企業とは、常に目指すべき将来像を描き、従業員に対して、それに向けた目標を掲げているものです。そこで本稿では、企業の目標設定に関係するビジネス用語「KPI」についてご紹介したいと思います。
■KPIの意味とは
「KPI」とは、key performance indicator の略で、組織やチームで設定した最終的な目標を達成するための、過程を計測・評価する中間指標のことです。日本では「重要業績評価指標」や「主要業績評価指標」「重要達成度指標」などと言われています。
■KPIとKGI
「KGI」とは、Key Goal Indicatorの略で、日本では「重要目標達成指標」などと訳されます。KGIは、組織やチームで設定した最終的な目標そのものである「最終ゴール」であり、そのゴールまでの「過程」を測るための中間的な指標がKPIです。
具体的には、KGIが「売上高、前年比30%増」とした場合、「訪問件数」「電話件数」「新規顧客獲得数」「リピート率」といったものがKPIとなります。
■KPI・KGI設定のポイント
多くの企業が、業績アップのために目標を設定しているかと思いますが、上層部が、ただ漠然と「来期の年間売上げ1億円到達」という目標を掲げたところで、従業員は、企業の一員として、一年間で何をどのくらいこなせばいいのか、具体的にイメージすることは難しいでしょう。
そこで、最終目標(KGI)を達成するためのプロセスに、より具体的な目標となるKPIを複数設定します。例えば、「1カ月で新規顧客を○件増やす」「7月までに商品取扱店舗を○割拡大」「リピート率○%アップ」「新商品を○点追加」などです。KGIは、1年や3年など長期的な目標であるのに対し、KPIは、定期的に進捗状況を計測し改善する必要があることから、比較的短いスパンで設定します。
また、KGI・KPIを設置する際には、明らかに達成困難な数値とならぬよう注意しましょう。あまりに高い目標だと、現場や従業員たちは「そんなの無理に決まっている」「上は勝手なことばかり言って」と本気で取り組もうとせず、仕事に対するモチベーションが返って下がってしまいます。特にKPIは、過去のデータなどを分析し、短期間で必ず達成可能な正しい数値を設定するよう心がけましょう。
■KPI管理と効果
KPIは、ただ具体的な数値を設定するだけで終わっては意味がありません。それぞれのKPIの達成度を定期的に測定し、課題や改善策を抽出、データ化するなどして、良い点も悪い点もチームで共有することが大切です。例えば、同じ業務を担当している人が複数いる場合には、目標を達成した人と未達成だった人とを比較することで、どうすれば達成できるかというノウハウを導き出し、それによって、未達成だった人もクリアすることができるようにします。ひとつのKPIを達成した場合には、新たなKPIを設定し、戦略の見直しなどを繰り返しながら、最終目標(KGI)をクリアできるまでチーム一丸となって取り組むための意思統一を図ること、これがKPI管理に期待されることです。
今回は、KPIについてご紹介しました。「企業は人なり」と言いますが、企業がどんなに壮大なビジョンを描いても、従業員の働きが無ければ到達できません。KPI管理は、個々のモチベーションを高め、企業全体の業績向上に繋げるのに適した戦術と言えるのではないでしょうか。無理なノルマを与えても、業績が上がるのは一時だけです。従業員のやる気をいかに引き出すかが、上に立つ者の手腕が問われるところでもあり、最も重要な役割と言えるでしょう。