えちぜん鉄道福井駅・新福井駅・福井口駅が新たな高架駅となって24日から営業開始し、福井駅で「えちぜん鉄道高架化完成記念式典」が開催された。

  • 新たな高架駅となって営業開始したえちぜん鉄道福井駅。ホームはガラス張りの明るく開放的な空間に

同社の路線は福井駅周辺の連続立体交差事業にともない、2015年9月から北陸新幹線福井駅部の高架を使用した仮線運行を実施。その後、高架本体の工事に着手した。事業区間は勝山永平寺線の約2.3km(福井駅から福井口~越前開発間の途中まで)と三国芦原線の約0.7km(福井口駅からJR北陸本線との立体交差付近まで)。6月23日をもって仮線での運行を終え、線路切替工事を経て6月24日の始発から新たな高架で営業開始した。

福井駅新駅舎を前に開催された「えちぜん鉄道高架化完成記念式典」では、福井県知事の西川一誠氏、福井市長の東村新一氏、えちぜん鉄道代表取締役社長の豊北景一氏らが出席した。「えちぜん鉄道は沿線住民の生活に欠かせない公共交通機関。恐竜博物館、大本山永平寺、東尋坊、芦原温泉といった観光地も結び、本県の産業や観光の発展に大きく貢献しています。高架化完成を契機に、ますますの利用者増加を祈念しています」と西川知事。東村市長は「えちぜん鉄道福井駅舎と鉄道高架の整備により、東西交通の円滑化、市街地のさらなる発展、福井駅周辺の活性化、そしてえちぜん鉄道への親しみが一層増すものと確信しています」と挨拶した。

えちぜん鉄道の豊北社長は、福井駅の新駅舎について「ガラス張りで内装に県産杉材をふんだんに使用し、開放感のある明るい駅舎に生まれ変わりました。鉄道駅の機能に加え、京福バスチケットセンターや待合スペース、観光案内機能など、快適に利用できるような工夫がなされています。インフォメーションとカフェを併設した『たびのは』と名づけたスペースも設けました」と紹介した。交通結節点・観光拠点の重要な役割を果たす駅として、「地元の方々、県内外から訪れる多くの方々に長く愛され、福井の街の思い出に残るような駅となることを願っています」と豊北社長は話す。記念式典では出席者と地元の子たちによるくす玉開披・テープカットも行われた。

  • ホーム西側の窓から仮線のホームが見える。仮線の駅舎は閉鎖され、「福井駅」の文字も消えた

  • 新駅舎前で「えちぜん鉄道高架化完成記念式典」を開催。出席者と地元の子たちによるくす玉開披・テープカットが行われた

福井駅の新駅舎は「人に寄り添うようなあたたかいイメージ」でデザインされ、内装に県産杉材を使用してあたたかみ・親しみを感じられるようにした。大本山永平寺の「格(ごう)天井」をイメージし、約1,100枚のパネルを使用したというホーム天井のデザインも特徴。外観には木質の空間と相性の良いさび色を採用している。駅舎東側を全面ガラス張りとして明るさと開放感を演出し、ホーム照明による夜間の景観も考慮している。

ホーム階の西側も一部ガラス張りで、前日まで営業していた仮線のホームも見える。将来的には北陸新幹線のホームを見られるようになるとのこと。えちぜん鉄道の仮線は今後撤去され、北陸新幹線の工事が本格化する。

  • えちぜん鉄道福井駅の新駅舎。内装は県産杉材をふんだんに用い、あたたかみと親しみを感じられる空間としている