ところで今回、Ryzen Masterが1.4に上がったという話を、Preview記事『Ryzen Threadripper 2はゲーマー向けXとクリエイター向けWXの2系統。8月13日に最上位モデルから発売』で取り上げた。ちょっと試してみたことがあるので、Ryzen Masterの説明もかねてご紹介したい。
Ryzen Masterそのものは以前から提供されているが、今回、Ryzen Threadripper 2950X/2990WXにあわせてバージョンが1.4に上がった(Photo26)。
主要な特徴はまず32コア対応がある。また、特にRyzen Threadripper 2990WXを意識してか、「Creator Mode」(Photo27)と「Gaming Mode」(Photo28)が追加されたことも挙げられる。
実際には、これとは別に完全にマニュアルで色々と設定可能であるが、今回ここで追加されたのが、PPT(Photo29)、TDC(Photo30)、EDC(Photo31)という3つのパラメータだ。
・PPT(Package Power Tracking):外部のVRMからソケット経由でCPUに供給する電力の最大量を決定する。デフォルトは250。
・TDC(Thermal Design Current):外部のVRMからソケット経由でCPUに供給する平均電流の最大値を決定する。
・EDC(Electrical Design Current):外部のVRMからソケット経由でCPUに供給する瞬間電流の最大値を決定する。
となっており、Overclockingの際にはこれを上げることで、より高い周波数でCPUを動作させられるようになる。当然ながらVRMも猛烈に発熱するので、VRM用のクーラーが付いてきた、という訳だ。これら3つのパラメータは、Precision Boost Overdriveを有効にすることで操作可能になる。
さて今回試してみたこととは、Legacy Compatible Modeである。Ryzen Threadripper 2990WXのCreator Modeでは、Far Cry 5やTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsが動作しなかったし、3DMarkを初めGaming系の性能は芳しくなかった。そこで、Legacy Compatible Modeを有効にするとこれが改善するか? を、ちょっと試してみた訳だ(Photo32)。
すべてのGameを試すのは時間がかかるので、取り急ぎ3DMarkのみ流してみた結果がグラフ95~101となる。グレーがCompatible Modeの結果であるが、ご覧の通りかなり改善しており、ほぼRyzen 7 2700X相当まで性能が復活している。
また、Far Cry、Tom Clancy's Ghost Recon Wildlandsともに、正常に起動することも確認した。どうしても必要なら、Legacy Compatibleモードを設定することで対応できるのは間違いない。