2018年9月13日、渋谷駅南側の再開発プロジェクトとして「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」なる複合施設が誕生した。旧東横線渋谷駅のホームや線路跡地、およびその周辺地区を再開発した「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREAM)」。その正面を流れる渋谷川沿いの遊歩道を進んだ先に現れる「渋谷ブリッジ(SHIBUYA BRIDGE)」。感度の高い多様な人々が集まる空間を創造し、新たな時代の流れを生み出すことになるであろう両施設の全貌を公開しよう。

  • 渋谷にクリエイティブワーカーの聖地誕生! ストリーム&ブリッジの全貌公開

    「渋谷を『日本一訪れたい街』へ」というテーマのもと現在も進められている渋谷再開発プロジェクト。2012年開業の「渋谷ヒカリエ」、2017年開業の「渋谷キャスト」に続き、「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」がついに開業を迎える (C)渋谷ストリーム

コンセプトは「クリエイティブワーカーの聖地」

国道246号によって中心街と分離され、いまだかつて大規模な再開発が行われたことのない渋谷駅南側エリア。まだ何色にも染まりきっていないこのフロンティアに、クリエイティブに生きる人々を魅了する新たな空間が生まれた。

  • 渋谷の近未来を表象し、シンボルとして普遍的に輝くようデザインされたオリジナリティ溢れる造形の「渋谷ストリーム」外観 (C)渋谷ストリーム

  • 渋谷の周辺では、原宿、青山・表参道、恵比寿、代官山など個性豊かな街が徒歩圏で結ばれている。この恵まれた環境を生かし、“面”としての街づくりを進めることで、渋谷の魅力向上、ならびに持続的な成長を目指すという。このほど両施設がオープンしたことにより、渋谷から代官山方面へさらなる人の流れが創出されると見込まれている (C)渋谷ブリッジ

施設名の「ストリーム」には、流れ、小川、絶え間なく続く、流れ込む、といった意味がある。同施設の前を流れる渋谷川や、旧東横線渋谷駅の線路跡地のゆるやかなストリートの流れを表現するとともに、この場所での体験・交流・挑戦から生まれる新しいモノ・コトを世界に発信し、ここから次の時代の流れを生み出したい。「渋谷ストリーム」という名称には、そのような想いが込められている。

  • 開発に際して、「クリエイティブワーカーに選ばれるビジネス環境をつくる」「歩行者ネットワークを整備して、新たな人の流れをつくる」「官民連携により渋谷川を再生し、特徴ある魅力的な都市環境をつくる」という3つのテーマが設けられた (C)渋谷ストリーム

「クリエイティブワーカーの聖地」をコンセプトに掲げた「渋谷ストリーム」は、約30店舗の商業ゾーン、177室の客室を備えたホテル、渋谷エリア最大級(総賃貸可能面積4万6,000平方メートル)を誇るオフィス、スタンディングで約700名を収容可能なホールなどで構成される。

  • 地上35階、地下4階、延床面積は約11万6,000平方メートル (C)渋谷ストリーム

多様なニーズを満たすプラットフォーム

同施設の1~3階部分には、流行に左右されない“渋谷流=シブヤ・カスタム”が集まる商業空間が展開される。渋谷川沿いでゆったりとした時間を過ごせる水辺空間が広がる1階。個性のにじみ出た店舗がメイン通路沿いに路面店のように軒を連ねる、賑やかなストリートが伸びる2階。多国籍な料理やお酒を堪能しながら会話を楽しめる、大人たちの溜まり場となる3階。日本初上陸の飲食店を含む約30店舗が並ぶ中で、バラエティ豊かなフードカルチャーの最先端が味わえる。

  • 渋谷川は、官民連携のもと水の流れを再生。清流復活水を活用した「壁泉」と呼ばれる水景施設や、緑豊かな遊歩道が整備された。また、渋谷川の上には2つの広場も登場する。渋谷駅南側エリアの玄関口「稲荷橋広場」と、恵比寿側に位置する「金王橋広場」、それぞれが各種イベントや商品展示などフレキシブルな用途に対応していくとのこと (C)渋谷ストリーム

