女優の石原さとみが25日、都内で行われた「東京ドラマアウォード2018」に出席し、2018年1月期のTBS系ドラマ『アンナチュラル』で主演女優賞を受賞。終了後、報道陣の囲み取材に応じ、撮影中の秘話を語った。

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    「東京ドラマアウォード2018」主演女優賞を受賞した石原さとみ

フジテレビ系『失恋ショコラティエ』(14)の助演女優賞以来の受賞となる石原。「『失恋ショコラティエ』のあの受賞から自分の気持ちも周りの環境もリアクションも、すごく変わってスタートを切れた気がしたんです。そこから再び『アンナチュラル』という作品の主演という立場で受賞できて、また新たなスタートが切れたらうれしいです。自分にとっては特別な賞だと思います」と笑顔を見せる。

撮影に臨むにあたって意識したのは、「台本の面白さ」を邪魔せず生かす方法。その悩みを塚原あゆ子監督に伝え、キャスト同士でも話し合いながら模索した。そしてたどり着いたのが、「自分自身がかかえている心とかテンションのバロメーターみたいなものを40から60の間、この20を行ったり来たりしているようなテンションの子にしよう」。明るすぎず、かといってネガティブすぎず。「前向きには捉えながら、生きることに貪欲で生命力のある人」というイメージから、石原の演じた「三澄ミコト」が生まれた。

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撮影現場では、「テンションの意識だけで、あとはただそこにいるという感じだった」。無理をしないといけないポイントに気づいた時には塚原監督に相談したが、「無理をしないこと」「芝居をしないこと」を徹底して指導されたという。当時を「ドキュメンタリーの感覚が残っています」と回顧する石原が、今も忘れられないシーンがある。

「5話のお葬式のシーンで、真犯人の復讐を止められなかったシーンがあるんですね。そのシーンの日から結構何度も夢を見るぐらい、ちょっとトラウマになるくらい鮮明に記憶してしまって。今もなおその映像をしっかり覚えていて。そういうことはなかなかなくて。それぐらい客観的なものでなく、主観でその場の状況を見ていたんだと自分でも驚きました」

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中打ち上げで、共演者と食事をする機会があった。UDIラボの所長・神倉保夫役の松重豊に、「こんなに良い意味で頑張らずに無理せず、主演のプレッシャーも全然感じずにいられる現場は初めてです」と伝えたところ、松重は「それがうれしいんだよ。そのために僕らがいる」と優しい言葉をかけてくれたという。石原はその言葉を思い出し、「泣きそうになるほど安心して、幸せを感じたんです」「幸せと安心を感じられる現場はなかなかないのも知っていますし、そういう作品にまた出会いたいと思います」と今後の女優人生にも思いをはせる。

今の石原にとっての『アンナチュラル』は「誇り」。「(主題歌の)米津(玄師)さんの歌詞に沿うわけではないですが」と前置きし、「つらいこともいっぱいあったんですけど、それすらも全部今は愛せてるし、この作品がずっと光のようなかけがえのないものだと感じます」と穏やかな表情でトロフィーを大切そうに抱えていた。

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