ロールス・ロイス・モーター・カーズが最上級モデル「ファントム」をフルモデルチェンジする。1925年のデビューから数えて8代目となる今回のファントムは、単なるクルマではなく、ラグジュアリーの世界に新たなベンチマークを設定する存在とロールス・ロイスは位置づける。同社が「世界最高のクルマ」と呼んではばからない新型ファントムは、どんなクルマなのか。そして、日本ではどのくらい売れるものなのだろうか。
多くの著名人が乗った「ファントム」が8代目に
「ファントム」は欧州で耐久レースを総なめにした「シルヴァーゴースト」の後継として1925年に誕生したロールス・ロイスの最上級モデル。歴代モデルの所有者には、フレッド・アステアやジョン・レノンなどの著名人が名を連ねる。
今回、14年ぶりのフルモデルチェンジを受けた8代目ファントムは、今後のロールス・ロイスの全モデルで基礎となる新しいアーキテクチャーを採用している。ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋でプロダクト・マネージャーを務めるスヴェン・グルンワルド氏によると、新型ファントムの剛性は先代モデルから全体で30%、部分的には100%も向上。新しいエアサスペンションや大型化したエアスプリングの効果もあり、その「マジック・カーペット・ライド」(魔法のじゅうたんのような乗り心地)は完成度を増したという。
グルンワルド氏が「疑いなく世界で最も静かなクルマ」と断言する新型「ファントム」。ガラス張りのインパネ(写真右)はアート作品などを用いたカスタマイズが可能だ。ロールス・ロイスはこのクルマを「動く美術館」とも表現する
130キロ以上の遮音材を採用
ロールス・ロイスの代名詞でもある静粛性については、時速100キロの騒音レベルで先代から10%の向上を達成した。採用する遮音材の総重量は130キロを超える。6.75リッターV型12気筒ツインターボエンジンも静けさにこだわって開発。装着するタイヤについても、サプライヤーに180ものプロトタイプを作らせてノイズの少ないものを選んだそうだ。
ロールス・ロイスの車名である「ファントム」(Phantom、意味は『幻影』など)、「ゴースト」(Ghostは『幽霊』などの意味、画像左)、「レイス」(Wraith、これも『幽霊』など)、「ドーン」(Dawnは『夜明け』という意味、画像右)に通低する概念は“静けさ”だ
新型ファントムの価格は5,460万円から。ロールス・ロイスにとって日本市場は世界で5番目に大きく、アジアに限って言えば中国に次ぐ2位の規模を持つ重要市場だが、新型ファントムはどのくらい売れるものなのだろうか。