  • 川辺のオープンカフェでまったりするもよし、レモネード専門店でテイクアウトしたドリンクを片手に散策するもよし (C)渋谷ストリーム

  • 稲荷橋広場から「渋谷ストリーム」2階へと続く大階段。腰を下ろしてくつろぎ、広場でのイベントを眺めることもできるナイススポットだ (C)渋谷ストリーム

  • 渋谷駅と「渋谷ストリーム」2階をつなぐ「国道246号横断デッキ」には、旧東横線渋谷駅の高架橋を再利用しており、旧東横線渋谷駅舎のアイコンであった「かまぼこ屋根」を再現している (C)渋谷ストリーム

  • 東急線沿線で使用されていたレールが埋め込まれている2階の貫通通路など、鉄道の記憶を継承するための工夫が随所に (C)渋谷ストリーム

  • 蕎麦にピザ、ロブスターロール、おにぎり、タイ料理など、魅力的なラインナップがズラリと並ぶ2階。イートインスペースが併設されたスーパーマーケットも出店している (C)渋谷ストリーム

  • スペイン・バルセロナで1番美味しいと言われるパエリアを提供するシーフードレストラン「XIRINGUITO Escriba(チリンギート エスクリバ)」は日本初上陸。そのほか、グラスの底からビールを注ぐサーバーシステム「Bottoms Up(ボトムス アップ)」を導入したクラフトビールレストランなども登場。それぞれがオープンな環境で隣り合い、3階部分はまるでひとつの大きな店舗かのような雰囲気に (C)渋谷ストリーム

「渋谷ストリーム」には「渋谷ヒカリエ」とほぼ同数の飲食店が集結しているが、「渋谷ストリーム」が意識したのは、ワーカーや近隣住民の等身大のニーズだという。空間をシェアするようなインモールゾーンも持ち合わせたこの場所から、渋谷の“食”のバリエーションはさらなる広がりを見せていくに違いない。

  • 4階には、年内にオープン予定のサイクルカフェと多目的広場も (C)渋谷ストリーム

さらに上の階へ上がると、次に姿を現すのは「渋谷ストリームエクセルホテル東急」。4階がロビー・フロント・ラウンジ・バー、9~13階が客室となっている。シングル25室(約20平方メートル~)、ダブル99室(約24平方メートル~)、ツイン53室(約30平方メートル~)、計177の客室を備えており、内装デザインはヴィンテージモダンな仕上がりに。

  • 宿泊客や同施設内のオフィス利用者の交流空間となるよう、ロビー・ラウンジには大きなパブリックゾーンを設けた

  • バー&ダイニング「TORRENT(トレント)」では、ドリンクとともにDJがかける音楽や大型スクリーンに映し出される映像が楽しめる

  • フランス・ボルドーの二ツ星レストラン、パリやブルゴーニュの三ツ星レストランで研鑽を積んだ料理長・永妻信人氏によるスタイリッシュなメニューの数々も堪能できる

  • ファッション文化の聖地でもある渋谷のアパレルショップをイメージしたワードローブ「ファッションクローク」などのこだわりの家具により、クリエイターが住まう空間を表現

  • 各フロアのエレベーターホール前には「マイスタールーム」を設置。「スタイルケア」「フード」「シューケア」など、コンセプトごとにこだわりの貸出し備品を用意している

さらに、渋谷駅側に立地する7階建ての建物内には、「渋谷ストリーム ホール」がある。ライブハウスが日本一集約する「エンタテイメントシティ SHIBUYA」をリードする会場として、コンサートを中心とした使用が可能であるほか、新商品発表会やセミナー、ファッションショーなどのビジネス用途にも対応。13日には、アイドルグループ・欅坂46によるこけら落としイベントも開催される。

  • スタンディング時には700名ほどを収容する約250平方メートルのホール。ガラス張りの外観と、2層にわたるホワイエも備えている

14~35階はオフィスゾーン。かつて“ビットバレー”と呼ばれた渋谷には、未来の産業をつくるベンチャー企業が23区でもっとも多く集積しているという。また、東京都内で2000年以降に設立した2,300社を超えるIT企業のうち、渋谷区で設立した企業数も最多を誇るとのこと。そしてここ「渋谷ストリーム」内の全てのオフィス区画には、グーグル合同会社の本社機能が移転入居することも決定している。再開発が進む渋谷でオフィス不足を解消し、エンジニアの集まる拠点としてビットバレーがどのように再建されていくのか。今後の動きからも目が離せない。