第2弾『仮面ライダーパラドクスwithポッピー』は、仮面ライダーパラドクス/パラドと仮面ライダーポッピー/ポッピーピポパポ/仮野明日那が中心となった物語。再生医療に従事する女医・八乙女紗衣子の依頼のもと、消滅者復活の鍵として開発された育成ゲーム「バグスターをつくるぜ!」。仮面ライダーエグゼイド/宝生永夢がパラドを、紗衣子がポッピーを育成するテストプレイに臨むが、そのゲームから現れたパラドは様子がおかしい。何者かに囚われた本物のパラドは永夢との絆を胸に、もう1人の"謎のパラド"と対峙する。

今やエグゼイドの頼もしいパートナーとなった仮面ライダーパラドクス/パラドと、ダークな衣裳に身を包んだ"ブラックパラド"の2役を演じる甲斐翔真は、「台本をいただいた時点で、パラドとブラックパラドのセリフだけでは両者の差が見いだせない。単純に、いいパラド、悪いパラドじゃつまらないと思ったので、思いの違いを演じ分けようと努めました。永夢の側に立った今のパラドが、昔の自分を見ているような感じを出してみたかった。パラドが永夢っぽいことを言うとき、話し方も永夢に似せてみるとか」と、テレビシリーズの1年間を通じて成長・変化を遂げたパラドというキャラクターをより深く理解し、演技に活かそうとする姿勢を明かしていた。

パラドとポッピーが主役のエピソードということについて甲斐は、「主演と言われると気が重くなるんですけれど、こうして真ん中に立っていると嬉しいですね。自分の技量で作品が面白いかつまらないかが決まる、という位置にいましたので、すごく責任を感じて演じました!」と自身の立ち位置の重要さを真摯に感じつつ、主演を務め上げた達成感を最高の笑顔でファンに伝えていた。

仮面ライダーポッピー/仮野明日那/ポッピーピポパポを演じる松田るかは、今回の作品では多種多様なコスプレを行っているのがまず見どころとなった。しかし松田としては「ポッピーという役柄が常にコスプレという印象なので、感覚がマヒしていてコスプレをしたなあという思いが薄い」とあっさり気味に話しつつ、「今までになかった衣裳をたくさん着させていただきました」と、通常よりも派手なコスチュームチェンジをしたことの感想を述べていた。

鈴村監督によると、このコスプレシーンが3部作の中でももっとも時間のかかった部分だそうで、これを聞いた松田が「えーっ、そうなの!?」と驚く場面も。また、コスプレの際に見せた個性的なダンスは、松田のアドリブによるものだったということも明らかとなった。撮影の苦労話としては、「椅子に縛られているシーンで、撮影中に雨が降ってきて中断になったんです。でも私を縛っているコードは一度結ぶとほどいて結び直すのが面倒だったそうで、私だけ上に(雨よけの)テントを貼られて、縛られたままずっと外に放置されていたんです」と、急な天候変化に泣かされたエピソードを語った。

また松田は本作の主題歌「Real Heart」を歌っていることも話題になっているが、これについて松田は「バグスターの気持ちを表現するかのような、よく聴くと心がつかまれるような内容。カッコイイ曲調と歌詞がマッチしていて良かったと思います」と、出来栄えに満足している模様。

3部作のキーパーソンというべき女医・八乙女紗衣子を演じる柳ゆり菜は、「念願の仮面ライダー出演。でも台本を読むととても難しいと思いました。医療ものという内容もそうですが、1年間を通して作り上げられてきた『エグゼイド』の世界に、私がポンと参加するのはすごいプレッシャーでした。でも、鈴村監督をはじめみなさんが優しく迎え入れてくださり、楽しく撮影ができました」と爽やかな笑顔を見せた。

撮影時のエピソードを尋ねられると柳は、「甲斐くんとは初対面でいきなりビンタし、ヒールでふみつけるシーンの撮影から入ったんです。『なんでこれが最初なの?』って(笑)」と、初日の撮影からいきなり過激なシーンで甲斐と対面した出会いを苦笑まじりに語った。

3部作すべてに出演しているキャストのひとりでもある紗衣子の役柄については「二面性があって、女優冥利に尽きる役をいただきました。裏の"黒い"紗衣子よりも、ふだんの色気のある紗衣子のほうがとても難しくて、男性を誘惑するときに顔を触る仕草とかをやっても、なかなか色っぽくならないんですよ」と、演技面のやりがいと難しさを話した。すると鈴村監督から「一度、甲斐くんから指導が入ったんだよね」と、色気を出す芝居について甲斐からアドバイスがあったことが判明し、柳は「そうなんですよ! (撮影当時)19歳に教えられた! なかなか……色っぽさでは先輩です(笑)」と、甲斐の大物感をリスペクトする場面も見られた。

バグスターの実力者としてエグゼイドたちと戦ったグラファイトを演じる町井祥真は、グリーンバックによる合成画面での登場ゆえに、隣のキャスト陣とは一度も顔を合わせないまま撮影を終えていた。このことをやたらと他のキャストたちからネタにされている町井は「柳さんとは、別の現場でご一緒しましたが、同じ作品に出ていたと信じてもらえなかった。今回の上映で(出演が)証明されて嬉しい」と、微妙な笑顔で語った。短い出番ゆえに「まさかのグラファイトの無駄遣い! 本当に何とコメントしていいか」と困惑気味の町井だったが「衣裳合わせのとき、謎の勇者みたいな甲冑を着けられて、これ動けませんよ、顔も見えないし、『僕じゃなくてもいいですよね、もはや!』みたいなところもありました(笑)」と、やや自虐的に撮影時のエピソードを話してくれた。1日で終えたという撮影の、オールアップ時の印象を尋ねられると「およそ3時間くらいで終わりました。監督からお花をいただいて、他のキャストは誰もいなくて……楽しかったですよ!(笑)」と、なんとも複雑な表情を浮かべて周囲の笑いを誘った。