ビジネスマンの大半が毎年1度は受けているであろう健康診断や人間ドック。もちろん、病気の早期発見や早期治療が目的であるわけだが、「会社で受けないといけないことになっているから…」という感覚で、いざ検査が終わると関心が無くなってしまう人も多いのではないだろうか。そんな現状を変えるべく、医療法人社団「大地の会」が、2018年10月に「KRD Nihombashi」(東京都中央区日本橋)なる次世代健康診断施設をオープンする。人生100年時代に同施設が提案する、健診の新たなカタチを紹介しよう。
身体に関するリテラシー不足の解消にフォーカス
「KRD Nihombashi」が次世代たるゆえんは、健診の内容だけではなく、そもそもの健診に対する考え方を変えようというスタンスにある。厚生労働省の調査によれば、現在の日本人男女の平均寿命は約84歳だという。しかし、「健康寿命」は男女平均で約73歳にとどまっており、いまだ大勢の人が薬に頼りながら健康とは言えない老後を過ごしているのが現状だ。同施設が設立に至った背景には、“「健康寿命」と「実寿命」を合わせていける人を増やしたい”との想いが込められている。
健康への意識を高く持つきっかけとして、まずは健康診断や人間ドックに対するハードルを下げ、健診機関へより気軽に足を運んでもらうことも狙いのひとつ。
「ここへいらっしゃる方がリラックスできる空間を心がけています」と及川理事長が言うように、同施設はエントランスからすでに医療施設とは思えない明るい光にあふれた空間が広がっている。ロビーでは、利用者同士で顔が向き合わないように椅子を配置するといった工夫も。また、院内はWi-Fiが利用でき、受診の合間に仕事を進めることもできる。
検査項目は通常の倍! 年間を通じて受診者をサポート
同施設で行う健診は、各医療分野の高度な知識と技術を有する医師の監修のもと、113の検査項目を実施する。これは、人間ドック学会が設定する一般的な項目数の2倍以上だという。そのなかでも特筆すべきは「眼」「歯」「血」に関する診断の強化。
眼科検査では、大学病院にしか設置されていないような最新の検査器具を用い、総合的な診断ができるようになっている。
口腔内検査では、業界初となる音声入力が可能なソフトを導入したスムーズな診察が体験できる。虫歯の状況や歯周病などの検査以外に、オプションで口腔内の細菌検査なども受けることが可能。
血液検査は、最新の医学情報に基づいた70項目以上の検査を行い、さらに6カ月ごとにフォローアップ検査をするという管理も実施される。
同施設では、「自分の身体を時系列でチェックしている状態」をつくることが健康管理のベースであると考えている。web上で受けられる事前問診は、全300問を5日間かけて回答するというスタイルになっており、そのデータと実際の検査結果はクラウドで管理。検査後には、データに応じて今後の健康管理に役立つ情報を知らせてくれるほか、半年後に再度血液検査を設けることで、1年間隔の健診では気付きにくい“変化”の実感を得られるような仕組みをつくっている。
また、同施設にはスタジオが併設されており、健診を受けた人を対象に「栄養」「運動」「メンタルヘルス」をテーマにした体験型セミナーも展開していくとのこと。クッキングスクールや運動教室、身体の神秘に迫る講演会など、あらゆる専門家から楽しく知識を習得し、健康に対するさらなるリテラシー向上を目指す。
セミナーなども含む同健診の料金は、税別9万5,000円~。検査の詳細さに加え、受診者からの相談などにも適宜応じる方針のため、1日あたりの受け入れ人数は50人ほどを見込んでいる。
病が発症する前は、必ず身体から何かしらのサインがあるもの。そのサインにいち早く気付くことができれば、食事制限などの我慢を強いられるようなケースも未然に防げ、人生の楽しみを必要以上に減らさず済むだろう。健康診断や人間ドックは、受けることが目的ではなく、健康状態を維持するため、それらのサインに気付くために行うものだということを改めて認識し、1つしかない自分の身体と上手く付き合っていこう。