電話の取り次ぎや受付など、ビジネスでは相手の名前を聞き出さなければならないシーンが多々あります。そんな時、「お名前を頂戴できますでしょうか」と言っていませんか? 実はこれ、正しい日本語ではありません。そこで今回は、正しい名前の聞き方について解説したいと思います。
■「お名前を頂戴できますでしょうか」はなぜNG?
はじめに、「お名前を頂戴できますでしょうか」がなぜ間違いなのかについて解説しておきましょう。
この中で間違いとされているのは、「お名前を頂戴する」という部分です。「お名前」は、「名前」に丁寧語の「お」を付けたものですし、「頂戴する」という言葉は「もらう」の謙譲語ですから、それぞれ、お客さまや目上の人に使用する敬語としては正しいと言えます。間違っているのは、その組み合わせです。
そもそも名前というものは、もらったりあげたりする物ではありません。「お名前を頂戴する」と言うと「あなたの名前をもらう」という意味になってしまうので、正しい日本語とは言えませんね。
ビジネスシーンで「頂戴する」という表現を用いるとすれば、「お茶を頂戴できますか」「お名刺を頂戴できますでしょうか」などと使用することが多いでしょう。では、「名前」の場合には、どのような聞き方をすれば良いのでしょうか。
■名前を尋ねる時の正しい表現と例文
みなさんは普段、初対面の相手の名前を知りたい時にはどうされていますか? 前項で述べたとおり、名前はもらったりあげたりする"物"ではありません。相手の名前を知りたいのであれば、「聞く」「教えてもらう」のが一般的ではないでしょうか。ビジネスシーンでも同じです。
とりわけ、取引先やお客さまを相手とすることの多いビジネスシーンでは、謙譲語を用いるのが基本ですから、相手に名前を聞きたい場合には、「教えていただけますか」や、「聞く」の謙譲語である「伺う」や「お聞きする」といった表現を使うと良いでしょう。
・お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
・お客様のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか。
・お名前を教えていただけますか?
・お客様のお名前を教えていただけますでしょうか?
また、「恐れ入りますが」「差支えなければ」といった表現をプラスすると、グッと印象が良くなります。
・恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?
・差支えなければ、お名前を教えていただきたいのですが。
ビジネスに限らず、初対面の相手に名前を尋ねる・名乗ることはコミュニケーションの基本です。失礼のないよう、正しい言葉づかいを心がけましょう。