キャンピングカーを持っていない来場者が増加

野瀬氏によると、従来はショーに来場する人の大半がキャンピングカー購入を検討していたとのことだが、今回は、来場者の半数近くがキャンピングカー以外のクルマで車中泊を楽しんでいる人たちだったという。

これまではキャンピングカー購入を検討する人が95%を占めていたのに対し、購入検討よりも、興味・関心を持ってクルマの移動を楽しみたいという人たちが25%を占めてきたとする。つまり、キャンピングカーショーは商談の場としてのビジネスショーである半面、クルマを楽しみたい人が集まるユースショーの場となってきているのだ。

  • トヨタ「ハイラックス」

    トヨタ「ハイラックス」のキャンピングカー仕様

モータリゼーションと共に定着したクルマ文化

筆者は、日本のオートキャンプ創成期の1970年代前半から取材し、自らも家族でオートキャンプを体験してきた。当時、自動車先進国であった欧米でのオートキャンプは、長いバカンスをキャンピングカーで楽しむことが定着していた。日本でも高度経済成長の中でのモータリゼーション進展とともに、1969年に日本オートキャンプ協会が発足し、1970年に「第1回キャンピングカー&ユーズドカーショー」が東京・神宮絵画館前広場で開催された。

日本でキャンプといえば、野営のイメージが強かった。ボーイスカウトなどの青少年キャンプである。これに対し、「クルマ社会の到来と共に、クルマでキャンプを楽しむのがオートキャンプであり、青少年キャンプを脱して日本にも定着させたい」(発足時の岡本昌光日本オートキャンプ協会専務理事)という狙いで日本オートキャンプ協会が設立された。

その後、日本のクルマ市場は成長を続けたが、1990年のバブル崩壊と共に、高度成長は終焉を遂げた。バブル崩壊はモノの豊かさよりも心の豊かさを重視するという風潮を生み出したが、そんな流れの中、日本のオートキャンプは家族で楽しめるレジャーということで着目され、1990年代半ばにはアウトドアブーム・RVブームへと広がっていった。1996年には日本のオートキャンプ人口は1,580万人、全国のトートキャンプ場は1,000カ所を超えた。

  • ルノー「カングー」

    ルノー「カングー」のキャンピングカー仕様

しかし、この1990年代半ばをピークに、日本のオートキャンプ人口は減少の一途をたどった。その原因は、人口のボリュームゾーンを占めていた団塊世代が1990年代半ば頃から子育てを終え始めたこと、さらには、長引いた景気低迷のあおりを受けたことなどが挙げられる。