社会にはさまざまな組織が存在し、当然、その職種や規模に応じた役職・役割が存在します。馴染み深いものでは社長・部長・課長などがありますが、では、「リーダー」や「マネージャー」はどうでしょうか。本稿では、「リーダー」と「マネージャー」の役割や違いについて解説します。

■「リーダー」とは

「リーダー」という言葉を聞けば、どんな立場の人を指すのか、何となく分かるのではないでしょうか。それは私たちが、子どもの頃からさまざまな集団の一員として育ってきたからでしょう。学校やクラス、班、グループ、チームといった集団には、常に「リーダー」と呼ばれる人が存在するものです。

「リーダー」とは、集団の先頭に立ち、集団を指導、先導、統率する立場にある人のことで、辞書には「指導者・統率者」と記載されています。

■「マネージャー」とは

「マネージャー」という言葉を辞書で調べてみると、「ホテルや飲食店などの支配人・管理人」「運動部などでチームの雑務を担当する人」「芸能人について、仕事の交渉や世話にあたる人」「企業などで、管理職」と掲載されています。いずれも、何かを管理する立場の人であることが分かります。

■ビジネスにおける「リーダー」と「マネージャー」

常にチームの先頭に立ち"行動"を起こす「リーダー」ですが、単に頭脳や技術が優れているだけでは務まりません。とりわけビジネスでは、事業の発展や新たな価値を見出し、イノベーションを起こすだけの勇気やパワー、そして行動力が必要とされます。

具体的には、チームが目標とする方向性を示し、一人ひとりに「誰が何をすべきか」という役割を提示します。また、リーダー自身もチームの一員、すなわち実務者であることから、自らが率先して行動を起こし、その姿勢を周囲に示しつつチームを率いて行くことが重要です。

一方、管理者である「マネージャー」は、チームの活動が、組織の規則や秩序・方針に則って行われるよう適切に導く役割があります。リーダーが「革新的」であるのに対し、マネージャーは「安定・効率化を推進する」立場にあると言えるでしょう。チームは組織の一部です。チームの意志を尊重しながらも、組織が決定した方針や戦略、組織の調和を逸脱することのないよう管理し導いていくことが重要なのです。そのため、常に組織全体の状況や現場の知識を把握しておく必要があるほか、経費をはじめとするあらゆる状況を数字で管理する能力も求められます。

両者の立場をレストランに当てはめると、シェフが厨房のリーダー、フロアマネージャーが接客のリーダー、支配人がマネージャーです。

リーダーとマネージャーのあるべき姿とは

リーダーもマネージャーも、ある集団を率いる立場であることに変わりはありませんが、最も明確な違いは、リーダーは時に規則を破り創造・変革を進め、マネージャーは規則を遵守し調和を重んじることでしょう。

リーダーには変革を進めること、つまり「人と組織を導く能力」が必要です。長期的なビジョンを提示し、チームをまとめ、チームに行動させます。

マネージャーはチームを規則に従い効率的に動かすこと、「管理する能力」が必要です。チームに当面の目標を示し、チームのメンバーに役割を振り分け、チームの予実管理を行います。


今回は、「リーダー」と「マネージャー」について紹介しました。それぞれに与えられた役割は違うものの、組織の発展のため、同じベクトルを持って取り組んでいることに変わりはありません。組織に属せば、何かしらの役割が与えられるものです。与えられた責をしっかりと果たし、ひとつずつキャリアを積み上げていきましょう。