4月の入園・入学シーズンを前に、自分の子が周りについていけるのか、心配になっている人もいるのではないでしょうか。

特に子どもが1~3月の早生まれだと、「周りの子と発達に差があるのでは?」と不安になる人も多いかもしれません。そもそも本当に差はあるのか、気にすべきなのか、小児科医の竹中美恵子先生に聞きました。

  • 早生まれの子にまつわる心配事について聞きました(画像はイメージ)

Q.早生まれの子とそうでない子で発達に差はあるのでしょうか?

身体的な発育について、幼稚園に入園する3歳より前の子は、月齢による差があります。ただ、一般的には小学校に入るくらいまでにその差は小さくなり、言語などの発達の差についても、6歳頃にはそろうと言われています。

Q.特に「発語が遅いのでは?」と心配される方は多いようなのですが

言葉の発達については、早生まれかそうでないかよりも、周りの環境に大きく影響を受けることが分かっています。例えば、家庭での会話を多くしたり、絵本をたくさん読んだり、童謡を流したりすることで、早く言語習得できると言われています。

また、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる、保育園に早くから通っているといった環境にある子は、言葉が早く出やすい傾向にあります。無理に差をなくそうと考える必要はないと思いますが、気になる場合には、いろいろなところへ連れ出してあげて、刺激を与えてあげると良いかもしれません。

Q.例えばどんなところへ連れていくのがおすすめですか?

同い年や少し年上の子どものいるところがいいでしょう。支援センターや育児サークルに顔を出したり、習い事に通わせたりするのも良いと思います。

子ども同士の触れ合いは、発育を促すためにも大変重要です。人への興味や好奇心によって発達は進んでいくので、幼稚園の入園まで時間がある場合は、積極的に連れ出してあげましょう。

Q.幼稚園入園前に、おむつが外れていなくて悩む方もいるようです

全く気にする必要はないと思いますよ。早いうちからおむつが外れたから良い、ということではないですよね。親が神経質になることで子どものストレスがたまり、トイレトレーニングが停滞してしまうこともあります。幼稚園の先生もきっとトレーニングに協力してくれると思うので、焦らなくても大丈夫です。

Q.発達の遅れが心配になったときに、その原因を特定したり、判断したりする方法はありますか?

発達の遅れは小さいうちに判断しにくく、はっきりと断定される子は少ないです。幼稚園などで集団行動をとる中でだんだんと分かってくるケースが多いのですが、心配な場合はかかりつけの小児科で相談してみるのも良いと思います。

Q.早生まれの影響について悩んでいるママ・パパに向けて、アドバイスがあれば教えてください

とにかく、周りの子と比べないことが一番です。その子ができていないことを見るのではなく、できているところを褒めてあげることをおすすめします。月齢の差は変えられるものではありませんが、親がその子の個性をしっかりと見てあげることはできます。

ママたちが自分のことで悩んでいると気づいたら、きっと子どもはショックを受けてしまいますよね。子どもの心は敏感で親の気持ちに影響されやすいので、おおらかな気持ちで構えていてあげた方がいいかもしれません。

竹中美恵子先生

小児科医、小児慢性特定疾患指定医、難病指定医。
アナウンサーになりたいと将来の夢を描いていた矢先に、小児科医であった最愛の祖父を亡くし、医師を志す。2009年、金沢医科大学医学部医学科を卒業。広島市立広島市民病院小児科などで勤務した後、自らの子育て経験を生かし、「女医によるファミリークリニック」(広島市南区)を開業。産後の女医のみの、タイムシェアワーキングで運営する先進的な取り組みで注目を集める。
日本小児科学会、日本周産期新生児医学会、日本小児神経学会、日本小児リウマチ学会所属。日本周産期新生児医学会認定 新生児蘇生法専門コース認定取得
メディア出演多数。2014年日本助産師学会中国四国支部で特別講演の座長を務める。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加する「En女医会」に所属。ボランティア活動を通じて、女性として医師としての社会貢献を行っている。