日本のキャンピングカー保有台数は2016年に10万台を突破し、その後も緩やかに増え続けている。「RVブーム」後の低迷から抜け出し、クルマでキャンプを楽しむ人が増えているのだ。ジャパンキャンピングカーショー実行委員会の話も交えつつ、その背景を探る。

  • キャンピングカーの画像

    日本でキャンピングカーが増えている

ジャパンキャンピングカーショー来場者の特徴は?

「ジャパンキャンピングカーショー2018」が幕張メッセで開催された。会期は2月2日から4日までの3日間で、来場者数は6万7,885人。来場者数の近年の推移は2015年が約6万人、2016年が6.2万人、2017年が7.4万人で、一見すると今年は集客が落ちたと思われるかもしれないが、これまでは会期が4日間で、今回が3日間だったことを考慮すれば、その活況ぶりは継続しているといえる。

  • 「ジャパンキャンピングカーショー2018」会場の様子

    3日間で6.8万人近くが足を運んだ「ジャパンキャンピングカーショー2018」。犬を連れた来場者も多かった

ジャパンキャンピングカーショー実行委員会の野瀬勇一郎氏は、出展者や来場者の状況が変化していることを強調する。アジア最大のキャンピングカーの祭典として2011年から毎年開催されているショーだが、今回は特に、「クルマの移動空間の楽しみ」に関心を持って来場する人が増えたのが特徴だ。

  • 「ジャパンキャンピングカーショー2018」実行委員会の野瀬さん

    ジャパンキャンピングカーショー実行委員会の野瀬勇一郎氏

キャンピングカーとは、「車内で生活できるように架装されたクルマ」のことだが、国土交通省は「キャンピング車の構造要件」として、「車室内に居住してキャンプすることを目的とした自動車」と定義し、8ナンバー登録の特種用途自動車に区分している。

欧米でのキャンピングカーといえば、米国での大型けん引トレーラーや欧州でのモーターホームが代名詞だが、日本では8ナンバーキャンピングカーを頂点とし、ミニバンやワンボックス、SUV、さらには軽自動車のキャンピング仕様まで、幅広くRV(レクリエーショナル・ビークル)と総称されている。

キャンピングカーといえばオートキャンプだが、近年はグランピングという豪華なオートキャンプの楽しみ方も話題となるなど、多様化のトレンドにある。さらに車中泊の楽しみなど、ライフスタイルとしてキャンピングカーに関心を持つ向きも増えているようだ。

  • ホンダ「N-BOX」

    ホンダの軽自動車「N-BOX」のキャンピングカー仕様

シェアリングとも親和性の高いキャンピングカー

一方で、出展者にあってはレンタルキャンピングカーが10社に増えて、カーシェアリングビジネスがここにも新たな胎動を示す。さらに、オートキャンプ場での充電との連動でプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)の活用期待もある。つまり、キャンピングカーは自動車業界でトレンドとなっているシェアリングや電動化との親和性が高いのだ。

  • キャンピングカーのレンタカー

    ジャパンキャンピングカーショーではレンタカー事業者の出展も増えているという。今後は、使わないときには他人とシェアするようなキャンピングカーとの付き合い方が増えるかもしれない

日本のオートキャンプには、クルマ社会が成熟し、先進技術の導入も盛んとなり、「モノからコトへ、体験を買う社会に変容する」流れのなかで、新たな波が来ているのかも知れない。