――そんなことをする人もいるんですね……。まぁ、少しでも評価を上げようとするその「努力」は、社会人である私も見習わないといけないですね(笑) では、これまでの質入れ品または買取品で最も高額だったのはどういった物なのでしょうか

買取で言うと、ロレックスのデイトナですね。ダイヤがレインボーに輝くもので、1,200万でご案内させていただきました。定価は税別850万円と買取価格より安かったのですが、付加価値がついてその値段が付きましたね。

  • 質入れや買い取り時など、市場の相場チェックは質屋の大切な仕事だ

    質入れや買い取り時など、市場の相場チェックは質屋の大切な仕事だ

――せ、1,200万円!? ちょっと奮発した1,000円ランチが1万回以上も食べられてしまうじゃないですか……

質入れですと、つい最近、オーデマピゲの時計を2本持ち込まれて「これで1,000万円を貸してくれないか」という方がいらっしゃいました。このような高額の物を査定する際は、品物はもちろんのこと、持ち込んだ方の人柄をしっかりと見極めることが大切です。「この人と本当に取引できるのだろうか」という具合にね。

――結局、その方には1,000万円をお貸ししたのですか?

時計自体は正規の店舗で購入されており、物はしっかりしていました。お話をしていく過程で信用できる方だと判断できたので、ご来店されてから3時間もしないうちに1,000万円をお渡ししました。車関係の自営業者で、当日の所定の時間までにお金を振り込まないといけなかったらしく、ご来店されたみたいです。お取引も無事に済んだみたいで、質入れされてから2カ月ほどで質出しにいらっしゃいました。

――スケールが大きな話ですね……。そのほかに印象に残っている物はありますか?

純金製のやかんやフォーク、仏具といったものを質入れに来られた際は「不要じゃないんだ、買い取りしないんだ」という意味で驚きますよね。あと、内情的に切羽詰まってどうしようもないのかもしれませんが、結婚指輪が質入れされるとなると、やはり複雑な気分になりますね。

また、変わった品物という意味では、エルメスの自転車を買い取った経験があります。物が大きいので、依頼された方のご自宅からお店まで配送してもらい、物が届いた日に依頼された方が来店されました。定価は100万円を超えるもので、買取価格は30万円ぐらいでした。ただ、売値が50万円の自転車なので「いったい誰か買うのだろうか」と思いながらネットオークションにかけたところ、すぐに売れましたね(笑)

――飯村店長は本当に多くの方と出会われてきたんですね(笑) さまざまな人のドラマをお聞きできるのは非常に楽しいです

質屋の仕事をしていると、いろいろなことを知れるのがいいですよね。例えば先日、ハッセルブラッドという100万円以上もするカメラを持ち込まれた方がいらっしゃいました。その方はプロのカメラマンということで、他のカメラと性能を含めて何が違うのかを教えてもらいましたね。そういうやり取りができるのも、この仕事の楽しみですね。

――なるほど……。今後もしも質入れをする機会が訪れた際は、飯村店長に査定をお願いしたいと思います。本日はありがとうございました!