メンタルの弱い後輩への指導方法

浜岡:営業の後輩の心がすぐに折れてしまうのですが、自信をもってもらうためにはどう指導すればいいですか?

和田:社会人1年目というのは、「断られること」に慣れていないので、メンタルが折れやすいんです。だから、「断られることの価値」を伝えてあげましょう。「真正面から断ってくれる人って、実は親切なんだよ」って。下手に「いいねいいね」って言いながら、全然契約してくれない人のほうが、実はよっぽど困るじゃないですか(笑)

浜岡:それすごくわかります。

和田:営業は「圧倒的な量が質を生む」ので、たくさん断られたほうがいいんです。人間を磨くことに関して効率化はありませんから。「断られた」のひとつひとつが成長の階段になるということを伝えられると、怖くなくなるんじゃないかな。どれだけ言葉で伝えても、失敗は自分で経験しないと成長にはつながりません。そして失敗したときには、「次にどうするか」を一緒に考えてあげましょう。

  • 世界ナンバー2の営業に営業してみたら【後編】―リアルお悩み相談―

    「圧倒的な量が質を生む」と和田さん

売り上げが伸びるきっかけ

足立:思うように売り上げが伸びないのですが、和田さんはどういうきっかけで、売り上げが上がるようになったんですか?

和田:ちょうど足立さんと同じ年の頃、営業の上司に「今の3倍売れ」って言われたんですよ。でも無理だと思ったので「無理です」って言ったら、「やったことないのにどうして無理って言えるんだ。できないことを証明しろ」って返されてしまって(笑)

足立:すごい理屈ですね(笑)

和田:もうただの屁理屈なんですけど、言い返せなかったんです。でも人って、たとえばエベレストに登るときと、高尾山に登るときだと、全然準備が違ってきますよね。目標が高いと、鍛え方が変わるんです。とりあえず「3倍売る」ためにどうすればいいのか考えてみると、今までの方法じゃ無理だということがわかってくる。それで、新しいことを考えるんですよ。時間の使い方とかアプローチの仕方とか。いろいろとやってみたら意外と達成できてしまって、気付いたらすごく成長していました。

足立:気付いたら⋯⋯うらやましい。僕も今登っている山が合っているのか、見直してみます。

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    できるかできないかじゃなく、目指すことが大事

最後に

世界ナンバー2の営業に営業してみたら―。なかなか厳しいアドバイスをいただきながらも、今回協力してくれた2人は終わったあと、「自信がつきました」と話してくれました。

「失敗からしか学べないことがある」。悩める営業のみなさんも、失敗をおそれずにどんどんエベレストにチャレンジしてみてください。

筆者プロフィール: 和田裕美

営業とコミュニケーションの専門家/営業本のベストセラー作家
著書55冊以上、累計200万部超えのベストセラー作家として、ビジネス書から絵本や小説と幅広く執筆中。外資系教育会社でのフルコミッション営業で世界142カ国中第2位の成績を収め、20代で女性初の支社長となった実績を持つ。現在は、自らの経験をもとにセミナーや講演を多数実施、啓蒙活動につとめている。近著に「YESの9割はフロントトークで決まる!」「ぼくはちいさくてしろい」などがある。