「PDCAをしっかり回して……」会議や研修などでよく聞く言葉ですが、イマイチ意味が分からない人も多いのではないでしょうか。今回は、今さら人に聞けないビジネス用語「PDCA」の意味について取り上げます。
PDCAとは
「PDCA」とは、「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」の4つの英単語の頭文字で、「PDCAサイクル」とも呼ばれます。P→D→C→A→P……といった具合に、4つの段階を循環的に繰り返し行うことで、仕事を改善・効率化することができる方法と言われています。
その歴史は古く、1950年代にアメリカの経営手法として日本に紹介された後、生産や製造・品質管理などの現場で実践されてきました。品質管理の国際基準であるISO 9001やISO 14001などにも、PDCAサイクルの考え方が採用されています。
その後Web業界やシステム開発の現場とも相性の良い手法として注目を集め、ビジネス書の分野ではPDCA関連の書籍がベストセラーになるなど、全ての仕事に役立つワークマネジメント術として広く知られるようになりました。
各段階のポイント
Plan=計画
業務計画や達成したい目標を立てて計画を作成します。「誰が(Who)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」「いくらで(How much)」行うのかという5W2Hを意識しながら、具体的な数値と合わせて目標を設定します。
Do=実行
計画に沿って業務を実行します。計画や目標達成のために実行できることを、時間や数値などで具体的にToDoリストなどに落とし込み、順に実行していきます。
Check=評価
実行が計画に沿って行われたかどうか、目標を達成できているかどうかを評価します。また結果を見て、良かった点と悪かった点を客観的に数値などで分析し、どうしてそうなったかという要因を振り返ります。
Action=改善
評価を見ながら、良かった点は継続的に行い、悪かった部分はどのように改善するべきかを考えます。この計画を続けるか、修正するか、中止するかも考慮し、次のPlan段階へとつなげていきます。
PDCAサイクルのコツ
PDCAサイクルでは、目標達成のための計画を立て、具体的な実行に移し、その結果を振り返って客観的に評価し、よりよい改善方法を考える……というように、その都度フィードバックを行います。この長所は、同じミスを繰り返さないように意識し、良かった部分はさらに伸ばし、仕事の質を向上していくことができる点です。
ポイントは、サイクルを継続的に何度も循環させること。期間を決めて、きちんとサイクルを回していくことが重要になります。PDCAには「スパイラルアップ=螺旋状に向上していく」という基本概念があり、最初はうまくいかなくても、サイクルを回すことによって徐々に良くなっていくという考え方です。PDCAのサイクルを回すことによって、仕事の効率化と精緻化が進んでいくわけです。
「PDCA」の用例
- 「PDCAをうまく回せるかは、計画をどれくらい明確に立てられるかにかかっている」
- 「PDCAサイクルの考え方は、システム開発の現場でも非常に有効だ」
「PDCA」のデメリット
仕事を進めるにあたって大事なPDCAですが、意識し過ぎると逆に仕事の支障となることもあるようです。マイナビニュース会員183名を対象にアンケートを実施しました。
調査時期: 2020年1月29日~30日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女183名
調査方法: インターネットログイン式アンケート
およそ半分の方が、逆に仕事の妨げになったと回答しています。
さらに、具体的なエピソードを聞いてみると、「意識しすぎて、本当の事業の意義を見失いそうになった」(30代男性/IT関連技術職)、「気が付いたら『PPPP』のまま終了して、上司にこっぴどく怒られた(笑)」(50代男性/事務・企画・経営関連)、「もともとある業務に対して無理やりそれを行ったために、かえって作業に時間がかかることとなった」(40代男性/事務・企画・経営関連)など、PDCAにこだわり過ぎ、仕事の本来の目的を見失いがちになるケースが多いようです。
そして、「PDCAが仕事になってしまった」(60代男性/営業関連)、「PDCAが目的化される」(50代男性/事務・企画・経営関連)など、PDCAを偏重して、本末転倒になったことを指摘する声もありました。
PDCAサイクルの考え方は、ビジネスだけでなく、人生設計や家事の効率化など、さまざまな局面で役立つ方法と言われています。何かを改善したい、向上させたいと悩んでいる方は、ぜひ取り入れてみてください。