワルキューレはますますその歌声もパフォーマンスも研ぎ澄ませてくれることだろう。次彼女たちに会うその日まで、まだまだワルキューレの全力疾走は、とまらない。
●ワルキューレ「扇情のプレミアムライブイベント」at 豊洲PIT
【SET LIST】
M1.ようこそ!ワルキューレ・ワールドへ
M2.チェンジ!!!!!
M3.一度だけの恋なら
M4.絶対零度θノヴァティック
M5. Walküre Attack!
M6.Absolute 5
M7.ワルキューレは裏切らない
M8.ワルキューレがとまらない
M9.Dancing in the Moonlight
Blu-ray&DVD 「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ」好評発売中