「ペンディング」の意味とは?

はじめての社内会議で、先輩が「あまり時間もないので、この件はペンディングして、例の件を先に決めましょう」と言っていたが、「とりあえず後回し」ってこと? そこで今回は、分かっているようで分からないビジネス用語「ペンディング」についてご紹介します。

■ペンディングの意味

「ペンディング」という言葉は、「宙ぶらりん」「未決定で」「差し迫って」という意味の英語「pending」から来ている言葉です。ビジネスシーンでは、「保留」「先送り」といった意味で使われており、特にIT業界でよく耳にする言葉です。

ちなみに、中央官庁などでも「保留」という意味で使われますが、「P」と略されることが多いようです。

■なぜ、「保留」「先送り」と言わないのか

ビジネス用語の多くは、本来の言葉を短縮して言いやすくしたり、日本語に訳すとニュアンスがうまく伝わらないような外国語をそのままで使うというケースが多いと思いますが、「ペンディング」はどちらにも当てはまらないように思います。それでも、あえて「ペンディング」とするには、理由があるのです。

「保留」や「先送り」ということは、そもそもあまり良いことではなく、ビジネスの世界ではなるべく避けたいことなのです。特に、取引先との商談の中で結論に至らなかった時に、「では、この件は先送りということで」と言えば、「互いの意見が合わなかった」という印象を与えてしまい、場の雰囲気も悪くなってしまいます。その後の交渉にも、少なからず影響するでしょう。

では、「この件はペンディングということで」という表現ならどうでしょうか。「先送り」と言われてしまうと、「この件はこれで終わり」という印象を受けますが、「ペンディング」と言い換えることで、何となくですが、「この件は、一度持ち帰って前向きに検討し直しましょう」というニュアンスを含んでいるように感じます。また、この商談は無駄ではなく、なにかしらの意味があったようにも受け止められる気がします。ちょっとした印象の違いに過ぎませんが、ビジネスの世界では「印象」はとても重要なものです。そのために、少しでも良い方向に進むような「言葉を選ぶ」、というのも大切なスキルと言えるでしょう。

■ペンディングの使い方

社内会議にしろ、商談にしろ、決めなければならない案件はひとつとは限らないでしょう。時間も限られている中で、あまり重要ではない案件や、期限に余裕がある案件に時間を費やしていては、本当に話し合いたい重要な案件まで話が進みません。そんな時にこそ、ペンディングすることを選択しましょう。ただし、商談などの場合には、ペンディングした案件を、重要案件が済んでから再度議案に挙げたり、「この件は次回の打合せで」「この件は、再度検討し直して、改めてご連絡致します」と確認するなど、決して、うやむやにしたり忘れてしまうことのないよう配慮しましょう。

また、社内会議でペンディングした案件を、いつまでも「保留」したまま放置しないよう注意が必要です。議題に挙がったということは、何かしらの問題が発生しており、解決する必要があると考えられます。次回の会議で再び議題に挙げるよう、ペンディング事項を整理し共有することも大切です。

■ペンディングの例文

・「時間も押しているので、一旦ペンディングすることにしましょう」
・「例の件については、まだペンディング状態です」

一般的な使い方です。前者は「一旦先送りすることにしましょう」、後者は「保留状態です」となります。

・「明日の会議では、前回のペンディング事項から話し合おう」
・「ペンディング事項をリスト化しておいて下さい」

ビジネスシーンでは、「ペンディング事項」という表現も良く使われます。「保留されている事項」という意味になりますので、覚えておきましょう。

今回は、「ペンディング」というビジネス用語をご紹介しました。ペンディングは本来良いことではありません。ペンディングするべき状況かどうか、きちんと見極めた上で使うよう心がけましょう。